5-15
「水族館、楽しかったね」
午後5時。
水族館から外に出ると、もう辺りは暗くなっていた。
「楽しかったね。こんなに長い時間水族館でいたの初めてだったよ」
「愛もそうだよ。だいたい昼過ぎには見終わっちゃうもんね」
「今日は帰るの遅くなっても大丈夫なんでしょ」
「うん、大丈夫だよ。今日は会社の忘年会って言ってあるから。
「今からどうする?イルミネーションでも見に行こうか!」
「うん。行きたい、行きたい」
拓斗はエンジンをかけ、車を走らせた。
街の中心街へは、20分ぐらいで到着した。街はにぎわい、至るところでイルミネーションが光っている。
車は地下の駐車場に停め、外を歩くことにした。
「やっぱり都会はいいね。活気があって」
「ほんとだよね。平日だっていうのに、人すごいよね」
二人が住んでいる地域は、街のはずれであるため、ネオンなんてほとんどない。
「このビル入ろうか。ここ展望台あるみたいだから」
拓斗は事前に調べていた。
いつもデートのときは事前に調べているのである。
「へぇーそうなんだ。うん、行きたい、行きたい」
二人はビルに入り、早速エレベーターで最上階を目指した。
展望台もすごい人だ。ほとんどがカップルである。
一面の窓があり、外は街のネオンが海まで広がっていた。
「わぁー綺麗だね」
「ほんと綺麗だね」
「あ、あれっ今日行った水族館じゃない?」
「あーそうだね。今日は天気いいから景色綺麗だよね」
二人は、一面に広がる夜景に見とれていた。
しばらく黙っていたふたりだったが、愛が静かに切り出した。
「ねぇー拓斗?愛達ってこれからどうなるんだろね・・・ずっとこのままの関係なんだもんね・・・」
「そうだね。この先もばれずに今の関係でいられたらいいね・・・」
「・・・・・・」
愛はしばらく黙ったまま、街のネオンを眺めていた。
「ねー拓斗、ここから落ちたら死ねるかなー」
窓から下を眺めながら愛がボソッと呟いた。
「そりゃーこんなところから落ちたらねー。確実だろうね」
「そうだよね・・・」
愛は、これからのことを考えると辛くなってきた。確かに拓斗とは会えるようになった。でもこれから先、一生このままだと思うと・・・嫌になる自分がいた。
「どうしたの?」
「ううん、何でもないよ。ごめんね、急に変なこと言っちゃって・・・」
「いいよ。大丈夫か?・・・不安になってきたか?」
拓斗は、愛の手を握り、ゆっくり抱きしめてあげた。
「大丈夫だよ。もう離さないから」
「うん・・・ありがとう・・・ずっと愛の側でいてね」
「当たり前じゃん。ずっと一緒にいようね・・・・・・よしっ、車に戻ろうかっ」
「うん・・・」
二人は手をしっかりと握ったまま、駐車場へと戻っていった。




