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「きれーい!!」
愛は、水族館の中に入るなり、目の前に広がる大きな水槽に感激していた。
「綺麗だね」
二人ともこれほどまでに広い一面の水槽は初めてだったので、しばらくの間、口を開けたまま気持ち良さそうに泳いでいる魚たちを見ていた。
平日なので、人も少ない。
水槽にべったり引っ付き、魚を目で追っている。
「拓斗見て、あれがジンベイザメだよ。おっきいね」
愛がジンベイザメを指差し、はしゃいでいる。
「ほんっとおっきいよね」
「あれは何て言う魚なんだろ!面白い顔してるよ」
愛は次から次へと、珍しい魚を見ては指差してくれる。
そんな無邪気な愛が、拓斗は可愛くて仕方なかった。ほんと子供みたいだ。
30分ぐらいはその大きな水槽の前でいただろうか。それから通路にそって、いろんな魚を見て回った。
「あーっ、拓斗見てー。クラゲだよ」
「クラゲがどうしたの?」
「愛ね、クラゲ好きなの。ものすごく気持ち良さそうに泳いでるでしょ。見てると心が癒されるんだよー。家で飼いたいぐらいだよ」
拓斗はクラゲなんてまじまじ見たことはなかったが、じっくり見ていると確かに安らぎそうだった。
その後、ペンギン、イルカ、他にもありきたりの魚達を目の前に、愛は大喜びだった。
「お腹空いてきたね。何か食べようか」
「そうだね。もうお昼だもんね」
二人は近くにあったお店で、ホットドッグとハンバーガーを注文した。
今日は天気はいいが、風が冷たい。季節はもう12月終わり。もうすぐ今年も終わる。
「拓斗どうしたの?」
ホットドッグを食べていた愛は、さっきから携帯を気にする拓斗を見ていた。
「さっきから電話が何回も鳴ってるんだよ」
二つの番号からかかっていた。
一人は香奈から。もう一人は大和からだった。
番号を変えてから教えてないのに、どうして・・・誰かが教えたんだ。香奈か、それとも違う誰かか。
「誰から?」
「嫁からなんだけどな」
「でたほうがいいんじゃない?」
「そうだな。ちょっと電話してくるよ」
拓斗は愛には大和から電話がかかってきていることは黙っておいた。
少し離れ、香奈にとりあえず電話をかけることにした。
「もしもし、何?」
「あんた今日仕事行ってる?」
「来てるけどどうして?」
「別に・・・また女とでも遊んでるのかと思って・・・」
「ちゃんと仕事してますけど」
「まっ、どうでもいいけど、じゃー」
電話は切れた。
香奈がこんな電話してくるなんて珍しいことだった。いつも家ではよく言われているが、電話までかけてくるなんて今まではなかったことだった。
やはり、大和から香奈に電話があったのか。
「なんだったの?」
戻ってきた拓斗に、愛が聞いてきた。
「いつもの文句だよ。いつものことだから・・・」
拓斗は楽しいデートを暗くするのは嫌だったので深くは語らなかった。
「じゃー次行こうか」
拓斗は笑顔で愛に手を差し出した。
「うん。行こっ。次は何見に行こうかな」
昼からも二人は手を繋ぎ、肩を寄せあいデートを楽しんだのだった。




