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12月21日。
今日という日は、拓斗と愛にとって忘れもしない日になるのである。
クリスマスも近づき、街はイルミネーションが華麗だった。
拓斗とデートの日。
朝早くから化粧を入念にして、昨日の夜から選んであった服に着替え準備は万端だった。
大和は夜勤で、帰ってくるのは愛が仕事にでかけてからだ。今日は会社の忘年会で、帰りが遅くなると言ってある。
今日はすこし遠出だが、水族館に行く約束をしていた。二人が再会してからは、ホテルに行くだけだったので、今日のデートは楽しみにしていたのだった。
愛は、学校に行く桜と向日葵を送り出し、自分も玄関をでた。
「えっ、どうして??」
愛は家の前に停まった車を見て、身体が凍りついた。
大和が帰ってきたのだ。
「・・・」
いつもならまだ帰ってくる時間じゃないのに・・・
「お前、朝から忘年会するのか!?」
車から降りてきた大和は、愛の格好を見て睨んでいる。
「着替えるの面倒だから・・・別にいいでしょ!!」
愛は適当にごまかし、急ぎ足で自分の車に乗り込んだのだった。
大和はそれから何も言ってこない。そのまま家に入っていった。
愛はすぐに車を走らせたが、大和に私服を見られたことで心臓が飛び出しそうなほど高鳴っていた。
愛が待ち合わせの駐車場へ着くと、拓斗はいつも通り先に来ていた。
「おはよっ、今日はまた一段と綺麗だなー」
拓斗は愛が助手席に座るなり、抱きついてきた。
「はい、はい、よしよし」
愛は元々、男に甘えるのがあまり好きではない。どちらかというと拓斗が甘えるほうだった。
愛は、朝大和に出くわしてしまったことは、黙っておくことにした。
『きっと大丈夫だ・・・何も思ってないよ・・・忘れよ』
愛は自分に言い聞かせたのである。
水族館までは1時間半程度かかった。
愛も拓斗も過去に行ったことがない水族館だったので、少し遠いがこの場所に決めたのである。
水族館の前には広大な海が広がっている。
駐車場に車を停め、愛が降りたかと思うと、海の方へ走っていった。
「拓斗、来て来て!海だよー」
愛は初めて海を見る子供のようにはしゃいでいる。
「そんなに海が嬉しいの?」
拓斗はやっと愛に追いついた。
「うん、嬉しい。海好きなんだ。入るのは嫌だけどね」
愛はハイヒールに砂が入らないように、恐る恐る砂浜を歩いていた。
「そうなんだ。初めて知ったよ、愛が海好きだったなんて」
「海が好きというか、見てるのが好きなんだ」
「そっかー。俺は砂浜で日焼けするのが好きだけどね」
「拓斗、夏好きだもんね」
二人は石の上に座り、遥か水平線を見ていた。
確かに海を見ていると、心が和む。
「そろそろ行こうか」
「うん」
手をしっかり繋ぎ、二人は水族館にむかったのだった。




