5-12
拓斗は散らかった部屋を片付けてしまい、香奈が起きてくる前に家を出た。
携帯は壊れてしまったため、愛にメールができない。
取りあえず、会社に着いてから茜に携帯を壊したことを言い、愛にメールだけしてもらったのだった。
茜は、拓斗と愛が戻ったことに、自分のことのように喜んでくれている。
坂上も同じだった。
拓斗は、坂上に許しを得て、午前中の営業時間内に携帯を買いに行ったのである。
今の携帯は高く、仕方なく新しい番号で買うことにした。
「あー・・・今日は帰ったら香奈に怒られるんだろな・・・」
そんなことを考えていたが、また考えると嫌になってくるのでやめにした。
前の携帯のデーターは、SDカードに残っていたので助かった。愛の番号とアドレスは頭に入っているので問題はなかったが。
早速、愛に新しい番号をメールした。
メールの返事はすぐに帰ってきた。愛も仕事中だったが、心配してくれていたのだろう。
番号が変わって一番よかったことは大和からの電話がかかってこなくなるということだった。
誰かが教えたら話は別だが。
その日の昼、早速愛からメールがきた。
(携帯買ったんだね(^-^)よかった(^^)/昨日の夜に何かあったの?大丈夫だった??)
(心配かけてごめんね(T_T)昨日は嫁の腹立つ言い方に切れちゃってね(;o;)それで携帯割っちゃったの(- -;))
(そうだったんだ(;o;)拓斗が怒るのってよっぽどだったんだね(T_T)ずっと我慢してたもんね)
(怒ったらだめだってわかってるんだけどね・・・もう限界だったよ・・・(- -;))
愛とメールをしている時間は早いものだ。
昼休憩が終わりを迎えようとしていた。
(じゃー昼からも仕事頑張ろうね(^-^))
拓斗はメールを送り、仕事を再会したのだった。
時間は午後6時。
拓斗は営業が終わり、事務所に戻ってきた。
「お疲れさまです」
拓斗は、事務所に残っている一人一人に挨拶をし、自分のデスクに座った。
「お疲れさまです、茜さん。今日は珍しいですね遅くまで」
茜のデスクは、拓斗の目の前だった。
「明日休み貰ってるから、ある程度終わらせようと思ってね」
「彼氏とデートですか?」
同じことをしている茜は、拓斗にとって話しやすい存在だった。難点は、話したことは愛に筒抜けだということだが。
茜、それから坂上は拓斗と愛のことを今でも気にしてくれる。
「そうなの。西岡君達に負けてられないもん」
「勝ち負けの問題じゃないでしょ。茜さんも気を付けてくださいよ」
拓斗は、自分が経験した凄まじい修羅場が頭をよぎった。
「うん、それはよくわかってる。ほんと気を付けないとね」
7時を回り、事務所には拓斗、茜、坂上の3人が残っていた。
茜は仕事が片付いたのか、机の上を整理していた。
「西岡、今日もまたかかってきたぞ旦那から」
坂上が拓斗に近寄ってきた。
「ほんとすいません。何か言ってました?」
「西岡、携帯の番号変えただろ。だから番号教えろって。もちろん断ったけどな」
やはり、携帯に電話してつながらなかったから、会社に電話してきたのだろう。
坂上の話では、いつも客だと言うだけで名前は言わないらしい。
要件は拓斗が仕事に来ているかの確認らしい。
日中、事務所には坂上と茜しかいない。他の者は営業に出ているからだ。
電話は決まって10時過ぎか3時過ぎにかかってくるらしい。
茜も何度か電話にでているらしい。
「いつもほんとにすいません」
拓斗は2人に申し訳なくいつも電話があるたびに頭を下げている。
「気にすることなんてないよ。西岡君が悪いわけじゃないんだから。ほんと芽々っちい男だよ」
「そうだぞ。山本のいう通りだ。西岡が気にすることなんてないよ」
「ほんとありがとうございます」
拓斗は深々と頭を下げた。
「じゃーそろそろ帰ろうか。二人とも仕事終わったんだろ?」
「あーもう疲れたよー」
茜は大きく伸びをして、大あくびをしている。
「はい、帰りましょうか。お疲れさまでした」
家に帰った拓斗は、香奈が寝ていることでほっとした。その日以来、香奈は拓斗を無視している。あの一件以来、怒っているのだろう。拓斗も自ら喋ることはなかったが。




