5-10
拓斗と愛は月に一回と決め、会っていた。
今は11月。寒さも身体にこたえる季節になっていた。
「ただいまー」
愛の仕事はめったに残業がなく、6時には家に着く。
「おかえり、ママ」
向日葵が桜と一緒にテレビを見ていたが、愛が帰ってきたことで玄関まで走ってきた。
「ただいま、向日葵。もうご飯食べた?」
「まだだよ。今日はママ帰ってきてから食べようって、桜ちゃんと決めたの」
戸川家の夕御飯はだいたい6時ぐらいである。
たいがいは愛が帰ってくる頃には食べ終わってるか、食べている最中である。
「そっか。じゃーご飯暖めようか」
愛は向日葵を連れてリビングに入ってきた。
「ただいま桜」
「愛ちゃんおかえり。待ってたよ」
桜はソファーに座ったまま愛に手を振った。
「今日はご飯食べなかったの?」
「うん。たまには愛ちゃんの顔見ながら食べたいから」
「ごめんね、毎日遅くて」
愛は子供に淋しい思いをさせていることは、ほんとに悪いと思っている。
だが、生活のためには働かざるおえないのである。
「じゃーご飯暖めようかっ!」
愛は冷蔵庫から昨日作っておいた夕御飯を取りだし、レンジに入れた。
そして着替える間もなく、明日のご飯の用意を始めたのだった。
「愛ちゃん最近楽しそうだね。なんかいいことあったのかな」
桜は、一時のどん底だった愛を見ているせいか、愛が楽しそうにしているのが嬉しいのだろう。
「毎日楽しいよ」
拓斗の存在はほんとに大きい。
一ヶ月に一度しか会えないが、それでも会えないよりかはましだ。最近はそう考えるようにしていた。
時間は七時。
今週は夜勤である大和がそろそろ起きてくる時間だった。
愛はなるべく顔を合わさないようにしている。
今日もそそくさと子供を連れてお風呂に入った。
お風呂からでてくると、大和はご飯を食べ終え、仕事の用意をしているところであった。
愛は何も言わずにソファーに座り、テレビをつけた。
「おい、お前最近あいつとはどうしてるんだ」
大和の突然の質問だった。
最近は拓斗のことは何も言ってこなかったのに。
拓斗の話だと、今でもちょくちょく電話がかかってくるみたいだ。
特に用事もないのに、自分の言いたいことだけ言って切るらしい。
かかってくるのは非通知で、拓斗は非通知恐怖症になっているほどだった。
「あいつって誰よ」
「西岡拓斗だよ!とぼけるなよ。どうせ今でも会ってるんだろ!!」
大和は今でも疑っているのだろう。
証拠になるものは何もないが、後をつけられていたら恐ろしい話だった。
「まだ疑っているの?もう終わった話でしょ」
「そうか、まぁーいいわ。そのうち化けの皮剥がしてやるからな。覚えてろよ」
「・・・」
愛はそれ以上何も言わなかった。
大和も何も言わずに家を出ていったのだった。
愛にとって、大和のいないこの時間がうれしくて仕方なかった。
ほんとにこのまま一生を暮らすなんてことを考えたくなかった。




