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「久しぶりだね拓斗」
愛は拓斗の顔を見るなり、胸に飛び込んだ。
「よしよし、そんなに泣くな。もう俺はどこにも行かないから」
拓斗は胸にうずくまった愛の頭を撫でてあげた。
「うん、もうどこにもいかないで・・・愛には拓斗しかいないから・・・」
愛は拓斗から離れようとしない。
「とりあえず、落ち着くところに行こうか」
拓斗はそっと、愛を離し、目をしっかり見つめ、軽くキスをした。
拓斗は車を走らせ、少し離れたホテルへ入った。
「とうぶんは外出歩かないほうがいいね。誰に見られてるか分からないからね」
「そうだね。どこで誰に会うかなんて分からないもんね」
久しぶりの再会にその日二人は、今までの分も愛しあったのだった。
「このまま時間止まればいいのにね・・・」
ベットの中で愛は拓斗の目を見つめながら淋しい顔をしている。
「ほんとだね、帰りたくないよね」
二人の思いは同じだった。
帰りの車の中は、二人とも口数が少なくなり、沈黙が続いた。車の中は音楽だけが鳴り響いている。
拓斗はこういう場は苦手である。沈黙が続けば続くほど喋りずらくなってくるのである。
その沈黙を破ったのは愛だった。
愛はこういう場は嫌いなのである。二人でいるときはほぼ愛から喋り、話が膨らむことが多い。
拓斗は元々口下手なのもある。
「二人で過ごす一日ってほんと早いよね・・・」
「ほんとだよね。家でいるときってほんと一分が一時間ぐらいに思えるぐらいだよ」
「もう着いちゃうね・・・今度はいつ会えるかなー・・・」
愛は急に悲しい顔になり、下を向いた。
「少なくてもひと月に一回ぐらいは会いたいよな」
車は待ち合わせ場所の駐車場に到着した。
誰にも見られないよう、人里離れた場所を選んだが、拓斗は恐る恐る駐車場の中に入っていった。
10台ぐらいのスペースの駐車場であったが、中には愛の車だけが停まっているだけだった。
「ふぅー」
拓斗は胸を撫で下ろし、愛の車の横に停めたのだった。
「じゃーまたメールするね・・・」
「今日は楽しかったな。久しぶりに心から笑えたよ」
「じゃーね」
愛はさっきまでの悲しい顔から明るい顔に変わり、拓斗に抱きついたのだった。
「うん、またな」
自分の車に乗った愛は、拓斗に手をふり、車を走らせたのだった。
また会えるのはわかっているが、やはり別れは淋しい。でも悲しい顔で別れるのは嫌だった愛は必死に作り笑いをしたのだった。
『ずっと拓斗と一緒にいたいな・・・拓斗の奥さんになりたいな・・・』
どれだけ考えてもそれだけはできないのは分かっていた。そんなことを一人にになるとどうしても考えてしまうのだった。




