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今日も相変わらず香奈は荒れている。
「おい、ちょっとこっちこいよ!!」
「なんだよ・・・」
最初は我慢していた拓斗であったが、毎日荒れ果てている香奈を見るのが嫌になってくる。
「さっき、お前の女に電話したよ」
「・・えっ・・!?」
「慰謝料払えって言ったからね!!」
ほんとに電話するとは思ってなかった。
「それで、愛はなんて?」
「愛なんて言うな!!ほんと腹立つなー!!」
「・・・・」
「あの女、払う気なんてないらしいわ!!」
香奈は持っていた空き缶を、拓斗に向かって投げつけた。
「旦那も言ってたじゃん。払うお金ないって・・・だから無理なんじゃないの?」
「どうしてこっちが払うのに、向こうは払わないの!?そんなのおかしいじゃんか!!じゃーこっちも払うことないわ!!」
今日の香奈はほんと荒れている。
「俺は旦那に払うだけだから・・・また別の話だろう」
「いいよ、あんたに話したのが間違いだったよ。それよりあんたあの女に何言ったの!?」
「えっ・・・」
「私のこと家のこと何もしないとか言ってたけど!!どういうこと!?」
『どういうことってそのままじゃん』とは言えず・・・
「・・・」
「あんたあの女に人の悪口ばっかり言ってるんでしょ!!いい加減にしなよ!!」
香奈はいきなり立ち上がり、キッチンから何かを取り出し拓斗の方へ向かってきた。
「・・・ちょっと・・・待てって・・・・」
それは包丁だった。
香奈は拓斗に包丁を突き立ててきたのだ。
「私は何??どうせ二人で人の悪口言って笑ってたんでしょ!!」
香奈の目が怖くて見れない。
包丁が拓斗の胸寸前まできている。
「・・・そんなこと言ってないって・・・なっ・・・落ち着けって」
「あんたなんて死んだらいいんだよ。あの女も殺してあげるよ!!」
拓斗はどうすることもできない。
壁へ押さえつけられ、逃げ場もなくなった。
「もういいよ・・・殺したいんなら刺したらいい。それで償えるんだったらいいよ」
拓斗は静かに目を閉じ、腹をくくった。
そのときだった。
リビングのドアが開き、宇宙が入ってきた。
「ママおしっこ・・・」
宇宙は目を擦りながら、香奈と拓斗の不思議な光景を見ている。この光景をどう思っているのだろうか。
香奈は包丁を握りしめたまま、その場に泣き崩れたのだった。
「ママどうしたの?つらいの?」
宇宙は香奈に近寄り、その場の空気を察したのか泣きそうな顔になっている。
「ごめんね、宇宙・・・」
「・・・・・・」
拓斗は何も言えなかった。
「これからのこと少し実家に帰って考えるから・・・」
香奈は拓斗にそう言うと、荷物をまとめ始めたのだった。
「・・・・・・」
拓斗は何も言わずに香奈を見ていた。
香奈は荷物をカバンに入れ終わると、何も言わずに宇宙を連れて出ていったのである。
拓斗はそんな香奈を止めることなく、静かに見ているだけだった・・・・・・。




