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「こんな金額で許してくれるだろうか」
今日は朝から知り合いの司法書士に慰謝料のことを相談し、拓斗に見あった金額を出してもらった。
拓斗の年収がそんなに高くないために、慰謝料は100万という金額がでたのだ。
その日の夜、拓斗は大和に電話することを決めたのだが、なかなか着信ボタンを押せずにいた。
「早く電話しなよ!何してるの!?」
隣で見ていた香奈は拓斗の行動にイライラしていた。
「もうちょっと考えたほうがいいんじゃないかなー…。こんな金額であの人が許してくれるとは思わないけど」
「この金額が妥当だって司法書士さんも言ってたでしょ。あんたそんなにたくさん払いたいの?」
「俺は金なんて払いたくないけど…この金額で向こうが納得してくれるとは思わないし…」
「もういいよ!この優柔不断男!!私が電話するから!!」
香奈は自分の携帯から電話し始めた。
「もしもし、西岡ですけど、大和君?」
「おぅ、どうした?やっと慰謝料払う気になったのか?」
「弁護士の人にきっちり金額をだしてもらったので」
「それでいくら払ってくれるんだ!」
「100万。これ以上は出せませんので」
「100万だと…まぁーいいわ。で、すぐに払ってくれるんだろうな 」
香奈は大和が納得なんてしないと思っていた。
大和もいろんな所で100万ぐらいが妥当な金額だということを調べていたのだった。
「もう少し待って。今うちにそんな大金ないから。どうにか集めるから」
実際、金遣いの荒い香奈であったため、西岡家には貯蓄がなかった。
「分かった。一週間待ってやる。それ以上は待てないぞ、分かったか!!」
「わかりました。一週間でなんとかしますので。それと私も同じ金額を奥さんに請求させてもらいますので」
香奈は拓斗にそんなこと一言も言っていなかった。香奈が愛に慰謝料を請求することは間違ったことじゃない。
だが拓斗にしてみたら複雑だった。
「それはお前の勝手にしたらいい。俺には関係のないことだ。でも前にも言ったがあいつに払う金なんてないぞ」
「それはこっちも同じですので」
話は大和と香奈の間でどんどん進んでいる。
「旦那はそこにいるのか?」
「いるよ」
「ちょっと代わってくれるか?」
香奈が拓斗に携帯を差し出した。
「代われって」
拓斗はしぶしぶ携帯を耳にあてた。
「もしもし…」
「話は聞いた。一週間以内に用意しろよ。それと今後一切、愛とは連絡とるなよ。そんなことをしてみろ。そのときはどうなるか分かってるよな!!」
「…はい、わかり…」
大和は自分が喋ったあとすぐに電話を切った。
「なんだって?」
「いや別に…文句だけ言ってすぐ切れた」
「あっそう。それより100万どうやって用意する気?家にはそんな大金ないよ」
『お前が金遣い荒いからだろうが!!』
拓斗はそう言いたかったが、心の中で止めておいた。
「知り合いに銀行員がいるから聞いてみるよ。たぶん100万ぐらいなら貸してくれると思うから」
「ふぅーん。いろんな所に知り合いがいるんだね。また違う女じゃないでしょうねー!」
香奈は何につけても腹が立つことをいう。
拓斗はこんな香奈を相手に、必死で我慢していた。
この我慢が爆発しなければいいが…。




