4-3
更なる地獄の始まりから3日後。
毎日、夜になると香奈の質問攻めが始まるのである。
そして拓斗が黙るとどなり散らし、回りにあるものに当たり散らすのである。
今日もいつものように宇宙を寝かし、いつもならそのまま寝ている香奈であったが、すぐにリビングに戻ってきた。
そして冷蔵庫から酎ハイをとりだし、すごい目付きで拓斗を睨み付けている。
「拓斗、携帯見せなよ」
拓斗は何も言わず携帯を渡した。
香奈は黙ったまま拓斗の携帯を見ている。
「あんたまだあいつと続いてるんじゃないの!?」
「続いてないよ…」
拓斗は静かに答えた。
香奈は拓斗に裏切られたことが相当ショックだった。拓斗との間に愛はなかったが、自分以外に女がいるということが許せない。しかも、自分と宇宙よりもあの女を取ったということが余計に腹が立つ。
「また、違う名前で登録してるんじゃないの!?名字だけの人とか怪しいよね」
香奈は携帯の電話帳を隅から隅まで見ていた。
「…」
「まぁー女の電話番号もアドレスも覚えてるんだろうけど…どうせアドレスもお前の誕生日とかじゃないの?」
香奈は飲みかけの酎ハイを一気に飲み干し、二本目を開けた。
「…」
拓斗は実際、愛の番号もアドレスも頭の中に入っている。
「何とか言いなよ!黙ったらいいと思いやがって!」
香奈はそんな黙ったままの拓斗を見ていると、あの女と拓斗が楽しく喋っているところを想像してしまい、イライラしてくるのである。
二本目の酎ハイもすぐに飲み干し、台所に置いてあった日本酒を一升瓶ごと持ってきた。
その日本酒は香奈が2年ぐらい前だろうか、料理に使うということで香奈の実家からもらってきたものだった。しかし、料理なんてしない香奈が使うはずもなく、拓斗が仕方なくたまに飲んでいたものだった。その日本酒を香奈が初めて使うときがきたのだ。こんな形で使ってほしくなかったが。
香奈は一升瓶のキャップを取ると、コップに入れることもなくそのままラッパ飲みしたのだった。
「あー腹立つ!!」
香奈はいきなり机を叩いて、発狂した。
拓斗もいきなりでビックリした。
香奈はその場で立ち上がり、拓斗のほうへ向かってきた。そして胸ぐらを掴み、拓斗を押し倒したのだ。
「痛っ!」
香奈はそのまま拓斗の頬っぺたを平手打ち。
「絶対お前ら許さないからな!!」
もう一度手を振り上げて拓斗を睨んでいた香奈であったが、諦めたのかそのまま立ち上がり、寝室へと入っていった。
香奈が出ていったあと、拓斗は一人で方針状態だった。日に日に香奈の行動はひどくなってきている。拓斗が悪いのは分かっているので何も言えないが。
AM1:00
拓斗の携帯が鳴った。
知らない番号だったが、まさかと思い電話にでた。
「もしもし…」
「おい、いつになったら連絡してくるんだ!!」
愛の旦那だった。
「あっ…すいません…今計算してるのでもう少し待ってください」
実際はまだ何も考えてもいなかった。香奈の知り合いの司法書士と話をするらしいのだが、いつになるかまだわからない。
「何を計算するんだ。とっとと金払えよ!!」
電話の向こうで大和は叫び、電話は切れた。
大和は愛が手首を切り、病院に運ばれたことは知っている。そのこともあり、イライラがつのり拓斗に電話したのだった。
一方の拓斗は全く愛のことは知らされていない。
拓斗は電気を消しソファーの上で横になった。
目を閉じてもなかなか寝付けない…。
『愛はどうしてるかな…もう会えないよな…』




