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あの修羅場から3日後。
愛は拓斗が出ていったあと、大和との生活を拒んため、一時期に義雄が実家に連れて帰った。
大和の実家に預けてあった桜と向日葵にも事情を説明し、一緒に連れて帰った。
生活のこともあり仕事を辞めるわけにもいかず、子供を学校まで送り届けてから仕事場へ通っていた。
仕事は全くといっていいほどやる気がなく、親友の茜も事情を全て話したので心配している。
義雄も母親の昌子もあの日からは愛をそっとしていた。
その日の夜、義雄が久しぶりに口を開いた。
「愛これからどうするんだ。いつまでもこんな生活はしてられないぞ。桜と向日葵の学校もあるんだ。この家に帰ってくるんなら俺もお母さんも反対はしないが、ちゃんと離婚の手続きはしないとだめだぞ」
「お父さんのいう通りだよ愛。今は辛いだろうけど、決着はつけないとだめよ」
義雄も昌子も愛と大和の関係がぎくしゃくしていたのは前から知っている。
「それはよく分かってるんだけどね…。でもこの家では生活はできない。離婚するんだったらアパート探して三人で暮らすよ。桜と向日葵の学校も変えるのかわいそうだしね」
愛は愛なりに考えていた。
桜と向日葵の学校を変えるのはかわいそうだし、これから三人で住むとなればそれなりの覚悟もいる。今までと同じような生活はできない。
考えれば考えるほど嫌になってくるのである。
やはり、大和の元に戻るのが一番いいのか。自分だけ我慢したらいいだけの話である。
ただ大和が許してくれるかはわからないが…。
「もう少し考えさせて…」
愛は色々考えていても、拓斗のことが忘れられない。頭から拓斗の笑っている顔が離れないのだ。
一人になるたび自然と涙がでてくる。
「分かった。ゆっくり考えて。学校ももう少しで夏休みだからね」
昌子も義雄もそれ以上何も言わなかった。
「お風呂行ってくるね」
愛は湯槽につかりながら拓斗のことを考えていた。
『どうしてるかな…?元気にしてるかな…今の愛には桜と向日葵がいる…それだけで充分だよね…拓斗は拓斗で、自分で選んだ道だし…でも会いたい…会いたいよー拓斗…』
もう涙が枯れるほど泣いたのに…やっぱり流れてくる。
『このまま死んじゃおうかな…桜と向日葵は大和がいるし…愛がいなくなっても誰も悲しまないかな…』
愛は鏡に立て掛けてある剃刀を見つめ手に取った。
手首に剃刀を当て、そっとひいてみた。
血が少しずつにじみでてくるのが見て分かる。
湯槽につかっているため、痛さはそれほど感じなかったが、少しずつ湯が赤く染まっているのがわかる。
『…これで楽になれるかなー……』
香奈はゆっくり目を閉じた……




