8-12
することがないときは、時間が経つのは遅いものだ。
出掛ける元気もなく、家の中で3人はテレビを見ていた。
愛は拓斗のことが気になり、上の空であったが。
「あっ!そうだ。湧水取りに行こうか」
昨日、松下から教えてもらったことを思い出した。
地図は、拓斗が机の上に置いてくれてある。
昨日、その地図を見せてもらい場所もある程度は分かっている。
「桜!向日葵!暇だからお水取りに行こう」
思い付いたらすぐ行動に移す愛である。
すぐに出掛ける用意を始め、準備ができたらすぐに出発した。
途中、スーパーに寄った3人。
理由は、湧水を入れる容器がないため、リサイクルのペットボトルを取りに来たのである。
「桜!向日葵と一緒に取ってきてよー!」
「えぇー!愛ちゃん行ってきなよー!桜嫌だよー!」
車の中では、誰が行くかで口論中だった。
逃亡していたときは、こんなことなんとも思わなかった愛であったが、地元ではさすがに恥ずかしいという気持ちが出てしまう。
結局決めることができず、愛が1人で行くことになった。
リサイクル用のペットボトルは、スーパーの入口を入ったすぐの場所にある。
自動ドアが開き、周囲を気にしながらリサイクルBOXからペットボトルを4本出し、持ってきたビニール袋に入れた。
そして、急ぎ足で車に戻った愛であった。
その姿を車の中から見ている人がいた。
愛も、車を降りてからこっちをずっと見てくるその女性には気づいていた。
愛にはその女性が誰なのか分からない。
昔から人のことを覚えるのが苦手な愛だったため、頭の中で思い出そうとするのだが、出てこない。
やっぱり知らない人・・・
でも向こうは愛のこと知ってる!?
車を降りてから戻ってくるまで、ずっと見られていた。
その女性と目が合うと、向こうも気がつきどこかへ行ってしまったのだった。
まっ、いいかっ・・・
気にし過ぎだろう。
愛は考えるのをやめたのだった。
「愛ちゃん、ものすごく怪しい人だったよ
」
車に戻ってきた愛を、桜と向日葵が笑いながら迎えてくれた。
「そうー!?普通を装ってたんだけどね」
「全然普通じゃなかったよ!チョロチョロし過ぎだよ」
二人とも相変わらず笑っている。
「もういいでしょ!さっ、ペットボトルも用意できたし行くよ!」
愛は、車を動かし湧水の出ている場所へと向かったのだった。




