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「ただいま」
愛と別れてから30分程で家に到着した。
車の中で、今までのことを光久に色々と教えてもらった。
やはり、香奈は拓斗が出ていってから、光久と幸子に文句をぶつけていたらしい。
幸子は、今までの拓斗と香奈の生活は見ている。
香奈が家事をしていなかったのはよく知っていた。
しかし、自分の息子が世間的には許されないことをしたのは確かなことであるため、香奈に反抗もできずに話を聞いていたのであった。
「おかえり、拓斗。元気にしてた?」
笑顔で迎えてくれた幸子であったが、目が潤んでいる。
「母さんほんとごめんな・・・こんなことになっちゃって」
「いいんだよ。よく今まで我慢したね。いつかはこんなことになるんじゃないかなって思ってたの」
「そうなの?」
「今までの生活見てたらわかるよ。拓斗もずっと我慢してたでしょ」
「まぁー色々あったからね」
「だからこうなってよかったんじゃない。そこまで我慢して生活なんてすることないよ。とにかくこんなところで突っ立ってないで中に入って。自分の家なんだから」
「あー、ありがとう」
拓斗がリビングに入ると、光久がいつの間にか座っていた。
「香奈は実家に行ってるの?」
「昨日の夜から帰ってるぞ」
拓斗はまさかと思ったが、いないことを確認するとホッとしたのだった。
出来ることなら二度と会いたくはないが、そういう訳にもいかない。
最後のけじめだけはきっちりつけないと。
幸子は3人分のコーヒーを入れ、話が弾んでいない光久と拓斗の元へきたのだった。
「よく今まで我慢できたね。香奈ちゃんの口の悪いこと。ほんとに毎日毎日あれだけ同じことばっかり文句言えるもんだね」
幸子も、毎日夜になったら文句を言いにくる香奈に、嫌になっていたのだった。
「ごめんな。でもいけないことをしたのは俺だからね。あいつの腹立つ気持ちも分からないわけじゃないんだけどな」
「それはそうだんだけどね、こうなったのも香奈ちゃんとの生活が嫌になったからでしょ。香奈ちゃんは自分が悪いなんてこれっぽっちも思ってないからね」
時代が違うのもあるが、幸子は同じ女として香奈が許せなかった。
幸子が若いときは、仕事をしながらでも家事はこなしていた。
「今の子ってみんな香奈ちゃんと同じなの?」
「そんなことはないよ。そりゃー今の時代は夫婦で協力して家事をする時代なんだろうけどね。実際、掃除も洗濯も俺がやってたし、ご飯作るのは一番面倒くさいんだろうけど、ほとんどやってなかったからな」
「たぶん、香奈ちゃんのお母さんが悪いんだろうね。ものすごく甘やかして育てたんじゃない」
「どうだろうね。でも愛はほんとにこの3カ月ほど一緒に住んだけど、料理は美味しいし、掃除も毎日欠かさずしてくれるし、ほんと感心するんだよ。愛の旦那は全く家事はしてなかったみたいだから、愛1人でこなしてたみたいだよ」
拓斗は楽しそうに、今までの生活を語った。
「拓斗は顔にでるからすぐにわかるよ。愛ちゃんの話になると顔が緩んでるよ」
「そっかなー。とにかく愛みたいな子はこれから一生出会えないと思うよ」
拓斗の顔がだんだんと笑顔に変わっていく。
「香奈ちゃんの話とは全く逆だね。母さん達が聞いた話だと、家事はしない、毎日子供を置いて遊び回ってる。そんなこと言ってたもんね。ねぇーお父さん」
「あぁーそうだな」
幸子は光久に話をしたが、愛想のない返事が返ってきただけであった。
いつもこんな感じなのであるが。
光久は多くは語らない男である。
「だって、香奈なんて愛と面識ないんだよ。普段の生活なんて知ってるはずないじゃん」
「それもそうだね。母さん達は香奈ちゃんに洗脳されてたんだね。ほんと怖い子」
3人で話をしている時間はあっという間に過ぎ、時計は11時半。
光久が時計をチラチラと見ている。
「幸子、ご飯の用意だ。食べたらすぐ出掛けるぞ」
「はいはい」
幸子は立ち上がり、ご飯の用意を始めたのだった。
そして、3人は修羅場へと出発したのであった。




