7-30
3月10日。
桜と向日葵は、最後の学校に行っている。
拓斗は先週で仕事を辞めたため、昨日と今日は愛と二人だったが、特にすることもなく近所を散歩したり、ご飯の買い物に行ったりしながら1日を過ごしていたのだった。
もう昼過ぎになるが、大石からはなんの連絡もないのである。
「電話かかってこないな」
二人は、大石からの連絡を待ちわびている。
「かけてみるよ」
愛は、早速大石に電話をした。
「もしもし、大石さん、どうだった!?」
「あーごめんな、ちょうど今電話しようと思ってたところだったんだよ」
そんなことは、全く思っていないだろう。愛はそう思いながらも話を続けた。
「でっ、どうだったの!?」
「一件見つかったのは見つかったんだけどね・・・ちょっと古いけどいいかなー」
「古いのはいいけど、家賃は?」
「家賃は4万ぐらいかな・・・」
「そのぐらいなら古くても我慢できるかな。部屋はどんな感じなの?ワンルーム?」
「20畳ぐらいのたたみの部屋が1つと、台所はもうちょっと広いかな」
「台所、そんなに広いの?どんなところなの?全く想像できないんだけど・・・」
「元々は、倉庫みたいな使い方してたみたいなんだけどね・・・それをアパートにしたみたいなんだよ。あっ、それとトイレとお風呂は共同みたいなんだけどね、2つあるから1つは戸川さんが使っていいって」
「えー、部屋についてないのー!!いったいどんなアパートなのー!!ほんとに大丈夫!?」
愛には全くといっていいほど、大石の言っているアパートがどんなところなのか想像できない。
「大丈夫だと思うよ。ちょっと汚いけどね・・・」
「えー、ほんとに大丈夫ー!?他にも誰か住んでるんでしょ!?」
「おっちゃんが二人住んでるみたいだね」
「もうー、他にないのー!?もっと普通のアパート」
「他にも探してるんだけどね。なかなか見つからなくて」
「とにかく相談するから。またかけるね」
電話を切った愛は、拓斗とどうするか相談したのだった。
「とにかく今は贅沢なんて言ってられないしなー。ずっとそこで住む訳じゃないからな」
「そうだよね。今から違うところ探してもらっても見つかるかどうかわからないしね。我慢しようか」
二人は、その得たいも知れないアパートに住むことにしたのだった。
大石にそのことを伝え、早急に住めるように手続きをしてもらうことにしたのだが・・・
「えー、明日は無理なのー!!」
大石は、まだ手続きを全くしていなかったため、住めるのは今週末になるとのことだったのだ。
仕方なく、出発は土曜日にすることにした拓斗と愛であった。




