7-29
拓斗の仕事は無事終わり、土日は荷物を整理していた。そんなに大きな荷物はないが、それなりに荷物は増えていたのだった。
「帰る用意はできたし、後はアパート待ちだな」
用意はすべて終わった。あとは、帰ってからの住む場所だけだった。
愛が派遣会社に頼んであるのだが、まだ返事は来ていないのである。
愛は連絡がとれるように、日中の間だけ携帯の電源をいれている。大石にもそのことは伝えてはあるのだが、いっこうにかかってこないのである。
携帯の電源が入っているということは、大石以外からもかかってくる可能性があるが、幸いにも誰からもかかってきていない。
「見つかったのかなーアパート・・・1回電話してみようかなー」
愛は、派遣会社から電話がかかってこないことに心配していた。
派遣会社の担当者、大石は愛とは長い付き合いであるが、人はいいがあまり頼れるような人ではなかったのだった。
「へぇーそんな人なんだ。なんか心配になってきたね」
拓斗も愛の話を聞くと心配になってきた。
「1回電話してみるよ」
「そうだな、もう帰るまで3日しかないんだもわんな。アパート見つかってなかったら大変だよな」
愛は、大石に電話することにしたのだった。
「あっ、大石さん、戸川ですけど」
「あーどうも。どうしたんですか?」
「どうしたんですかって。アパートはどうなったの?見つかった?」
「あー、今探してるところだよ・・・」
大石はどこかしどろもどろである。まぁー、いつもこんな感じなのではあるが。
「えーーまだ見つかってないの?もう日がないよ!」
「なかなかあそこの団地内ではないんだよ。一軒家ならあるんだけど、家賃がちょっと高くてね」
「高いって、どのくらい?」
「10万ぐらいかなー」
「それはちょっとじゃないよー。高すぎるよ。団地内じゃなくてもいいんだよ。近くで安いところないの?」
「近いところねー・・・あるかなー・・・」
「あるかなーって探してないの!?」
「なかなか知り合いがいないんだよ」
「知り合いって、普通の賃貸屋さんで探してもらったらだめなの?」
「まぁーもう少し探してみるよ」
大石からは、曖昧な返事しか返ってこない。
「とにかく火曜日までに電話してね!!そっち帰るの水曜なんだからね!!」
「あーわかったわかった。また電話するよ」
愛はイライラしながら電話を切り、拓斗に電話の内容を話した。
隣で聞いていた拓斗も、ある程度は内容を理解していたが。
「ほんとにその大石さんは大丈夫なの?」
「ちょっと頼りないんだけどね・・・でももう日がないからねー」
「ほんとだよ。住むところないのに帰っても仕方ないしな」
二人はどうすることもできず、大石を頼ることしかできなかったのだった。




