7-24
次の日。
拓斗は早速派遣会社の担当者、川口に事情を話したのだった。
そして、三星自動車のリーダー谷奥にも、辞めることを告げたのだった。
「残念やなー。西岡君、毎日真面目に頑張ってたのになー。辞めるのもったいないなー」
「すいません。急に実家に帰らないといけなくなったので」
拓斗は本当の理由を言うわけにもいかず、適当にごまかしただけであった。
「まぁーしかたないな。まだ余裕もって言ってくれるだけましやな。何も言わんと辞める奴も多いからな」
「ほんとに急ですいません」
一方の愛はというと。
前の学校に電話して、今までの経緯を話した。
桜の担任の先生も、心配してくれていたのだろう、卒業式のことを喜んでOKしてくれたのだった。
そして、その日の夜。二人は親に電話をした。
直接はさすがに電話する勇気がなく、親から間接的に言ってもらうことにしたのだった。
どちらの親も快く引き受けてくれたが、大和と香奈がどうでてくるのかはわからない。
もしかしたら「帰ってくるな」と言われるかもしれない。
こちらが離婚の話をしようと思っていても、はなしすらしてくれないかもしれないのである。
かと言って、今電話で話す勇気は拓斗にも愛にもなかったのである。
「問題は家だな。帰っても住むところがない。それと働くところも探さないとな」
これが一番の問題だった。帰ってから家を探していては遅い。今のうちに住むところをどうにかして確保しなければならないのだ。
かといってこれ以上親に迷惑をかけるわけにはいかない。
「仕事は帰ってからゆっくり探したらいいだろうけどね・・・住むところはきついよね。もう車で寝泊まりなんてしたくないしね・・・」
「そうだよな・・・地元の派遣会社調べて探してもらうかな・・・」
「派遣会社ねー・・・愛の行ってた派遣会社に聞いてみようかっ?」
「あーそうだな、聞いてみてくれるか?たぶんどこの派遣会社も寮なんて管理してないだろうな。田舎だからな」
「そうだよね、田舎だしね・・・」
愛はだめもとで、聞いてみることにしたのだった。
電話の結果、仕事はいくつかあるらしい。帰ったらすぐに行けるように手配してくれるということだった。問題の住むところは、予想していた通り派遣会社では持っていなかった。
地元は田舎だということもあり、三星自動車のように大きな工場はない。たぶんどこの派遣会社に電話してもないだろうということだった。
「アパートはさがしてくれるって」
愛は強引ではあったが、派遣会社の人にアパートをさがしてくれるように頼んでいたのだった。
「ありがとうな、俺は派遣会社なんて全く知らないから・・・」
「そんなの気にしないで。仕事はあるみたいだからよかったよ。アパートは探してみるって」
「住むところも見つかったらいいんだけどな」
「そうだね、あんまり家賃高いところは無理だからね、いちようは安いところを探してって言ってあるけどね」
ときかく今は、何も行動に移せない二人であるため、派遣会社に頼るしかできなかったのであった。




