7-11
次の日。
茜は、いつものように事務所で坂上と二人で仕事をしていた。
朝から坂上には、昨日香奈から電話があったことを話した。
坂上のほうには電話はなかったようだった。
「とうとうばれちゃったな。こうなっては仕方ないよな」
坂上が、朝から元気のない茜に話しかけてきた。
「もう昨日はどうしようかと思いましたよ・・・」
「それで愛ちゃんとの電話の内容は全部話したんだろっ?」
「はい・・・もう話すしかなかったので」
「そうだろうな・・・まぁーそれでよかったんだよ。まぁーそう気を落とすなって。もうなるようにしかならないんだからな」
その日の夕方、営業マンも帰ってきて最後の事務作業をそれぞれがしていた。
事務所の前に車が一台横付けして止まった。
その光景に茜だけが気づいていたのだった。
車の中から出てきたのは、まぎれもなく香奈だった。
窓の外から茜のほうをすごい目付きで見ている。
「さ、坂上さん!!西岡君の嫁が来ちゃったよ」
茜は、大慌てて坂上に助けを求めたのだった。
「やっぱり来たか・・・来るとは思ってたけどな」
二人がひそひそと話していると、入り口のドアがすごい勢いで開き、香奈が入ってきたのだった。
仕事をしていた全員が、香奈の登場に驚き、一斉に香奈に視線を向けたのだった。
香奈は、坂上と茜を睨み、勢いよく叫びだした。
「おたくら全員で人のことだましてそんなに楽しい!!ふざけるのもいい加減にしなよ!!」
坂上と茜以外は、何が起きているのかまったくわからない。
「お前も知ってるんでしょ!!」
香奈は、自分に一番近い場所にいた岡澤に向かっていった。
「えっ、ちょっ、ちょっと何の話ですか?」
岡澤は、香奈のあまりの勢いにのけぞり、椅子から落ちそうになっていた。
「まだとぼける気!?そうやって笑ってたらいいよな。他人事だし!!」
「西岡さん、すいません。知っているのは私と山本だけですので。他のものは何も知りませんので」
坂上が、後ろに茜を連れて香奈に立ち向かっていったのだった。
「へぇー、それで!?二人で人のこと馬鹿にしてた訳!!」
「いやいや、そんなことしてませんよ。それに二人からは詳しい話は聞いてませんので」
「そんな訳ないじゃん!!おたくも拓斗と電話してるんでしょ!!」
「まぁー西岡さん、ここでは何ですので・・・こちらへどうぞ」
坂上は、他の者に迷惑をかけるだけなので、香奈を応接室へ案内しようとしたのだった。
「いいじゃんここで話したら!!別に聞かれたらまずい話なんてないでしょ!!」
「まだ仕事中ですので。これ以上騒ぎ立てると警察呼びますよ。それでもいいんですか?」
「・・・・・・はい、はい、わかりましたよ」
香奈は諦めたのか、坂上についていったのだった。




