第6話 街中を歩行中 ~最後の小さな貢献~
夕方6時42分。
藤倉市の商店街。日が落ち始め、街灯がぽつぽつと灯り始めた頃。
Kはスーパーの帰り道をゆっくり歩いている。
前を歩く中年男性(50代前半、作業着姿)が財布から1000円札を出そうとして指が滑り、紙幣が風に煽られて落ちそうになる。
Kは無意識に能力発動。
- 紙幣の落下軌道を±3cmで予測(能力No.29)
- 風向きを±4度で感知(能力No.38)
- 紙幣の重さと風速から、落下時間0.8秒と算出
Kは小さく声を出す。
「……あ、落ちますよ」
男性「あっ!」
慌てて手を伸ばし、紙幣をキャッチ。
男性は振り返ってKを見るが、Kはすでに俯き加減で通り過ぎようとしている。
男性「……ありがとう!危なかったわ。風強いな、今日は」
K「……いえ、別に……たまたまです」
男性は財布をしっかりしまいながら、小さく呟く。
「……なんか、今日一日運がいいな。朝からミスばっかりだったのに、最後に救われたわ」
Kは振り返らずに歩き続ける。
(心の声:紙幣落下リスク98%→0.8%……風速変化予測+0.3秒……地味に今日も完結)
商店街のネオンがKの背中を照らす。
誰も気づかない小さな貢献が、今日も静かに終わった。
―続く―




