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5話 十四人

話の都合上知らない人が多く出てきますが、職業毎に出番を設けていければと考えておりますので、現時点では流し読んで頂ければと思います。

 場所は変わり、中庭。


「改めてだ、私がこの国の王。ジルヴァール・ノルン・クラフトテールだ。此度の戦闘、混乱冷めやらぬ中よくやってくれた。これは後から報酬の話をしようと思う。で、だ。ようやく本題になるわけだが、代表は二人だったか?」


 そこで前に出たのは田島さんと日輪くんだった。

 田島さんが『王族』なら、きっと日輪くんは『勇者』だろう。文武両道、才色兼備。そんな彼に職業を与えるなら、俺は『勇者』だと思う。


「田島 陽花里です」

「日輪 しゅうです」


 二人が名乗ると、ジルヴァール王は二人に向けて話し始めた。声自体は聞こえてくるから、俺も耳をすませる。


「当初の予定では王都にある貴族家にその方らを預け入れる予定だったが……、まあ先ほどの通りここは最前線。しかも押され気味だ。何かと不安もあるだろう。そこでだ、一番守りの厚い王城に留まりたい者はそのまま留まってもらおうと考えている」

「とは言ってもあまり差がないのでは……」

「そうだな。だが気休めにはなろう。しかしこちらとしては戦力の偏りは望むところではない」


 ジルヴァール王は自らが押され気味だと言った。そりゃ召喚の時を狙って襲われたんだからそんなことは分かりきっていることだが、それをきちんと言葉に出来るかは難しいところだ。

 貴族街がどこにあるかは分からないものの、筋は通っているように思えた。

 田島さんと日輪くんもそのことを考えていたのか、自分たちに何が出来るのかを聞いた。


「貴族家は中央に密集しているわけではない。馬車の混雑が一時酷くてな……。まあ、そこのところを上手く割り振ってもらいたいのだ。もちろん地図は貸し出そう」

「……そういうことなら。日輪くんは?」

「俺も構わないよ」


 そこからジルヴァール王とは別れ、何人かの貴族っぽい人と共に会議室に連れられて行った。

 貴族っぽいというか普通に考えて貴族なわけだが、どうも四侯爵という立ち位置の人間らしい。

 戦時に当主が領地にいないということは、つまりそういうことだろう。

 俺たちが思っているよりも現状は悪いのかもしれない。


「北の侯爵をしているフレイバー・スレインだ。よろしく頼む」


 いくつもの本棚と大きな机が置かれた会議室。どこか埃っぽい部屋の中、集まった俺たちに一人の男が声をあげた。

 四侯爵の一人。王都の北側に居を持つのが彼だ。


「現状、王都には我々を含め、多くの貴族が集まっている。魔王の襲撃が激しさを増しているのもそうだが、隣国からの手厚い支援が受けられるからだ。残念ながら国境を接しているのがうちだけだったからな。地図は軍事機密だから見せられないが」


 フレイバー卿は苦笑いをして続ける。


「南側がだいたい仲間、北側が敵だと思ってもらえればいい。それでだ、諸君は東西南北のどこに行きたい?もちろん王城という選択肢もある」


 ざわざわと王都周辺の地図を囲んで眺めるが、実際どこが良いとか分からないし、戦うとなったらみんな一緒だ。相手に魔女がいればどうしても俺は出張ってしまうだろうし。

 そう考えていると日輪くんから提案があった。


「最初に十四人で決めたら?そこから割り振っていけば早いと思うんだけど」


 確かにそうだと、田島さん主導で話し合いが始まる。


「秋山くんと須藤くんって『魔術師』だったよね。射程ってどのくらい?」

「俺は視線が通ればいくらでも。その分威力は落ちるけど」

「あー……、行っても百?くらいかなぁ。俺は弾幕タイプだから射程は微妙なんだよね」

「王都で一番高い場所ってどこが分かりますか?」


 フレイバー卿に話が振られ、来るとは思っていなかったのか、彼は「ん?」と目を開いてある一点を指した。


「王城が一番。時点で西だな。西は少し離れたところに川がある。西ならホルディ殿が詳しいと思うが」

「……西の侯爵、ホルディ・アリッサム。王都からしばらく、西側は視線の通りがいい。雨季になれば川は氾濫するが、王都にまで来ることはないし、今のところ魔族が現れたという報告もほとんどない。南に次いで安全だろうな」


 ホルディ卿は少し肥えた男性で、あまり口数が多いタイプではなさそうだ。それでも必要な情報を話してくれるあたり協力的と言えるか。


「あ、それなら私、西に行ってもいいかな」

「横田さんは……『弓使い』?」

「『弓術士』ってなってるけどね」


 横田さんは自身よりも大きな強弓を取り出して頰をかいた。四侯爵、十六人は驚いてるみたいだけど、俺たちの反応はどうしても薄めだ。

 STR振ってるんだろうなぁ、ってのが正直なところだった。


「じゃあ俺が王城か?須藤は北行っとく?」

「北いくなら前衛何人か欲しいかな。出来るだけ硬いの」

「はい、前衛職手ぇ上げて!」


 田島さんの掛け声の元、俺含めて手をあげたのは五人。十四人の内、だいたい三分の一が前衛ってことになる。


「出席順に職業教えてもらえる?」

「『竜騎士』」

「『聖堂騎士』」

「『魔法剣士』……前は張れなくもないよ」

「『騎士』」

「『暗黒騎士』」


 こう並ぶと俺だけしょぼい名前してるな。設定上、装備もボロボロだし。一番硬そうなのは『聖堂騎士』だろうか。

 前衛を欲しがった須藤くんが選んだのは『暗黒騎士』だったけど、『聖堂騎士』、『魔法剣士』が女の子なので消去法で選んだようだ。


 これで北に二人。西に一人。王城に一人。

 残りは十人だ。先は長い。

 そこで田島さんが思い出したかのように、俺のキャラについて話し出した。全体に周知させるには丁度いいか。


「これ絶対守って欲しいんだけど、女の子は松浦くんの前で魔術、魔法は使わないでね。ロスキンの騎士って言えばそれなりに有名なんだけど、設定上魔女に国滅ぼされてるからスキルもそれなりになってるみたい」

「もしスキルが発動したら自分でも止められないから、その時はよろしく頼む。滅多なことでは死なないと思うから少々手荒にでも止めてくれ」


『不死性』のCがどれほどのものかは分からないが、並大抵のことでは死なないのは分かっている。もし暴走したら、その時は潔く痛みを受けるつもりだ。


「『占星術士』ってセーフ?もし駄目そうなら私とは別にしてほしいんだけど」

「なら『魔法剣士』も微妙?」

「あ、私『召喚術士』ね」


 おうふ……。ここに来て怒涛のカミングアウト。なら俺は誰と組めるんだ?誰が残ってる?


「俺『罠師』だから南がいいんだけど」

「『錬金術師』も生産よりだから……」


 果ては男にまで振られる始末。

 残ってるのは『聖堂騎士』と……『王族』?いや、俺的に田島さんは王城にいて欲しい。


「影山くん、職業は?」

「『暗殺者』」


 あー、絶対、王城で単独行動させた方が強いじゃんか。


「俺と組むか?『竜騎士』だし騎士同士仲良くしようぜ」

「それなら私も騎士職だし……、東空いてるよね?」


 明らかに落ち込む俺を見かねたのか、声をかけてくれたのは上野くんと工藤さんだ。神は俺を見捨ててはいなかった。


 そこからは簡単に配置が決まっていった。

『占星術師』『魔法剣士』『召喚術士』を西に。

『罠師』『錬金術師』を南に。


 そして田島さんを王城に置くと……


 東に三人。西に四人。

 南に二人。北に二人。

 王城に三人。


 これで十四人だ。

・秋山光彦『魔術師』

・上野 翔太『竜騎士』

・小川 愛姫『占星術士』

・影山 透『暗殺者』

・工藤 真矢『聖堂騎士』

・佐藤 大輝『錬金術師』

・須藤 玲『魔術師』

・高瀬 日奈子『魔法剣士』

・田島 陽花里『王族』

・中川 礼子『召喚術士』

・松浦鵤『騎士』

・山田 拓海『暗黒騎士』

・横田 奈々『弓術士』

・吉本 龍弥『罠師』


十四人の名前と職業。

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