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【真正ユレイシア帝国】受賞(1)

「へぇーなるほどね、中央議会の連中。そうきましたか……」


 テレシアから渡された手紙に目を通したリュドミアが、苦笑いを浮かべた。


「これは流石に予想外ね……」

「リュドミア様、ご無礼を承知でお聞かせください。手紙には何と書いてあったのですか?」

「ふふっ、読んでみる?ウケるわよ」


 ピシッと、リュドミアが手紙をテレシアに投げ渡した。


「失礼いたします」


 テレシアが投げられた手紙を受け取り、その内容に目を向ける。


「えー……我々は中央議会は今回の戦いの功績を讃え、リュドミア・ライヒハート殿に黒鉄剣付き・黒十字騎士勲章※1と子爵の称号を授けることを決て……称号を授ける!?」


 その内容にテレシアが思わず、文章を二度見した。しかし、やはり書いてある文面に間違いはない。


「ね?ウケるでしょ?」



 ――リュドミアが手紙を受け取る数日前、戦後処理四大貴族会議にて


「――やはり、この件は民衆には伏せておいたほうが良いだろう。兵糧という名目で散々に収奪されてきた民衆の不満は、もはや限界に近い。しかもその結果がこの大敗では、民達の怒りが爆発するだろう」


 とりあえず各人の判決が下された後、刑の執行が成される前に、四大貴族達は議会にて今後の方針について話し合っていた。


「伏せる、と?では、これほどの大敗をどう伏せるというのです?既に領内では箝口令を敷いているが、それでも噂になっているのですよ。事もあろうに、帝国の滅亡は近いと言う者まで出てきている始末です」

「仕方あるまい。これほどの大敗、隠し通すということがそもそも無理な話だ。人の口に戸は立てられない。遅かれ早かれ、生き残った兵士たちが、真実を全て伝えるだろう。民たちには正直に話して、誠心誠意謝罪するより他無いと思う」

「ルシエス卿、事は子供の喧嘩ではありません。それで民が許してくれるならば、我々はこんな会議を開いていないのですよ」

「フ、それはどうかな?ルシエス卿の言葉ならば、案外皆聞き入れてくれるかもしれないぞ。――我々とは違ってね」

「……それはどういう意味ですかな?フレデリック卿」

「そのままの意味ですが?何かお気に障りましたか?アルフレート卿」

「やめたまえ、二人共。今は国家の危機だ。とりあえず、お互いの遺恨は忘れるという約束だろう。私も先のことはもう忘れた」


 とはいえ、相手が歴史に残る大敗北となったヴィンターヒルド平原の戦いというだけに、その後始末は非常に難航していた。


 ――もっとも会議が難航しているのは、先の裁判での遺恨も大いに関係しているのだろうが。


「だが、ルシエス卿の言う通り、この大敗北を民達に知られることはもはや避けられまい。ならば残された道は一つ。その事実を知っても、民達が暴動を起こさないようにするしかあるまい」

「そんな都合の良い案があるなら苦労はしないでしょう。ウェスカー卿はさらなる武力でもって、民を押さえつけようとでも言うので――」

「ある」

「は?」

「方法はある」


 フレデリックのその言葉に、三人が一斉に顔を向けた。


「要は、敗北という事実が民衆に与える衝撃を減らせればいいのだろう?ルシエス卿の報告書に、丁度面白い内容があってね」

「……面白い内容?」

「ああ。――確かリュドミア・ライヒハート……だったか?先の戦いで大活躍だったそうじゃないか」


 フレデリックがニヤリと意地の悪い笑みを浮かべた。


※1 戦いにおいて特に大きな戦果を上げた者に、栄誉として与えられた。下から順に「黒十字騎士勲章」「黒鉄剣付き・黒十字騎士勲章」「白銀剣付き・黒十字騎士勲章」「黄金剣付き・黒十字騎士勲章」。また必ずしも下から順に与えられるものでなく、リュドミアのように、いきなり上位の勲章を与えられる事もあった

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