2-5 SIZ0にコンサートを!
「まあ。いろいろあったが切り替えていくか。」
このまま引きずっても話が進まない。
どんな感じだったかあんまり覆えていないが。
ミサに聞くと、
「言葉にできないほどのカオスだったよ。詳しくは……、ちょっとね。」
思い出さないでおこう。人は忘れる生き物らしいからな。せっかくならその特性をうまく使わないと。
「話していても何にもならないからさ。何かしよう?ほら、早く!」
ミサが、何故か慌てたように呼びかけて来る。
「そんな事いってもな……。ミサは何がしたいんだ?」
「もちろん、生産でしょう。ここはそういう場所なんですから。それとも私の歌声でも聞いていく?特別に30分までは無料でいいよ。」
「仲間なのに、30分以上はお金必要なんだな。」
「仲間も、お客さんの一人だからね。戦闘の時にそんなことは言ってはいられないけど。あ、もしかして聞きたいの?しょうがないわね。歌ってあげようじゃないの!」
「間に合ってまーす。」
「問答無用!さあ、一曲目はゴスペルよ。早く席に着いて。」
周りにいた人を、近くにあった椅子に座らせながら早口で言った。
今日のミサは話を聞かないパターンだな。というか、ちょっと宗教に絡む曲はだめだろう。
顔を変えているからわかりにくいけど、周りを見るといろんな国の人がいる。
中には、目に見えるように嫌な顔をしている人もいるが、興奮しているためかミサはまったく気づいていない。
こんなことで喧嘩沙汰になるのは嫌なんだ。
「何?ゴスペルはお好みじゃないの?じゃあお経でも読み上げましょうか。」
「なんでそうなるんだ!?」
歌っぽいけど、もはや歌ですらない。
後ろに、明らかにテンションをあげて
「お経だぁ!!」
と叫ぶ人がいるが、見なかった事にしよう。
「おっと、そこの人。ノリが良いじゃない。一緒に唱える?」
「もちろんですよ。さあ早くしましょうか。」
叫んでいた人とミサが仲良くそんなことを言って、数十人の前で唱え始めた。
……お前らで勝手にやってくれよ。
と胸の底で思いながら、ただ無心にお経を聞いていた。
そのお経には、妙な一体感があり、意外と綺麗な感じだったのはまた別の話。
説明
ゴッペル-元来はキリスト教プロテスタント系の宗教音楽。アメリカ発祥の音楽。
日本では、『天使にラブ・ソングを』の『オー・ハッピー・デー』などが有名。
お経-経迦直接の教説の事を指すことが多い。唱える時に、歌らしくなるが歌ではない事が多い。
歌で唱える事もあるが、ミサ達が唱えたのはそうではない。




