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14/25

14 SIZ0の一悶着

本日、二話投稿予定です。


「意外と人が少ないんだな。」

そういって眺めているのはこの国をぐるっと囲んでいる石の壁。

ところどころに付いている傷が、あの大事故を語っている様にも感じる。

人はならんでいるが、10列に五人ずつ並んでいるぐらいだ。


「彼」…いやバンボーは懐かしむように

「昨日はバーゲンの初売流れりの五倍くらい混んでいたんだけどね。

へし合い押し合いは当たり前、何人か死に戻りしたらしいよ。」


こんなに空いているのなら、今日来れば良かったよ。と小さく愚痴を洩らしていた。


「空いているのに越したことはないだろう?」

「そう言われたらそうなんだけど…。」


そんなことをいいながら並んでいると、

「おい、そこのエルフ。順番を譲りな。

さっさと譲るのならなにもしねぇよ。もし血がお好みなら、やってやるぞ?」


チンピラのような3人組は、バンボーに怖くない脅しを仕掛けてくる。

…嘘です。父さんに怒られる以上に怖いのですが。


こういうチンピラは、あんまり怖くないっていうお約束はどうしてしまったのか。

いい歳なのに、ほんの少しちびっと漏らしてしまいそうだ。


それでもバンボーは、呆れたように少し高圧的に出る。

こういう時の「彼」の男気は見習いたいものだ。


「はっ。あんたらはたった六人分も待てないのかな?

小学生、いや幼稚園児でも文句を言わすに待てるぐらいなのに。」


チンピラ達も負けじと、

「俺たちは、この世界を救う力を持っているんだ。

なにもできないお前らが順番ぐらい、譲るのは当然だろう?」


ただのチンピラだと思ったら英雄願望持ちなのか。


「ちっと苛ついて殺してしまったから、お縄になってしまったが。

俺はシステムに認められた【選ばれしもの】なんだよ!」


PKに、チート持ち、主人公体質…設定詰めこみすぎてホッピーセットも驚くレベルだぞ。

昔に流行ったざまぁをする気にもならない。


こういう奴は大体、【選ばれしもの】とやらを、前に出してくるからな。

【解析】を使えば簡単にわかるだろう。


 ― ― ― ― 

Nameシレヤ

称号【選ばれしもの】

(これ以上は公開されていません。)

― ― ― ― 


やっぱり。

よりによってなんでこんな奴に称号を与えるかな?まぁ、ランダムとかそんな感じだろう。


「なるほど。幼稚園児以下の知能しか持たない、人殺しの選ばれし英雄さんですか。

なるほど、他の人が滅相をしないように掲示板にさら…上げさせてもらいますよ。」


「相手にしてられねぇ。おい、お前ら。前でプルプル震えている人間を狙うぞ。」


そういったとたん、【選ばれしもの】と言っていたチンピラが、目に見えるほど顔が真っ青になった。その取りまきも、こちらを見ると顔が真っ青になる。


「こいつは…、道行く人々が道を開けることでNPCの貴族説があがっている奴じゃねえか。」


「俺は、謎のオーラでなにも言わずに順番を譲られて、問答無用で特別な部屋に案内されたVIPだって聞いたぞ。」


「あのオーラを感じないのか?ただ者じゃねえよ。」


うわぁ。噂が独り歩きして、とんでもない事になってる。

フェイクが一つもないから、これ以上ないほどたちが悪い。


「ちくしょう、おぼえてろよ。お前ら、逃げるぞ!」


これが、SIZ0の功名か。初めてSIZ0に感謝したくなったかも。


「英雄は警察に世話にならないのにな。」


そんなバンボーの言葉が出せない、俺を含めた四人。

べっ、別に俺は英雄願望なんて持っていないけど、その言葉は俺にも効果が抜群だ。


「大変…だったね。」

何も知らずにそんなことをいう「彼」が異様にたくましく見えた。

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