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お団子

ロベルト魔術祭の時期がやってきた。

今年もエリザベートのアイディアで、茶屋をやることとなった。

提供するのは、お団子とお茶。衣装は東の島国ではポピュラーな和服となった。

いつかの失敗を生かして、今年は万人受けの良いものを出すことにした。

勿論、クラス皆の意見を取り入れる事も忘れない。

そうして、出来た『聖女の団子屋さん』。

このクラスは意外と聖女ファンが多かったらしく、シャーロットを全面的に押し出していきたいとのことで。

渋っていたシャーロットも、彼ら彼女らの熱意に負けて『聖女の団子屋さん』は完成した。

ようこそ、こちら側へ。

「……フェリシア、これって」

「かつて神殿行きとなった例のあれですよ」

エドワードは苦虫を潰したような顔をしているが、ほら、人々の希望を叶えるのも聖女の役目ですし。

うんうん、決して私がシャーロットの作った団子が食べたいとかじゃないよ?決して。

「美味しいの~。流石は聖女の団子とやらじゃ!」

「美味しいですわ~!いくらでもいけますわ~!」

「ほどほどにね?」

ナツメがヒョイヒョイと団子を口に入れては口に入れていく。その体の中によく入るなってくらい飲み込んでいく。そう、食べ物としてではなく飲み物の如く。

それにつられたのか、エリザベートも食べる手を止める気配もなく、団子を口に入れては口に入れていく。

「エリザベート」

「ひっ!?フェリシア!?」

「まぁまぁ、落ち着いて。エリィもそれで最後にするんだよ?」

「は、はいっ!」

くっ、このシスコン野郎が!甘いだよ、エドワードは!エリザベートは死ぬ気で止めさせないと、際限なく食べるから。

「そういえば、最近体重が増えた気がするような?どうなんです?エリザベート?」

お腹の肉を摘まむと、王女としてはあり得ない贅肉が感じられた。彼女は、王族だという自覚はあるのだろうか?それとも、そういう考え方はもう古いのだろうか?古い風習は革新すべきだろうか?

「だ、ダイエットしますわ!私!」

「ならば、よろしい」

まぁ、でもすぐにどうこうっていうのは無理だし、そもそも小心者の私には荷が重いので、新しい次の世代に託した!

「やっほ~♪来たよ!お義姉様!」

「ご機嫌よう、フェリシア様。そして、兄上が本当に申し訳ありません」

来たな、新しい次の世代。そして、憎き敵。

どちらも本当に恐ろしい存在だ。内堀(クロエ)はアレン・ダーリングが、外堀(カイルとか)はアラン・ダーリングが、それぞれ順調に埋めていく恐怖。

特にカイルの陥落ぶりが酷い。敵の敵は味方というが、まさかそれが私の身に降りかかるなんて。

でも、私にとってもアラン・アレン両方ダーリングにとっても、想定外の事が一つ。

「わぁ、お姉様達素敵です!レイラもそう思いませんか?」

「え、えぇ、そうですわね」

レイラ嬢である。天然なクロエとツンデレなレイラ嬢は以外と相性が良いらしく、すごく仲良しになったのだ。

そして、レイラ嬢はアランに心配になるくらいベタ惚れのため……

「でも、アラン様の方が」

「え!?俺!?何々!?俺が何!?かっこいい!?素敵!?」

ことあるごとに惚気け、いちいちそれにアラン・ダーリングが反応する。結果、アレン・ダーリングは孤立無援となる。

「へぇ、クロエはアレン様と一緒にいたんですね?」

「いえ、その」

「別にいいんですけどね?クロエもレイラ様と一緒で楽しそうですし?」

「あの、えぇと」

つまり、しどろもどろとなったアレン・ダーリングに圧をかける事が出来るのだ。

敵の敵の味方とはよく言うが、まさか敵の味方が味方になる日が来るなんてな。人生は何が起きるか分からない。

「ふふっ!レイラは本当にアラン様が好きなんですね!でも……」

な、なんだ!?でも、何なんだ!?まさか、アレン・ダーリングもかっこいいとか!?はたまた、私が素敵だとか!?後者であれ!

「カイル様のお姉様に対する気持ちも負けてませんよ!」

おっと、斜め上すぎる答えだったな。アレン・ダーリングも期待していたのか、すっかり落ち込んでいる。

ははは、頑張れよ。少年。応援はしないけど。

さーて、ここはレイラ嬢に任せて、そろそろ私も別のお客様の接客をしないとだな。

「フェリシア様!こ、国王陛下がいらっしゃいました!対応をお願いいたします!」

なんて思っていたら、とんでもないVIPが来店なされたようだ。クラスの子達の慌てぶりが尋常じゃない。

「はい!?国王が!?」

お父様とお母様は仕事が立て込んでいるから来られないって言ってたのに!だから、ラッキーって思ってたのに!なのに、何故国王が来た!?宰相とその妻(元王女)が忙しいなら、国王も忙しいもんじゃないの!?

「今、エリザベート王女とシャーロット様が対応していますが、その……」

分かるよ。シャーロットだけなら安心できるけど、そこにエリザベートもとなると、何故不安にかられるよね。いくら国王がエリザベートに甘いとはいえね?

「エドワードとレベッカさんは?」

「エリザベート王女の助言で、でぇとに行かれました!」

「分かりました。私が行きます」

なら、仕方ない。私がレベッカ嬢に嫌われないためにも一肌脱ぐとしますか。

意気揚々と彼女らの所へ向かったその時だった。エリザベートの甲高い悲鳴が響いたのは。

「きゃー!!!お父様が団子を喉に詰まらせましたわ!そ、掃除機!」

「そ、掃除機はないんじゃないかな?えぇと、確か胸の辺りを強く押すと良かったような……?」

「押すのですわね?せいっ!」

「ふごっ!」

うーん?何故、倒れた国王を足で強く踏みつけた?確かに間違ってはないけどさ。でも、君が今履いてるのは凶器にもなりうるヒールだって事を分かっている?

「ナツメ、掃除機ありましたよね?」

「あるぞ!」

こうして、国王陛下暗殺未遂事件は無事未遂で終わった。ナツメが掃除機に興味を持っていなかったら危なかったな。

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