お茶会は一波乱……?
件のお茶会の日がやってきた。うん、絢爛豪華だ。
「皆様、どうぞお越し下さいました。そして、兄上のワガママを聞いて頂き、ありがとうございます」
「もう!アラン、固いぞ!もっと楽しくやろうよ~」
もう、何も言うまい。
「お招き頂きありがとうございます、アラン様、アレン様」
「ありがとうございます!」
「……ありがとう」
「止めてよ~、堅苦しい挨拶はもうお腹いっぱいだよ~」
まぁ、その気持ちは分からんでもない。私もお茶会とかそういう貴族的な催しは嫌いだ。挨拶とかマナーとか面倒だもん。
エリザベートにそれを教えて理解させなきゃいけないっていうのもあるし、更にお茶会があった場合は御守りもしなきゃならないのだ。本当に嫌。
正直滅びろと思うくらいには嫌だけど、小心者の私にどうこう出来るはずもなく。誰かが改革を起こしてくれるのを切実に待っています。うん、待つだけ。
「半分の半分くらいは身内みたいなもんだし。ねぇ?お義姉様の旦那さん?」
「旦那さん、か。あぁ、そうだな」
カイルくんよぉ。ちょっと、チョロ過ぎない?それ、もう何度目になる?
「だよねぇ!」
「ちょっ、兄上」
ははは、もう遅い。クロエは絶対にやらん。……いや、クロエが言うなら認めてやらんこともない。だって、クロエに嫌われたくないし。
「ほらほら、クロクロ♪アレンの手をどうぞ!」
「はい、失礼しますね?アレン様」
「えぇ、勿論です」
「ひゅ~ひゅ~♪」
「兄上!」
うぎぃ!羨ましい!クロクロ、じゃなくて私の妹のクロエの手を合法的に握れるなんて!いいな!
「……フェリシア、俺達も」
「あぁ、ありがとうございます」
ちぇっ、いいな。アレンはあんな美少女と手を繋げて。私もあんな美少女と手を繋ぎたいな。
あっ、いえ、別にカイルに不満があるわけではないですよ?はい、婚約者としては最高ですよ?
「まぁ!クロエ様ではないですか!相変わらず、男を侍らしているなんて……淑女としてどうなんですの?」
……何だろう。このゲーム内のフェリシア的ポジションの令嬢2号ならぬミレーヌパイセンみたいな煽り方は。
そういえば、ミレーヌパイセンとそのご家族の方は元気だろうか。野垂れ死なれても後味悪いし、元気にしてると良いのだが。
「レイラ様?こちらはフェリシアお姉様の婚約者のカイルお兄様ですし、こちらはご存知レイラ様の婚約者のアラン・ダーリング様ですよ?それが如何しましたか?」
流石はクロエだ。純粋過ぎるからレイラ様とやらの煽りに気づいていないみたい。命拾いしたな、レイラ様。
「うっ、そ、そうでしたわね」
「もう、レイラっちったら!そんなにやたら無闇に突っ掛かっちゃダメでしょ!お義姉様にぷちっと潰されちゃうよ!」
「ふん!構いませんわ!私の地位なんて、たかが知れてますし?いっそのこと、捨ててしまおうかしら?この醜い体と顔ごと」
えぇ、そんなに醜いかぁ?確かに一般的な令嬢と比べると太ってるけど、一時期のエリザベートと比べたらまだまだマシな方だ。うん、本当にね。
「えぇ、困るよ~。俺はそのどうしようもない顔が好きなんだから。あっ!どうせ捨てるなら首から上だけ俺にくれない?」
アラン・ダーリング?どうした、アラン・ダーリング?
何か、レイラ様の煽りが霞んで見えるほどドン引きな発言をしてる気がするというか、しているというか。
いや、レイラ様が良いなら良いんだよ?こんな危ない発言を受けても頬を赤く染めるくらい、惚れてるのなら良いんだよ?……本当に良いのだろうか?
「兄上、どうぞあちらでレイラ様と心行くまで二人でお話ししてきて下さい」
「えぇ、いいの?悪いな~。えへへ」
「つまり、体のいい厄介払いという事ですね?ハッ、私も一応は正式な招待客ですのに。美しいと得ばかりで羨ましいですわね、クロエ様?私はこんなにも醜いのに」
「もう、誰も醜いなんて言ってないでしょ?アレンはレイラっちと二人っきりになりたい俺に気を使ってくれただけ!アレン、ありがとう!愛してるよ!」
「速く行って下さい」
「うん!俺、今日こそはレイラっちと手を繋いでみせるから!アレンも今日こそはクロクロに告白するんだぞ!」
は?告白?
「ちょ、兄上!?」
今、私は相当に怖い顔をしている自信がある。自信しかない。
アレン・ダーリングめ!私の可愛い妹に告白するなんて、百年早いわ!私が成敗してくれる!もし、本気で好きなら私の屍を越えて行け!
「じゃあ、私達も行きましょうか?アレン様」
「え……?」
「お姉様達を二人きりにしてあげるのですよ!」
「あ、あぁ、そう言うことなら」
クロエ?君は魔性の天使なのかい?
思わずドギマギしてしまった私だが、結局二人にどうこうとかそういうのはなかった。
何故なら、我らが天使・クロエたゃは私達の恋物語とやらを盗み見るのに夢中だったから。
あっはっはっはっ!何が役立つか分かんないもんだなぁ!




