第66話 移動
セアノサスさんは傷口を見て固まっていた。
「セアノサスさん、無理に動かしたりしない限り出血はしないと思いますが……これ以上の治療は今の私にはできません」
「今まで見てもらったどの医者よりも効果が有ったよ。ありがとう」
「……これからの事って決めてますか?」
「この体では働けないしここの治療費で手持ちの金も無くなった……」
「では私達の住んでる所の近くに住みませんか?」
「住めるのなら住みたいが、金を稼いだりは出来ないぞ」
「仕事は私に魔法の事を教えてください」
「逆に俺の方が色々教えて欲しい位だが……俺の知識が少しでも役立つなら連れて行ってくれ」
「では少し自分で歩ける位まで回復したら移動しましょう」
「……そこまで入院するには予算が足らない」
「それは私が払うので大丈夫です」
「サクラが?」
「冒険者として稼いでるのでそれ位は大丈夫です」
「そうか正直助かる。それとアベリアの事なのだが、私の治療費のために食費もかなり削ってるみたいで……」
「では回復にも良いので魔獣の肉を今から食べましょう!」
「魔獣の肉を持っているのか?」
「はい。魔法で収納してます」
「……今何個の魔法を使えるんだ?」
「火と水と土と収納と転移と治癒魔法かな?」
「……俺が教えること有るのか?」
「色々魔法の基礎を教えて欲しいです」
「……先程聞き間違いでは無ければ転移魔法と言わなかったか?」
「言いましたよ」
「それは危険な魔法だ。使える事は必ず秘密にする事!」
「一部の人にしか伝えてません」
「出来ればもう誰にも言わないようにな」
「分かりました。……とりあえず肉食べませんか?」
「そうだな」
5人で集まり魔獣の肉を食べた。
「魔獣の肉は旨いな。それに体力が回復する気がする」
「多分回復してるはずです」
久々に皆で話しながら食事をしたら凄く楽しかった。
その後一週間程毎日魔獣の肉を食べていたらセアノサスとアベリアも少しずつ元気に成り移動できそうになったので退院する事にした。
「無事退院出来ましたので、これから辛いと思いますが長距離の移動となります。体調が良くなかったりしたら早目に言ってください」
「分かった」
「では行きましょう!」
私達は街の中では歩いてそれ以外は転移魔法で移動した。
「転移魔法なんて幻の魔法だと思っていたのにサクラが使えるとはな……」
「まだまだ使える魔法が増えると思いますよ」
「どうしたら新しい魔法を使えるようになる?」
「レベルアップですね」
「レベルアップ?」
「何か相手に戦って勝つと経験値が増えて一定以上貯めるとレベルが上がり体力や魔力が増えます。基本的に魔力を上げると新しい魔法を覚える可能性が上がります……多分」
「そこは多分なのか……」
「カルミアも水と火と収納魔法が使えるようになったので多分間違いないとは思うのですが」
「カルミアも複数属性の魔法を使えるのか?」
「そうですね。魔力も結構多くなってるみたいですよ」
「と言う事は……俺も怪我してなければ複数の魔法を使えるようになったかもしれないのか」
セアノサスがそう言うとアベリアが悲しそうに言った
「その怪我の原因は私達を守るため……」
「そうかもしれないがこれは自分の意思で動いた結果だ。アベリアのせいではない」
「その怪我もいつか魔法で治せたらいいな」
「残念だが無くなった部位を復活させる魔法は聞いた事が無い」
「そうですか……まあ無いなら新しくつくればいいですね」
「そうだな。無理と決めてしまうのも良くないな」
その後も転移を使い順調に移動距離を伸ばしたが5人で転移するのは少し疲れる。
疲れるがその分経験になるのか使用する魔力量は減少していった。
「一回の転移で移動できる距離が長くなってきた」
「毎日転移魔法を使ってるが魔力は尽きないのか?」
「まだまだ使えますし、魔獣の肉食べると少し回復するので大丈夫です」
今後の展開の参考にもなりますので評価、感想など頂けると助かります。
ここまで読んでいただきありがとうございます。




