第30話 移動
私達は9級に昇級したので、今までできなかった護衛の任務が出来るようになった。
「カルミア、折角だから別の街にも言ってみたくない?」
「そうね。隊商とかの護衛でどこか知らない所に行くのもいいかもね」
と言う事で護衛任務を受けてみたいとギルドで相談したら、すでに私達に護衛をお願いしたいという依頼が多数来ているらしい。
「何で護衛経験のない私達に?」
「魔獣を倒したからじゃないかな」
「確かに魔獣は倒したけど……ってもし魔獣と遭遇しても私達が倒せると思ってるのかな?」
「多分そうだと思います。ギルドとしても護衛は未経験なので単独では受けられないと言っているのですが……」
「単独ではなくどこか近場の護衛任務って有りますか?」
「有りますよ。荷物量が多いので隣の街までですが10人ほどの護衛を希望してます」
「私達でも受けられますか?」
「当然大丈夫です。受けて頂けますか?」
「お願いします」
初の護衛任務が決まった。期間は約3日で、移動中他の護衛の方に色々教えて貰う事が出来た。
「もう隣の街か……馬車の移動は早いね」
「そうだね。サクラ、これで他の護衛任務も受けられそう?」
「まだ自信は無いけど何とかなると思う。何で?」
「これは私の希望なんだけど、出来たら色々な国や街を見て回りたいのよ……そこにはいい出会いが待ってるかもしれないし」
「出会いが欲しいのね……旅は私もしたい。私って狭い世界に生きていたから……正直怖い気持ちも有るけど、カルミアがどんな人と結婚するかも見たいし旅を続けようか」
「わ、私だけじゃなくてサクラも良い年齢なんだし……サクラも恋したりしたくない?」
「私って年の近い異性の友達とか居なかったから、良く分からない」
「そう言われると実は私もたいして変わらないのよね……。でも私は幸せな結婚をしたい……」
「結婚が幸せか……なら貴族相手はやめた方が良いかもね」
「何で?」
「カルミアの家は幸せそうだった?」
「……そんな事無い。世継ぎの話しとかお金の話しばかりで大変そうだった」
「私の所もそうだったよ。私という個人より家が大切みたいだった」
「そう考えると少しさみしいね」
「だから今回の機会は私達に与えられたものなのではないかと思うの」
「家から独立して自由に暮らすって事?」
「そう。まあ完全に独立してというのは無理だけど、今までと違い色々な事に挑戦してみたいの」
「自由って……サクラは小さい時から研究所で暮らしていたからね」
「そう。普通の子供みたいに外で遊んだり出来なかった。買い物も出来なかった……別にそれでもよかったけど、今は状況が変わった。なら私は自由に生きたい」
「そうね。私もサクラの保護者としてついて行くよ」
「あれ?結婚するんじゃないの?」
「結婚してもついて行くから大丈夫」
「私は馬に蹴られたくないから……」
「馬に蹴られる?意味が分からないけど」
「気にしないで」
「でも私も世界の広さを見てみたい。街の中で馬車で移動できる範囲しか知らなかったから」
「カルミアも旅行とか言った事無いの?」
「無いよ。高等学校卒業してすぐ働き始めたしそんな時間は無かったよ」
「もしかして初の旅行が魔獣からの逃走!?」
「そう言う事になるね」
「私達って……これからいいこと有ると信じておくわ」
「そうね。そう思いたい」
数日後、ここに来た隊商に戻りの護衛も頼まれたが断り、違う街に向かう事にした。
「次は何処に向かう?」
「この前の川が失敗だったから……次は山かな?」
「では山の方に向かうと……少し遠いけど有間温泉って場所が有るみたい。行ってみる?」
「温泉!?それは行きたい。でも有間行くのなら少し稼いでからじゃないと……」
「何で?」
「何か高級そう……」
「行った事も無いのに……でも少し稼いで豪遊してみたい」
「……カルミア、結婚するにも予算は居るのよ」
今後の展開の参考にもなりますので評価、感想など頂けると助かります。
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