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オレたちエクソシスト  作者: 地野千塩


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はじまりの夏休み編(7)

 神社を後にした篝火達だが、その後はお葬式のような暗いムードになってしまった。もっともキリスト教の葬式は、人が神様の元へ旅立った喜びの雰囲気の葬式も多いらしいが。


 夕飯も松田が、餃子を作ってくれて、ちょっとしたパーティーのような雰囲気もあったが、それぞれの表情は重かった。食卓の上にはホットプレートもあり、熱々出来たての餃子を食べられるのが、ちょっとした救いな状況だった。


「それにしても日本人は、神社が好きね。何でなの?」


 幼い頃からずっとクリスチャンだった桜は、首を傾げる。


「ご利益宗教だからな。若い女性が神社に行く目的は、恋愛、金、健康が目的だろう」


 悠一が心底ウンザリしたように餃子を箸で運んで食べた。


 話題は暗いが、餃子のニンニクやニラの香りで、だんだんと篝火も元気になってきた。それにみんなで囲む夕食も楽しい。ウチでホットプレートを買っても良いと篝火は、頭に思い浮かべる。


「でも日本の神社って古代のユダヤ人と共通点があるって聞いた事ありますよ。手水舎で手を洗うのも聖書ぽいとか」


 松田は意外と物知りのようだった。日本の神社が古代ユダヤの幕屋と共通点があるのは、篝火も聞いた事がある。


「なあ、アレは日ユ同祖論だな。確かに日本にはユダヤ人も来てたっぽいが、結局廃教してるから、神社が悪魔的になってるのだよ」


 この中で一番知識があると思われる悠一が、やれやれと言った風に言った。


「日本の神社は基本的に下ネタなのよ。しめ縄は、蛇の後尾でしょ。昔の神社では乱行パーティーやってたし、そんなお祭りで生まれる赤ちゃんもいた。建前は不妊の男女の為らしいけど、単なる悪魔崇拝よ。男性器を象ったお守り、御神輿みたいのを祀っている神社も多いわ。そんな下ネタ神社にご利益ある?」


 歯に絹きせず、ポンポンと際どい事も言う直恵に、桜の顔は真っ赤になっていた。


「確かの下ネタは、ないわな……。しかも今日見た感じでは悪霊だらけだった」

「篝火くん、神社行っても、悪霊に飲まれなかったなんてすごいじゃない。普通ベイビークリスチャンは神社行ったらダメだけど」


 直恵に褒められたが、篝火はあまり嬉しくなかった。


「オレは美湖さんが可哀想だよ。何とか助けられないかな」


 篝火は、ついついそんな事を口にしてしなった。ニラやニンニクたっぷりの餃子を食べて、少し気が大きくなっていたのかもしれない。


「私もですよ。美湖ちゃんが心配です。根はとっても素直で良い子ですよ」


 松田もうっすらと涙を浮かべて頷く。確かに今は悪霊がついている状況だが、根っからの悪い人物ではない。


「でも本人が自由意思で神社を拝んでいるんでるのよ。どうしようもない」


 直恵の言う事はもっともで、やはり結論はそこの落ち着いてしまった。


 そんな夜、篝火はやっぱり寝られなかった。


 悪霊からの攻撃はないが、美湖の事を思うと、いてもたってもいられない。もちろん、これ以上は何もできない事はわかっていたが。


「寝れん!」


 篝火は寝癖のついた前髪をかきあげて、ベッドから起き上がった。


 また美湖に会えるんじゃないかという下心も感じつつ、再び海に行くことにした。


 悠一の部屋かたはおじさん臭いいびきが聞こえてくる。呑気なものだ。見かけは繊細そうにみえるが、意外と神経は太いのかもしれない。それぐらいの根性ではないとエクソシストは出来ないのだろう。


 篝火も今はエクソシストみたいな事をやっているわけだが、一生できるか?と問われたら微妙なところだった。


 悠一や直恵によると、タチの悪い悪霊は、エクソシスト本人ではなく、家族やパートナーに攻撃を仕掛けるものもいるらしい。だから悠一は一生独身の覚悟で、エクソシストをしていた。牧師はカトリックの神父と違って結婚できるが、悠一はそんな事情もあり、結婚には消極的な立場だった。


 そこまでの覚悟は篝火にはなかった。漠然と結婚したいような希望もある。まあ、週末がきたら家族を人質にとられて迫害を受ける可能性も高いので、身軽な方が良いとは解っていたが。


 そんな事を考えながら、海辺に行くと美湖がいた。


 餃子の匂いはないよな?などとちょっと不安になりつつも美湖に声をかけた。

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