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オレたちエクソシスト  作者: 地野千塩


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はじまりの夏休み編(1)

 篝火は自分の動画チャンネルを開設した。再生回数や登録者数が多いわけではないが、ミュージシャン時代のファンも見てくれているようだった。


 元ファンから肯定的なコメントももらい、なかなか嬉しかった。讃美歌から聖書やキリスト教に興味を持ってくれた人もいて、それが何よりも篝火を喜ばせた。


 ゴールデンウィークが終わってから、夏に入るかでずっと動画撮影や編集、新作作成に追われていた。


 元ミュージシャンとの雲雪とも連絡を取り、何か新しい事をしたいなどと話しあったりもしていた。


 今は自主レーベルで音楽活動は可能だった。メジャーにいって売上を上げなければいけないときは、サタンに都合のいい曲を作らなければならないが、自主レーベルで作る場合が自由だ。そに活動も始めたので、毎日が忙しかった。


 幸いな事に悪霊騒ぎも起きていなかった。

 

 真緒は相変わらず、教会には来ていないが、夜の仕事はしていない。香代からは、クッキーの注文が殺到していたので、バイトとして真緒を紹介してやった。お金のない真緒にとっては微々たる賃金だと思うが、香代によると仕事ぶりも丁寧で、助かっているという話だった。


 葵は、BL漫画を描くのやめて、歴史漫画を描く様になったという。今はネットに載せたり、出版社に投稿しているという話だった。


 また、悠一に教会の週報に四コマ漫画を描いてもらう事になった。少しばかり原稿料も出る様で、葵がやる気になり、頑張って毎週原稿を送ってくれていた。


 葵の描いた四コマ漫画が、教会のみんなからも好評で、何よりだった。


 充希も仕事をがんばり、開発した香水がある企業で採用されたらしい。もう悪霊に纏わる事で悩んでいる様子は無さそうだった。


 今まで篝火が関わった人達も問題無さそうで、篝火は安心しきっていた。


「よーし、オレも頑張るぞ!」


 そんな彼女達から刺激をうけ、篝火は頑張りすぎてしまった。連日徹夜を繰り返し、ついに倒れて病院に運ばれた。


「篝火太郎くーん! 死なないで!」


 桜は、病室で横たわる篝火を見て泣いていたが、直恵はクールなものだった。


「自業自得ね。体調管理もしっかりしなくちゃ、悪霊祓いなんて出来ないわよ」

「うぇ、直恵厳しい〜よ!」


 篝火が情け無い声を上げると、悠一が苦笑しながら、一つ提案をしてきた。


「篝火君、お前さ、頑張りすぎだ。少しリフレッシュしたら、どうだ?」

「リフレッシュ?」


 今の篝火の中には、無い言葉だった。


「そうよ。篝火太郎くん。どっか旅行行ったらいいんじゃない?」

「そう言われてもなな」


 桜に旅行と言われても、どこへ出かけたらいいか思いつかない。日本国内は、ミュージシャン時代にさんざん巡った。ある土地には、現地妻も作っていた記憶も蘇り、どこへ旅行に行ったらいいか思考停止してしまった。


 海外でも良いが、今のコロナのご時世を考えると、 海外旅行はどうなのかと考えてしまう。それに、時間も金も無い。


「直也さんとこ行きたいかも」


 あの桜の別荘は思い出深い。管理人の直也や歩美にもまた会いたくなったが、桜はちょっと困り顔だった。


「ごめん、篝火太郎くん。直也さんとこの別荘は、今うちの両親が出かけてるのよ。たまには夫婦水入らずでね」


 桜の母は普段海外暮らしで、あまり夫婦で過ごせる時間も無いという。さすがに篝火も直也の別荘にお邪魔するのは出来ない。


「だったら、もう一つの別荘行く?」

「もう一つの別荘?」


 他の面々は、一同目を丸くしていた。


「ええ。うちの別荘いくつかあるし、海辺の別荘はどう? 管理人の松田さんもいい人よ」


 桜はやっぱりお嬢様のようだ。各地に別荘があるといい、庶民育ちの篝火を驚かせた。桜の家は、今後、食糧の危機や戦争、地震に備え、田舎での別荘設置も力を入れているという話だった。


「いや、桜んちセレブすぎよ」


 直恵も桜のお嬢様っぷりにかなり驚いていた。


「でも、いいんじゃない? この話に甘えてみたら?」


 悠一は桜の提案に肯定的で、結局、桜の別荘でリフレッシュする事になった。


 当然のように桜や直恵も行くという。篝火をダシにして、別荘に行きたがっているのは明白だったが、それでもいいような気がしてきた。


 やっぱり最近は、音楽活動にも没頭しすぎていた。少しリフレッシュしても良いと思った。


「じゃあ、決まり! さっそく別荘の松田さんに連絡しておくわ」


 桜はそう言い、篝火の夏休みが決まった。


「オレも行こうかね。地域の悪霊もそこそこ片付いてきたし」


 悠一もついてくる事になった。


「いつものメンバーねぇ」


 直恵は、ちょっと呆れた風に言っていたが、篝火は楽しみになってきた。そう思うと、さっきまで感じていた疲労感や身体の疲れも癒されていくような気がした。

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