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オレたちエクソシスト  作者: 地野千塩


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悪霊ストーカー編(11)完

「本当、ごめんなさい」


 ゴールデンウイークの最終日、葵が教会に謝罪しにきた。


 葵は、篝火の熱狂的なファンで思いを拗らせ、ストーカーのような行動をしてしまったと告白した。


 悪霊が抜けた葵は、こうして謝ってきたわけで、やっぱり根から悪い人物には見えなかった。


 それは香代も同じだった。


「本当に姉として監督不足だった。篝火さん、ごめんなさいね」

「いやいや、いいんだよ。香代さん」


 香代からお詫びとしてアイシングクッキーの入ったギフトボックスを貰った。とても綺麗にラッピングされていて、逆に篝火は恐縮していた。


「なぜかBL漫画に興味なくなったの。あと、男性の事も怖くなくなった」


 葵は、すっきりとした表情で語っていた。やはり、それも悪霊の影響だったのだろう。篝火は、悪霊に事などを葵や香代に説明し、福音も伝えた。


 勝手に悪霊を祓ったわけで、この二人が福音を受け入れるかは不安だったが、意外な事に聖書やキリスト教にも興味があると語っていた。


「じゃあ、また教会来なよ。求道者として色々勉強しよう」

「そうね」

「そうする、お姉ちゃん」


 二人に様子を見ていたら、また悪霊が戻ってくる可能性は低そうで、篝火は胸を撫で下ろした。


「でも、BLとはいえ、あんなに漫画上手いのに、辞めちゃうのは勿体無いね」


 篝火は、あのBL漫画は気持ち悪いと思ったが、単純に絵は上手かった事を思い出す。


「うん、BLはもう描けないけど、他に色々描いてみるね」


 葵は動物や歴史の漫画を書きたいと夢を語っていた。それを聞いて、篝火も香代もホッとしていた。


「逆に篝火さんもミュージシャン捨てるのもったいないね」


 逆に葵から心配されてしまった。


「まあ、オレはいいんだよ」

「もったいないよ〜」

「私もそう思うわ」


 姉妹から揃ってそう言われてしまい、ちょと胸はチクチクとしてきた。またメジャーに行くとは言わないが、新しく讃美歌を作って、動画サイトにアップしたり、自主レーベルを作って良いと希望を持ち始めた。とりあえず、明日に讃美歌の動画や元ファンへ向けたメッセージ動画はアップ予定だ。


 葵と香代が帰ったら、自室にこもって動画編集をしていた。ノートパソコンは、元々家から持ってきたもので、売らなくてよかったと思う。


 動画編集に夢中になっていたら、いつの間にか夕方になっていた。


「ただいま〜」


 悠一が北海道から帰ってきた。


「こっちは暑いな」

「そうかね?」


 悠一のお土産のトラピストクッキーを食べながら、二人でお茶を飲む。トラピストクッキーは、生地がサクサクで、甘味も控えめなので、何枚でも食べられそうだった。


「という事で、葵ちゃんと香代さんの悪霊を祓ったん」


 篝火は、葵と香代の悪霊騒ぎのついて全部報告した。悠一は葵が描いたBL漫画を見ると「無駄な才能だ!」と大爆笑していた。てっきり気持ち悪がると思っていたが、意外だった。


「しかし、一人で悪霊祓えたなんてすごいじゃないか」

「そうか?」


 篝火は、首をかしげる。


「そうさ。十分ひとりでやっていけるんじゃないか?」

「そうかねぇ?」


 イマイチ信じらないが、とりあえず葵と香代の件は解決できてよかった。自信などは全然ないが、一人でエクソシストが出来たのは、ほんの少し篝火に自立心を芽生えさせていた。仕事はもちろんだが、また音楽も再開しようと思っていた。


「しかし、腹減ったな。アイスでも食うか」


 悠一は、冷凍庫の方に行きアイスを探しに行った。


「あれ? ハーゲンダッツが無いんだけど?」

「あのハーゲンダッツ悠一さんのだったの? 食べちゃったんだけど……」

「は!?」


 食べ物の恨みは怖い。


 この件でしばらく悠一は、口をきいてくれなくなった。しかも1か月、トイレ掃除も篝火の担当になってしまった。


「そんなぁー」

「だめだ。アイス食ったんだから、トイレ掃除な」


 悠一は北海道から帰ってきたばかりだが、またどこかに出張に行って欲しいと思う篝火だった。


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