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オレたちエクソシスト  作者: 地野千塩


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悪霊ストーカー編(9)

 葵が住むマンションは、香代のクッキー工房と悠一の教会とちょうど中心部分にあった。


 比較的新しいマンションや二世帯住宅が立ち並ぶ住宅街の道を香代と一緒に歩く。


 ゴールデンウイークで、人々はレジャーにでも出掛けたのか、住宅街は人気が少なく静かなものだった。


「葵ちゃんは一人暮らし?」

「いえ、母と一緒。でも、母との関係も最悪ね」


 香代は、母親の話題もあまりしたがらず、困ったような顔を見せる。


「うちの家族はほとんど崩壊しているようなものね」

「そんな……」

「見えない何かの責任かもしれないけど、私はあんまり家族に愛情持てなかったかもなぁ」


 そんな事を話しつつ、葵が住むマンションについた。8階建ての新しいま綺麗なマンションだった。


 オートロックだったので、エントランスで香代に暗証番号を押してもらおうとした時だった。エントランスから、20歳ぐらいの女が出てきた。


 女かどうかはちょっとわからない。髪はベリーショートで、パーカーとジーンズという格好で、男の子っぽかった。


「葵! あんた何してんのよ!」


 このユニセックスの女性は葵だった。香代は目を吊り上げて、葵を責め始めた。


「うちの工房に変なチラシを送ったのもあんたね? この篝火さんにも変な漫画を送ったでしょ?」


 香代に責められた葵は、顔を真っ青にして冷や汗を流していた。どう見ても香代への嫌がらせも自分へのストーカーも葵の仕業だと篝火は、納得した。ただ、香代は少し責めすぎだった。これだと事情を聞き出す事は難しいだろう。


「ちょっと、香代さん。少し責めすぎ。葵ちゃん、ちょっと話を聞きたいけどいい?オレはバンドやめちゃったけど、篝火。知ってる?」


 篝火はできるだけ優しい笑顔を作り、葵に視線を合わせるようにして言った。


「そ、そんな……。篝火とお姉ちゃんが何で」


 葵は今にも泣きそうだった。しかし、マンションのエントランスで、ずっと立ち話もできない。配達業者や犬の散歩中の住人が、チラチラとこちらを見てきた。


「ちょっと事情を聞きたいんだけど、いい? 教会なできてくれる?」


 篝火は、葵の背後にいる悪霊を睨みつけながら言った。葵の背後には、霊媒の悪霊がどっさりついていて、篝火の威嚇にびびっていた。


 霊媒の悪霊をつけているという事は、悪霊を使って京香内部をストーかしていた予想もだいたい合っているだろう。


 手強そうではあった。ハッキリとは見えないが、霊媒の悪霊の他にドッサリと他の悪霊をつけていた。おそらく悪霊同士でグループを組んで葵についているように見えた。


「葵、篝火さんの言う事を聞きなさい」

「う、うん……」


 香代にも怒られ、結局三人で教会に向かった。


「大丈夫。ちょっと話を聞くだけだよ」


 まさか悪霊祓いをするとは言えない。そんな事を言ったら葵は逃げるだろう。


 少し騙しているようで、気分は悪くなったが、このままでは放っておけない。ストーカーのような行為を受けた事は、今はもうあまり気にしていなかった。葵の背後にいる悪霊を見ていると、早く助けたいと思ってしまった。

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