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オレたちエクソシスト  作者: 地野千塩


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お金の誘惑編(6)

 教会につくと真緒とその子供を、礼拝室の椅子に寝かせた。


 子供は10歳ぐらいの男の子だが、顔は真っ青で意識を失っていた。


 真緒も同じようにぐったりと意識を失っていた。


「ちょっとどうする? 二人にはかなりしつこそうな貧困の悪霊が憑いてる」


 珍しく直恵は焦りながら、二人を見下ろした。


「とりあえず、追い出そう!」


 悠一の言葉を皮切りに二人についている悪霊を追い出しはじめた。


 トロい桜は、まだ教会についていないが仕方ない。篝火、悠一、直恵の三人で声を上げながら悪霊祓いを始めた。


『ひひひ、ウザったいエクソシストだねぇ』


 真緒の身体を借りた貧困の悪霊が、言葉を発し始めた。


『この女は、オレのものよ。一生不幸にさせてやる!』


 悪霊の雄叫びとともに、礼拝室の電気が消えた。


 悪霊は電気への攻撃が得意という。篝火はスイッチを確認したが、一向に電気がつかない。これも悪霊の攻撃だろう。悠一が懐中電灯をつけたので、それほど揉んだはないが、やっぱり薄暗い。


『あはは、お前らエクソシストとかいって信徒一人守れないとか情け無いな。ポーズで信仰者やってるんじゃない? 本当はお金とか物質的なものは好きでしょー?』


 悪霊は誘惑の言葉も口にし始めた。


「なんなの、この悪霊……」


 遅れてやってきた桜は、この状況を見て言葉を失っていた。しかも真緒についている悪霊は、桜を見て余計に興奮し始めた。


『おまえのような恵まれたお嬢様には、お金の事なんてわからないのさ!』


 そう言って、桜の首を絞めようとした。身体は女性の真緒なのに、男のように吠えながら、ドスの聞いた声を上げている。明らかに真緒ではなく、悪霊が発している声だった。


 さすがの直恵も腰を抜かして、その場にしゃがんでしまった。


 篝火と悠一、男二人ががりで真緒と桜を引き剥がす。


 二人とも汗だくだった。


 その後、何度か悪霊追い出しを試みたが、結局出ていかなかった。一言で言えば失敗だった。


 意識を取り戻した真緒と子供だが、特に桜に強い悪意を投げはじめた。悪霊と全く同じ言葉を口にする。


「あなたのような恵まれたお嬢様には、お金の苦労なんてわからないのよ」

「そ、そんな……」


 桜は、言葉を失っていた。確かに綺麗なお嬢様風のワンピース姿の桜と、シャツにジーンズ姿の真緒は、落差がえぐい。


 真緒の髪の毛も乱れ、子供の虚ろな表情だった。


「稼げないのは、貧乏なのは自己責任? 子供を産んだのも好きで結婚した結果?」


 真緒の悲痛な叫びに桜はもちろん、直恵や悠一も何の声が出てこない。


 いつの間にか電気が復活したようで、礼拝室の中は明るくなったが、真緒と子供の表情は闇のように暗い。


 篝火の目からは、真緒の言葉は背後にいる貧困の悪霊が言わせている事がわかってはいたが、こうまで言われてしまうと、言葉がない。


「祈ったわよ。それでも暮らしは一向に良くなたない。これは私の自己責任ですか? もう、いや。お金の事を考えるのも嫌」


 真緒はそんな捨て台詞を吐いて、子供の手を引いて帰って行ってしまった。


「ど、どうしよう……」


 珍しく直恵は、弱気だった。


「これって悪霊追い出し失敗したって事?」


 普段おとぼけキャラの桜も泣きそうな顔を浮かべながら、言う。


「やばいな。卓弥って男が持ち込んだ貧困の悪霊はたちが悪い」


 悠一は額の汗を拭いながら、悔しそうに髪をかきむしる。


「どうなるの、コレは……」


 篝火の口からも弱音が溢れた。


「こんな風に失敗すると、地域の悪霊が活発に動くんだ。とりあえず追い払うが、真緒さんは……」


 悠一の言葉は、これ以上続かなかった。


 みんな明らかにショックを受けていた。


 どうしたらいい?


 とりあえずみんなで1時間近く祈っていた。断食もした方が良いという事になり、3日間の断食が始まった。


 桜や直恵は断食には参加しなかったが、篝火はこんな風に悪霊追い出しに失敗した事が、想像以上にショックだった。


「結局本人が、神様を受け入れないと、どうしようも無いのよねぇ」


 そんな篝火に直恵は、意外とフォローしてくれたが、心は重くのしかかっていた。

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