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後日談「栄光の世代」

 天使からの侵攻と白化被害に怯えたオーデンセ王国の民に、吉報を届けたいという理由で、終末戦争に史上初めて勝利した第38勇者隊の取材が行われることになった。取材内容をまとめたら、オーデンセ王国の城下町で伝令を使って民へ知らせることになっている。


「ここが……ヴァルハラ勇者寄宿学校」


 私、ニーナ・ヘンゼルはオーデンセ王国の書記官。ヴァルハラ勇者寄宿学校は存在を知られてはいるものの、内部事情はかなり高いレベルの機密なのか一般には公開されていない。ここへ取材に来るのは私が初めてということもあって、少し緊張していた。


 教室の1つを借りて、そこへ第38勇者隊の勇者が取材に応えてくれることになっている。私は椅子を借りて、ペンと羊皮紙を手に持ちながら待つことにした。数人の勇者が教室へ来て、取材を受けてくれた。それを羊皮紙へまとめていくことにする。


 ────────────────

 第38勇者隊序列12位銀級勇者 ドゴン・アーロン

 ──あなたのことを教えてください

 「俺はドゴン。戦士だ」

 

 ──戦士、ですか。勇者ではなくて?

 「そうとも言う」

 

 ──勇者になった理由を教えてください

 「力はあるが、知恵がなかった。だから勇者になった」


 ──終末戦争に勝てた理由を教えてください

 「運命に抗った、本当の戦士がいた。それだけだ」


 ──オーデンセの民にひとことください

 「エルフの魔法は痛い。気をつけろ」


 備考: 口数が少ない、寡黙な男性。発言は支離滅裂だが、どこか優しい大柄な勇者。

 ────────────────

 第38勇者隊序列9位銀級勇者 イリア・スカーレット

 ── あなたのことを教えてください

 「ボクはルーン魔法学院首席卒業の天才魔法使い、イリア・スカーレット! お、お母さんー! ボク、生きてるよー!」

 

 ──かの有名な魔法大学出身とは、優秀な勇者なんですね

 「そうだよぉ! 終末戦争でボクの魔法が火を吹いたのさっ! 学長にまた褒められちゃうかも!?」

 

 ──勇者になった理由を教えてください

 「魔を極めて、いずれ魔法学院の先生になりたい! そのために、魔法の鍛錬をしたかったのが理由かな?」


 ── 終末戦争に勝てた理由を教えてください

 「ボクの活躍が凄かったのが理由! あ、でもフェイもなかなかやる男だよ!」


 ──オーデンセの民にひとことください

 「魔法を学ぶならルーン魔法学院っ!」


 備考: 自信過剰だが、可愛らしいエルフの魔法使い。あとでルーン魔法学院にも取材へ行く。

 ────────────────

 第38勇者隊序列6位金級勇者 シャルロッテ・ミネルヴァ

 ──あなたのことを教えてください

 「あ、私……シャルロッテ・ミネルヴァと申しますっ! 第38勇者隊では治癒師を務めておりますっ!」

 

 ──ミネルヴァということは、ミネルヴァ孤児院出身?

 「はい、私も孤児だったのでっ。勇者になる前はミネルヴァ孤児院でシスターをしておりましたっ」

 

 ──勇者になった理由を教えてください

 「子供たちの笑顔を守りたかったから、でしょうかっ? えへへ……」


 ──終末戦争に勝てた理由を教えてください

 「えっとっ……フェイさんが帰ってきてくれたから……」


 ──オーデンセの民にひとことください

 「オーデンセの皆様、私達勇者は世界のために全力を尽くしていますっ。どうか、私達の無事をお祈りくださいっ!」


 備考: 凄く美人なお姉さん。いい匂いがした。この人に治癒されたい。

 ────────────────

 第38勇者隊序列3位金級勇者 ガイル・シモンズ

 ──あなたのことを教えてください

 「オレ様は漢の中の漢ぉ、ガイル様だぁ! 取材を受けられるなんて最高潮、絶好調だぜぇ!」

 

 ──趣味や特技があれば教えてください

 「趣味は正義のヒーロー。特技は超高速パンチだ! オレ様の目が白いうちは、悪い奴には鉄拳制裁だぜ!」

 

 ──勇者になった理由を教えてください

 「オレ様は最高にカッコイイ正義のヒーローになりてぇんだ。世界を守るだなんて、一番イカしてるだろ!?」


 ── 終末戦争に勝てた理由を教えてください

 「俺のパンチで天使が消し飛んだからなぁ! あ、そういやフェイから酒もらってねぇ!」


 ──オーデンセの民にひとことください

 「ガイル・シモンズの名を覚えておけ! オレ様が全員、特に女は守ってやるからよぉ! あ、ちがう、シグルーンのアネキ、これは違うんですアネキは別で……」


 備考: 個性的でうるさい粗暴な男。シグルーンというお姉さま勇者に引きずられていった。

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 第38勇者隊序列1位金級勇者 アルベール・フォン・オーデンセ

 ──あなたのことを教えてください

 「僕はアルベール・フォン・オーデンセ。ああ、公的には死んだことになってるはずだから、偽名で頼むよ」

 

 ──アルベール王子、生きていらっしゃったんですね

 「内乱から逃げ延びて、しばらくは隠居生活をしながら何とか生き長らえていたよ」

 

 ──勇者になった理由を教えてください

 「越えたい目標があったというのと、天使の侵攻から祖国を守りたいというのが理由かな」


 ──終末戦争に勝てた理由を教えてください

 「仲間たちと力を合わせて、共に生きたいと思ったのが勝因だと思う」


 ──オーデンセの民にひとことください

 「……天使は僕たちが止める。信じて待っていてくれ」


 備考: 凄くかっこいいオーデンセ王国の第六王子。生きていて良かった……ファンです。

 ────────────────


「ありがとうございます、アルベール様」

「ええ、ご苦労様です」


 ここまでの取材で名前が出てきたフェイという勇者に興味を持ち、アルベール様に伺ってみる。


「第38勇者隊は初めて終末戦争に打ち勝った『栄光の世代』と呼ばれる、優秀な勇者たちだと聞いています。その勇者たちが名前を挙げた、フェイという勇者に取材をしたいのですが」


 困った顔でアルベール様が少し考えてから、話し始める。


「恐らく、彼は取材を受けない気がするね。珍しい人間で、地位や名声などに全く興味を示さないから」

「なるほど、欲がない、と」

「いや、そういうわけでもない。ただ……」


 去り際に優しく微笑みながら続きを言う。


「誰よりも人間が好きな変わった奴でね。そして、どんなに打ちひしがれても、心が折れたとしても、また立ち上がる。そういう人のことを『英雄』と呼ぶのだと、僕は思う」


 ──これが、私が英雄フェイ・シュトラールのことを知った初めての日の話だった。

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