Epilogue 「第38勇者隊戦果報告書」
俺たち第38勇者隊は終末戦争に勝利し、凱旋となった。数日間の休息後、俺とアルベール、ヴィンセントの3人はゼロに報告するため、書斎に来た。
「……以上が第38勇者隊の戦果報告書になります」
アルベールが戦果報告書をゼロに提出する。
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第38回終末戦争戦果報告書
+ 天使討伐数 +
歩行型: 29体
飛行型: 7体
特質型:1体
+ 勇者隊被害 +
死亡者: 0名
天使化: 0名
+ 白化被害領域 +
被害無し
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「……ご苦労だった」
「それだけぇ!? 俺たち、死ぬ気で戦って終末戦争に勝ったんだぜ!? もっとこう、労いの言葉ってのが……」
「おい、フェイ。勘違いするなよ。お前は勇者隊を裏切り、1人で死地に飛び込んでいったクソ野郎だ。懲罰を受けないだけ、俺に感謝するんだな」
「……ったく、わかったよ。悪かったって」
そういえば、聞きたかった事をヴィンセントに聞いてみる。
「そういや、どうやって皆は世界樹まで来たんだ? 馬は俺が逃がしちまったし」
「あ、言ってなかったっけ? 転移魔法だよ」
「転移魔法ぉ!? それって黒法衣が使う禁呪じゃねぇのか?」
禁書庫で読んだ本には、転移魔法は禁呪とされていて、オーデンセ王国では使用を禁じられていたはず。黒法衣どもが使っていたのしか見たことがねぇが、いったい誰がそんな魔法を……。
「あ、これも言ってなかったっけ? 私はオーデンセ王国の国王直属暗部『黒法衣』の元首領だからねー? 転移魔法くらい、ちょちょいのちょい、ってね」
「はぁぁ!? 聞いてないが!?」
「転移魔法が使えなかったらヘスラック村とかいうド田舎に、あれだけの本を届けるのは無理でしょう? 君がここまで数週間かかった道のりを、どうやって私が1日で来られたと思ったんだい? まさか、足がとんでもなく速いと思ったとか言わないよねぇ~?」
……よくわからねぇが馬鹿にされてることはわかる。まぁ確かに、言われてみれば……最初に会って、次の日には本が届けられた。全然疑問に思ってなかったぜ……。
「まぁ、一度行った場所にしか転移できないし、使用すれば魔力をほとんど使い果たす。同時に連れて行ける人数が限られるという制約もある。だから君への救援は有志を募って、少人数で向かわせたのさ」
「なるほど、そういうことだったのかよ……」
じゃあ、俺をヘスラック村からヴァルハラまで連れていくことも出来たんじゃねぇか。こいつ……やっぱ1回ぶん殴ろうか。
ゼロが報告書を机に置き、怪訝そうな顔で言う。
「……話は終わったか? なら、戻れ」
「へいへい、邪魔したな」
終末戦争に勝ったと言っても、徘徊天使は相変わらずうろついてるし、勇者としての仕事はまだまだ残ってる。俺とアルベールは書斎から出て、勇者2年目の準備をすることにした。
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「だから言ったでしょう? フェイは私の切り札だって」
「……ああ」
ゼロが椅子に寝そべり、窓の外を眺める。その目には、涙が浮かんでいた。
「これで、死んでいった勇者たちにやっと顔向けができる」
「あなたもフェイと似て、1人で抱え込む癖があるんですから。たまにはゆっくりしないと、眉間にシワが寄りますよぉ?」
「……そうだな」
──ゼロが涙を隠すように、報告書を顔の上に乗せる。
「……勇者が、初めて終末戦争に勝ったよ。ようやく、前へ進めたぞ……ガブリエル」
その言葉は白く美しい世界へ、投げられた──。




