5.幸せとは
「おはよう」
「・・・・・・おはようございます」
「よく眠れた?」
「そこそこですかね」
「そう」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・幸せって何だと思いますか?」
「好きな人と愛し愛されることかな」
「それは確かに幸せかもしれませんね。けど、怖くないですか? 愛されることに慣れてしまうと、愛されなくなったその時が」
「・・・・・・悲しいことを想像するんだね」
「期待すればするほど裏切られた時に辛い思いをしますからね。ある程度は覚悟しておかないと」
「そりゃあ、期待しなければ裏切られることもないだろうけど、そんな生き方じゃ幸せにはなれなさそう」
「けど、恋って長続きしないものですからね。というか、今まで沢山の人と付き合っていたような人が、急に1人の異性と暮らし続けるなんてのは出来ないと思うんですけど、結婚する時、なんで今回ばかりは長続きするだろうと楽観的になれるのかとても不思議です」
「恋人を作るのと結婚するのじゃ全然違うでしょ」
「勿論、本気度は違うと思います。ただ、恋人同士でも、ずっと一緒にいよう的な約束をするくらいには真剣なお付き合いをしていた場合、そこから上手くいかない人は結婚しても上手くいかないと思うんですよね。なんなら、結婚という縛りが強まったせいで、好きでもないのに一緒に居続けなくてはいけないなんてことになります」
「・・・・・・この話やめない?」
「・・・・・・やめますか」
「◯◯は幸せについてどう考えてるの?」
「私は、幸せって飽くまでも相対的なものでしかないと思っています」
「どうゆうこと?」
「普段の環境によって感じ方って変わると思うんですよね。例えば、高級料理を毎日のように食べている人と、そうでない人では、高級料理を食べた時に感じる幸せ度は全然違うと思います」
「まあ、そうだろうけど」
「生きているだけで幸せって言う人いるじゃないですか。私の考えとは違って、生きているという状態なだけで絶対的な幸せが得られていると感じている人たちです。けど、その人たちの言う生きているだけというのは、きっと健康的で衣食住も当たり前のようにあって人間関係も良好で未来が明るく見えている、そんな恵まれた状態のことを指していると思うんですよね。・・・・・・私は、少し動くだけで激痛が走り、睡眠も取れないような状態になった時、生きているだけでこんなにも苦しまなくてはならないのかって心底思いましたけど、生きているだけで幸せ派の人たちが、呼吸すら困難なほどの病気に陥った時、それでも心の底から生きているだけで幸せだと言えるのかとても興味があります」
「・・・・・・その、生きているだけで幸せ派? の人たちと過去に何かあった?」
「いや、別にそういう訳ではないんですが、・・・・・・なんか自分が本当に辛い時って、幸せそうな人たちが凄く嫌なやつに思えてしまうんですよね。自分と比較してしまい、なんで私はこんなに苦しんでいるのに、なんて身勝手なことを考えて、そんな考えを持つ自分に失望し、さらに不幸になっていく。まあ、そんな悪循環に陥っていたことがありまして」
「まあ、気持ちは分かるよ」
「人と比べることから不幸は始まる。みたいな名言があったような気がしますが、本当にその通りだと思います。連絡用以外のSNSをやめたことで、人と比べることによる不幸はなくなりましたけどね」
「もしかしてそれがSNSをやめた理由?」
「まあ、理由の1つではありますね。仲の良い人の幸せな姿を喜べなくなった時は、心底自分に失望しました。・・・・・・それほどまでに追い込まれていたというのもありますが」
「けどさ、本当に幸せな人ってSNSで幸せアピールしないと思うんだよね」
「それは、その通りだと思います。本当に幸せな人は、自己顕示欲を発散する必要はないと思いますし」
「今は、自己顕示欲のモンスターが大量発生してるよね」
「してますね。まあ、気持ちはすごい分かりますけどね。けど、ふと自分の投稿を客観的に見た時に、自己顕示欲が滲み出ていて、なんか恥ずかしいなって思った事がSNSをやめたもう一つの理由になります」
「・・・・・・じゃあ、今SNSやってる人に対して、こいつら自己顕示欲が暴走してるなって思ってるの?」
「いや、そんな見下すような感じではなくて、嘗ての自分を見ている感じで微笑ましく思っていますよ。思春期の男の子を見るようなイメージです」
「それ、SNSやってる人に言わないほうがいいよ」
「あ〜、やっぱり感じ悪いですかね」
「人によっては怒りそう」
「今後気を付けます」
「私に話す分には平気だけどね」
「お〜、かっこいいですね」
「・・・・・・まあね」
「では、ちょっとその言葉に甘えて他にも色々言いづらいこと言っていいですか?」
「・・・・・・いいけど」
「・・・・・・バイクで爆音鳴らす人たちって、小さい子供が音の鳴る靴で遊ぶみたいな感覚なんですかね?」
「・・・・・・やめて。そんなん言われたら急に可愛くみえてくるじゃん」
「・・・・・・限界を超えろってよく言うじゃないですか。けど、限界ってこれ以上越えれないから限界と呼ぶ訳でして、もし限界を越えれたのだとしたら、それは限界ではなかったということになりませんか?」
「確かにそうかも」
「・・・・・・輪廻転生とか言いますけど、記憶も身体も遺伝も別物に生まれ変わったとして、それって最早別人じゃないですか?」
「・・・・・・」
「天才と言われて怒る人いるじゃないですか。今までどんな努力をしてきたのかを知らずに、天才の一言だけで済まされるのが嫌とかそんな理由で。けど、よく考えてほしいのですが、凡人はどんな努力をしようが頂には辿り着けません。人生の全てを捧げても、何の結果も残せない、そんな人で溢れているのに、結果を出した人が天才じゃなくてなんなんですかと言いたくなるんですよね」
「・・・・・・」
「運命とか言いますけど、多分その運命の人に出逢っていなくとも、他の人を運命の人と言うんでしょうね」
「・・・・・・」
「出逢った確率は何億分の1だとか言いますけど、誰かしらに出逢う確率は100%ですよね」
「・・・・・・」
「恋は勘違い。愛は依存。そんなような気がするのですが貴女はどう思いますか?」
「・・・・・・」
「リ◯払いって最早詐欺ですよね」
「・・・・・・なんか色々溜まりすぎじゃない?」
「・・・・・・そうかもしれません」
「ゆっくり休んだ方がいいよ」
「・・・・・・ベッドを希望します」
「まだ早い」
「・・・・・・」
「・・・・・・」




