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あなたは何のために生きていますか?〜飛ばし読みしてしまうあなたに贈る会話だけの物語〜  作者: 今際の刹那


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15/18

15.命の重み




「今、N◯SA貧乏ってのが増えてるらしいね」


「なんか本末転倒ですよね。・・・・・・私は、60代以降の100万円よりも、20代である今の50万円の方が価値があると感じているので、投資で資産が増えるからと言って必ずしもそれが正解ではないと思っていますが、年後への不安に煽られ、未来を重視し、今を疎かにしてしまっている人が思っている以上に多いことを悲しいと感じます」


「まあ確かに、物価高とか円安とかを抜きにしても、子供の頃の1万円と大人になってからの1万円では価値が全然違うと思うし、他にも、金持ちとそうでない人の1万円に対する感じ方や重みなんかも全然違うと思うけど、私は別に、20代と60代以降のお金の価値が倍以上も変わるとは思わないけどね。20代の方がお金の価値が高いというのは肯定するけど」


「そこの価値観の違いはあると思いますが、別に私も、倍以上も価値が変わるかどうかに拘ってはないですよ」


「けど、倍以上も価値が変わると思っていない人にとっては、60代以降に投資で資産が倍以上に増えさえすれば、その投資は意味あるものにはなるんじゃない?」


「あ〜、言い方が悪かったかもしれませんが、そもそも、長期投資に関してはやった方が良いと私は思ってますよ。ただ、それは飽くまでも余裕資金でやるべきであって、今の生活を苦しませてまでやるのはどうなんだと、そう思っているだけです」


「今の生活が苦しむのだとしても、60代以降には資産が倍以上になるのだとしたら、そっちの方が良い、って考える人もいるんじゃない? あ、言っとくけど、私も投資は余裕資金でやった方が良いとは思ってるよ? ただ、そういう人もいるんじゃないかって話ね」


「なるほど。そう言われますとちょっと難しいですね。ただ、年後への不安を煽ることで得する商売もありますから、不安への煽りが事実だったとしても、それに踊らされすぎないように気をつける必要はあると思いますけどね。60代以降のお金の価値を高めに見積もっている人には、年後への不安を強く感じているという背景もありそうですから」


「そうかもね」


「刹那さんはN◯SAやってますか?」


「やってるよ。毎月積立してる。◯◯は?」


「私も毎月積立してま・・・・・・し、たね」


「過去形?」


「・・・・・・まあ、死んだら、貯めてた金は無駄になりますからね」


「・・・・・・」


「・・・・・・あ、いや、ちょっと訳あって、それで、まあ、あれですよ、別に深い意味はないです」


「・・・・・・そう」


「そうです」


「・・・・・・」


「・・・・・・」


「・・・・・・」


「・・・・・・」


「・・・・・・そういえばさ、ヴィーガンの話をした時、ヴィーガンの人は100失われる命を90とか80とかに減らそうとしているって表現してたけど、動物を食べなかった分だけ植物を食べている訳で、失われる命だけにフォーカスするなら、植物の方が失われる命の数自体は増えるよね。・・・・・・ダー◯ィン事変では、植物はいいのかっていう質問に対して、動物は苦痛を感じていると明確に分かるだろうってヴィーガンの人が答えてて、それはそうだなとは思ったんだけど、その考えでいくと、例えば痛みを感じないように殺した場合、動物と植物で何の違いがあるの?」


「・・・・・・これは飽くまでも私個人の考えですし、これが正しいとは全く思わないですが、動物と植物では全然違いますよ。これは別に動物と植物に限った話ではなく、動物同士でも、犬と鼠では全然違います。人同士でも、親しい人と赤の他人では全然違います。全然違うんですよ。命の重みが。・・・・・・私の理性的な部分では、命の価値は同じであるべきで、鼠だろうがなんだろうが、差別をするべきじゃない。と、思ってはいますが、私の感情的な部分が、命は平等じゃないと訴えるんです」


「凄いこと言うね」


「命は平等だと訴えることは簡単です。私も、命は平等であるべきだとは思います。ですが、実際に、命を平等に扱えるかと言えば、それは難しいと感じます。・・・・・・刹那さんは、トロッコ問題で犬と鼠のどちらかを殺さなくてはいけない場合、どちらを殺しますか?」


「・・・・・・そりゃあ、犬を」


「え? 犬ですか?」


「犬を救うね」


「・・・・・・ですよね」


「二択で聞かれればね」


「まあ、二択で聞くのは少し意地悪でしたね。どちらかを絶対に選ばなくてはいけない時点で、どちらを選んだとしても、命を平等に扱う事は出来ない仕組みになってますから」


「だよね」


「ですが、生きていれば様々な選択が襲ってきます。私を含む多くの人間は、動物が殺されない事よりも、肉を食べる事を選んでいますが、ヴィーガンの人達は、植物が殺されない事よりも、動物が殺されない未来を選んだのでしょう。結局は価値観の違いでしかないです。正しいとか正しくないとか、それすらも価値観次第でしょう」


「そうかもね」


「あ、ですが、生きたまま茹でたり捌いたりするのだけは間違っていると感じます。国によっては、生きたまま茹でるのを法で禁止しているところもあったような気がしますが、そういった考えが、もっと世界に浸透してほしいと心底思います」


「そうだね。そうなるといいね」



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