12.ヴィーガンについて
「ヴィーガンについてどう思う?」
「シンプルに凄いと思いますよ。私には出来ないので」
「ヴィーガンの考え方は正しいと思う?」
「・・・・・・今は、正しくないとされていますね」
「今は?」
「今後、肉の代替品が豊富になって肉である必要がなくなっていけば、自然とヴィーガンが増え、ヴィーガンの考え方が正しいとされる世界が来る可能性はあります。肉の代替品で満足出来るなら、わざわざ動物を殺して食べようと思う人間は減るでしょうから」
「まあ、同じ結果が得られるなら、動物を殺さない方法を選ぶだろうね。けど逆に言えば、肉の代替品で満足出来るような日が来ない限り、今後も動物を食べ続けることになるんだろうね」
「そうなると思いますよ。私達は奴隷制で言うと、奴隷を所有する側の人間ですから」
「動物を食べるという恩恵にあずかってる側の人間からすれば、ヴィーガンの考え方は奴隷制で言う解放運動をされているようなものか」
「人を奴隷にするのと動物を殺して食べるのは全然違いますが、その、全然違うと思う事自体、自分がしてる行動を正当化したいからこその欺瞞のようにも感じます。・・・・・・ヴィーガンに対して、食べる以外にも動物は殺してるだろうとか、栄養バランス的に肉は必要だろうとか、偽善だとか、そんな風に責める人はいますが、0か100でしか物事を考えない人と、100失われる命を90とか80とかに減らそうとしている人では、意見が合う訳がないんですよね」
「パーフェクトな生き方は出来ないけど、より良い選択なら常にある。だっけ?」
「・・・・・・ダー◯ィン事変、読んでましたか」
「かなり影響を受けたみたいだね」
「影響を受けた上で、自分の言葉として伝えたつもりですよ」
「それにしては、ヴィーガンの考え方が正しいと思うか聞いた時に、自分の考えじゃなくて社会の風潮としての考えを述べたよね?」
「・・・・・・それは、基本的にはヴィーガンの考え方が正しいと思いつつも、私はヴィーガンにはなれない事が心の中で引っかかっていたからだと思います」
「なんでヴィーガンにはなれないの?」
「・・・・・・肉が、大好きだからです」
「実に人間らしい答えだね。取り繕った理由を聞かされるより、よっぽど好印象」
「・・・・・・建前上の取り繕った理由を述べるなら、私一人がヴィーガンになったとしても、殺される動物の数は変わらないでしょうし、なんなら私一人分、食べられずに捨てられる肉の量が増えるだけだと思うから、ですね」
「なんか、選挙に行かない人が言いそうな考えだね。自分一人の投票では何も変わらないだろう、みたいな」
「確かに似てますね。ただ、選挙は投票するように呼びかけることが出来るのに対し、ヴィーガンが同じような事をしようものなら、迷惑以外の何者でもないですからね」
「一部の人間がヴィーガンを強要しようとしたりするから、ヴィーガンへのイメージが悪くなるんだろうしね」
「何でもそうですが、一部の人間のせいでイメージって悪くなりますよね。男性教師の性犯罪や募金団体の着服、政治家の汚職や警察の冤罪。・・・・・・まあ、ニュースとかに出るのは氷山の一角でしかないですし、まだ世に出てないものが沢山あると思うので、本当に一部の人間だけなのかどうかも疑わしくはありますけどね」
「教師を目指していた男の知り合い曰く、男性教師の9割はロリコンらしいよ」
「でしょうね」
「でしょうね?」
「いや、まあ、実際にそのくらいじゃないですか? 体感的に。あ、私の体感では、ですよ? ・・・・・・ただ、ロリコンである事自体は別に犯罪ではないですからね。他人に迷惑をかけない限りは問題ないと思いますよ」
「それはそれとして、気持ち悪くない?」
「気持ち悪いか気持ち悪くないかで言えば、そりゃあ、気持ち悪いですよ。けど、人の性癖なんて気持ち悪いに決まってますから。・・・・・・それに、これは今の時代では非常に言い難いですが、LGBTとかも正直気持ち悪いとは思ってます。正確には、LGBTの行為を気持ち悪いとは思っていますが、そういった嗜好の人を気持ち悪いとは思ってないです。色んな人がいる事は分かっていますし、価値観が違うだけでもありますからね。ただ、街中で男性同士がディープキスとかしてるのを見るのは嫌ですし気持ち悪いと感じます。ですが、この気持ち悪いと思う感情ですら悪とされがちな世の雰囲気に違和感を覚えます。言うなれば、私は虫とかを気持ち悪いと思いますが、虫が好きな人に対して気持ち悪いとは思わないです。が、私の前で虫と戯れるところを見させられるのは嫌ですし、やめてほしいとは伝えます。が、LGBTではそうはいかない。・・・・・・ちゃんと言いたい事が伝わってますかね?」
「まあ、分かるよ。今って多様性を尊重されすぎて、何でもかんでも受け入れなきゃいけないみたいな雰囲気になってるよね。それを見たことで嫌な気持ちになるようなものも、明確な迷惑として扱った方がいいって事でしょ?」
「そうです。・・・・・・気持ち悪いと相手に伝えたり、それが伝わるような場所で発信することは良くないですが、気持ち悪いと思った感情自体を悪とするのは違うのではないかと、まあ、そんな感じです。・・・・・・とは言っても、今のこの状況が配信されているとしたら、それが伝わるような場所で発信する行為に該当してしまうんですけどね」
「・・・・・・まあ、大丈夫でしょ」
「それ、どっちの意味での大丈夫ですか?」
「どうだろうね」
「・・・・・・」




