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ふしぎ体験レストラン『ごまんたる』  作者: ひるき 将
第五章『歴神話巡り』

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第十四話「ゆきお&リコさん オンステージ宴会『神様を接待』」

「よし、気に入った! 宴会を開こう!」ポセイドンさんが言いました。さささっと、家来がポセイドンさんに(ひざまず)きました。

「兄を呼べ、弟もだ、アテナとメデューサも呼べ!」次々と命令を出しました。

「ははっ!」家来が(かしこ)まって、命令を(うけたまわ)りました。

小一時間もしないうちに、テーブルに豪華な食事が用意され、宴会の準備が整いました。

「すっごい、ご馳走ね~」リコさんが驚いていました。

「リコさん、一つ質問があるのですが?」私はリコさんに尋ねました。

「ねこたさん、何かしら?」

「ホルモン氏は、ポセイドン神殿を見て感動しませんでした。私たちと見ている風景が違うのでしょうか?」

「まぁ、想像力の限界ですね。ホルモン氏の場合、感動できる能力が低いのかも知れません。さもしい考えしか出来ないと、何を見ても感動できないものです。だから、想像力が広がらず感動できなかったのです」

「なるほど、そう言う訳ですか」

「ポセイドンさんに飛ばされたのも、そのせいです」

「まぁ、自業自得かも知れませんね・・・」私とリコさんが話している間、ゆきおさんはリハーサルをしていました。

「ふっふっふ。神様たちの前で、演技(パフォーマンス)できるなんて、芸人として名誉です」やる気満々でした。


まず、やって来たのはポセイドンさんの兄ハーデスさんでした。黒いローブを着て、黒い髭が胸まで伸びていました。

「ポセイドンや、景気はどうだい?」

「やぁ、兄さん。いくら冥界の神と言えど、もっとサッパリした服装がいいよ。今度買ってあげるよ」

「そうかい? 神殿に来るたびに、人間たちは勝手なイメージを押し付けるんだ。気分転換もできないよ。誰も見ていないところで、派手な服を着よう」

「そうしなよ。俺たちの人生は、人間たちと違ってまだ長いんだ。楽しむことも必要だよ」

「それも、そうだな。はっはっは!」実に楽しげでした。こそっと「人間の想像は勝手なものです」と、

『閻魔帳』に書き記しました。


次にやって来たのは、ゼウスさんでした。

「やぁやぁ、兄貴たち景気はどうだい?」

「ゼウスよ。キミまで、景気を気にするのかい? 兄さんと一緒だね」ポセイドンさんが言いました。

「この挨拶が、神殿にくる人間の間で流行(はや)っているらしい」ゼウスさんが言いました。

「俺のところでも、そうだよ。農業じゃなく、最近は商売が盛んらしい。時代も変わったね」ハーデスさんが言いました。

「商品を、移動させて儲けるのか? 何とも新しい考えだ」ポセイドンさんが言いました。


次にやって来たのは、アテナさんでした。

「パパ~、おじいさまたち~、元気にしてる~?」

「おやおや、アテナちゃん、おじさんは元気だよ~」ハーデスさんの目じりが下がりました。

「アテナちゃん、不届き者は飛ばしておいたよ」ポセイドンさんが言いました。

「ありがと~」愛くるしい表情でした。とてもアテネ市を賭けて戦った仲には見えませんでした。

「アテナちゃん、お小遣いは足りているかい?」ゼウスさんが言いました。

「パパ、大丈夫よ。何も無駄遣いをしないもの。今は欲しいものは、何もないわ」私は、このやり取りを見て感動しました。「本当に満たされているひとは、あれこれ欲しがらないものなのでしょう」と『閻魔帳』に書き入れました。


次にやって来たのは、メデューサさんでした。アテネ神殿で、ポセイドンさんと遊んでいたところをアテナさんに見つかって怒られたそうですが、仲が良さそうでした。

「メデューサさん、お久しぶり~」

「アテナちゃん、か~わいい~」まるで、女子そのもののやり取りでした。何故、神話はあんなに殺伐としているのでしょう。私が、神話とは違った見方をしているからかもしれません。兎に角、和やかな雰囲気でした。


「さぁさぁ、みんなそろったな。宴会を始めようではないか!」ポセイドンさんが宣言しました。

「ところで兄さんや、そちらにいる客人たちは誰なんだい?」ゼウスさんが聞きました。

「こちらは、ごまんたるの常連さんたちです」

「リコさんは、知っているが? そこのねこさんは誰じゃ?」ハーデスさんが言いました。

「こちらは、猫田銀杏という作家(ものかき)だそうだ。我ら神々の間違ったイメージを正してくれる約束だ」

「それは、いいわね。何か最近、悪い話ばっかり出回っているからイヤになるわ」アテナさんが、辟易(へきえき)していました。

「ほぅほぅ、何ともおがるエネルギー“おがるギー”に満ち溢れた猫じゃ」ゼウスさんは感心してくれました。

「私とアテナちゃんを、どうしてもケンカさせたがるのよね~」メデューサさんが言いました。

「人間たちって、戦争と仲が悪い話が好きなのは、ちょっと困るの~」ハーデスさんが言いました。

「見ての通りだ、ねこたとやら。我々は、別に仲が悪いわけではない。お主が、神様たちの愉快な話を書いて広めてくれ。頼んだぞ!」ゼウスさんに頼まれました。

「承知しました」こうして、私の人生の仕事(ライフワーク)ができたのでした。まさか、神様に依頼されるとは思ってもみませんでした。


しずしずと、ゆきおさんがステージに上がりました。

「みなさまがたに、ちょっとした余興を提供させていただきます」

「おやおや、何じゃ? あの毛むくじゃらは?」ハーデスさんが物珍しそうでした。

「神殿に、あの人のキーホルダー持ってきた人いたよ~」アテナさんが、興奮しました。

「芸人なのか?」ポセイドンさんが言いました。

「私の数ある作品の中でも、特に人気のある曲です。本日は、ポップ風にアレンジしてみました。ご自由にお楽しみください。『めるし、僕のともだち!』です」ゆきおさんが楽曲の紹介をしたのと同時に「じゃ~ん」、と楽曲の演奏が始まりました。何処で誰が伴奏しているのでしょうか。私には、分かりませんでした。

「きみに千円貸したけど~    (貸したけど~、貸したけど~)

 まったく、さっぱり気にするな~(気にするな~、気にするな~)

 代わりと言っちゃ、なんだけど~(なんだけど~、なんだけど~)

 今度一万、貸してくれ~    (そいつは、まったく、大変だ~)」

「どわっ!」会場は大爆笑でした。

「それは、大変だ~」

「すぐに返さないと~」

「これ、聞いたことある~」

「人間たちが、ウワサしてた曲ね~」神様たちは、楽しそうでした。

「忘れ~て~あ~げるよ~

 だ~けど~今度~

 ボクに、お土産(みやげ)買ってきて~(忘れるな~、忘れるな~)

 た~んじょうびのプレゼント~

 き~みに~あげるよ~

 お返しなんていいからね~ (忘れるな~、忘れるな~)

 覚えてくれれば、うれしいよ~(忘れるな~、忘れるな~)」

ハーデスさんが笑い転げていました。

ポセイドンさんも顎が外れそうでした。

ゼウスさんが(ひざ)を叩いて笑っていました。

アテナさんは、くすくすきゃはきゃは笑っていました。

メデューサさんは、初めて見る新しいパフォーマンスを不思議そうに見ていました。


その後、リコさんもステージに上がりました。ステキな歌で座を盛り上げました。二人のパフォーマンスで、宴もたけなわになりました。

「『酒を飲んだり、食事を食べたりだけが接待ではない。我々神にとって、『人間の笑顔』こそが最高の接待だ。戦争はいかん。戦わず、殺し合わず、憎みあわずに繁栄せよ』と、広めてくれ。頼んだぞ、ねこたよ」ポセイドンさんが宴会を閉めました。

「かしこまりました」

「全くだ」ハーデスさんが言いました。

「兄の言う通りだ」ゼウスさんが言いました。


帰りにアテナさんからプレゼントを頂きました。サザエの貝殻でした。

耳に当てると、エーゲ海の波のささやきが聞こえ、

中を(のぞ)くと、夕日が沈むエーゲ海の風景を楽しむことが出来ました。

面白いので、ずっと見ていると、夕日が静かに落ちてゆき水平線に消えていきました。


私は、ひとつ思い出しました。

「リコさん、ホルモン氏を回収しに行きましょう」と言うと、リコさんは笑って言いました。

「まぁ、大丈夫でしょう。放っておきましょう」

「それも、そうですね」と、私は納得しました。


大人のためのごまんたる『MELON HART』第十五話「口パク芸人」に続く(予定)

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