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8/21

英語教師

「おはよー、あゆむ。」

 と朝から咲が声を掛けてきた。

 家が近いから、毎朝一緒に登校することになっている。

 「今日は各駅列車で行ったほうがいいから、次来る特急列車は見逃そうぜ。」

 と俺は提案した。

 流石にこんな朝から、満員電車は嫌だ。

「各駅列車なら、ゆっくり過ごせて、とてもいいよね!β-21駅って結構大きい駅だから、人が多くて困るよね。」

 β-21駅は色々な路線が通っている。

「ってか、今日は初めてのちゃんした授業の英語があるね!」

 と咲が明るく言った。咲は英語得意だもんな。

 昨日の体育は授業判定じゃないんだ……

「今は四葉先生と三葉先生しか知らないから、ほかの先生とも仲良くなりたいんだよ。」

 咲の性格だったら、すぐに仲良くなれるだろう。

 そんな話をしていたら、各駅列車がもう来てしまった。

「流石に人がまあまあいるから、話すのをやめよう。」

 と俺が咲に小声で言ったら、咲は頷いた。

 そうして、7分が経ち、未来学園前駅についた。

「やっと、話せるね!あゆむ!」

 と咲が言ってきた。

 それに対して、俺は頷いた。

 だが、何か話したいことがあるのか?

「英語の先生って、隣のクラスの担任らしいよ。変な先生じゃないといいね。」

 それはそうだな。

「でも、変な教師は進学校にいないと思うけどな。公立中学校にいる可能性はあるけど…」

 と俺はそう言った。

 しかし、咲の表情はまだ曇っている。

「私の口調は変だから、からかわれちゃうかも。」

 と弱々しく言った。

「大丈夫だよ!そんな教師は相手にしなければいいんだよ!」

 と俺は安心させようとしたが、咲の表情は変わらなかった。

「そんなことができたら、いいんだけどね……」

 とそんな話をしていたら、未来学園の校門の前に俺たちはいた。

 そして、上履きに履き替えると、俺たちはエレベーターに乗った。

「今日こそ麗華は教室に着くといいね。」

 と咲に言われ、昨日の出来事を思い出した。

 確か――。

「助けてぇー!誰か!」

「麗華様ぁぁぁ〜!」

 あっそうそう。ってか、今も同じこと起きてるじゃん!

「あちゃー。反省してないみたいね。」

 と咲が呟いた。

「あと1分でホームルームだよ!」

 と真希の声が聞こえた。

 ここ、エレベーター乗り場から俺たちの教室まで100メートルもある。

 しかも、遅刻カウントは座っていないと逃れられない。

「咲!走るぞ!」

「えっ?ちょっとあゆむぅ!」

 と言って俺たちは走り出した。

 走ったおかげか、俺たちは無事に座ることができた。

 しかし……

「麗華?もう10分遅れていますよ?遅刻ですっ!」

 と麗華は四葉先生に言われ、遅刻になってしまった。

 それはおいておこう。

 そして、少ししたら、英語の授業が始まった。

「Stand up,please. Hello,everyone. My name is

Kanai Taisuke.」

 と英語で授業を始めた。

 しかし、誰も英語が分からないため、誰も動かなかった。

「せんせぃ〜。それはど〜ゆ〜いみですかぁ〜?」

 と咲が尋ねた。

「先生。日本語で言ってくださいまし!」

 と麗華も強く言った。

「ごめんごめん。今のは。『立ってください。こんにちは、みなさん。俺の名前は金井 大介(かない たいすけ)です。』という意味だったんだ。そして、えっーと。今の二人が咲と麗華か……」

 と言って金井先生は言葉を詰まらした。

「お前ら、その口調、人工?それとも天然?」

 と聞いてはいけないことを聞いてしまった。

「人工?天然?!そんなのぉわかんない〜!」

 と咲が言った。

「失礼ですわ!わたくしにそんなことを聞くなんて。まず、あなたはなんでそんなことを聞いてくるのかしら!」

 と麗華も怒ってしまった。

「どっちにしてもお前らヤバいぞ。」

 と金井先生に引かれてしまった。

 というか、先生が生徒に『お前』とか言うのはこのランク分け制度ができたからにちがいない。

 「ランク分け制度のせいで、そんな口調になったのですか?」

 と陽翔が先生に聞いた。

 陽翔も俺と同じことを思っていたようだ。

 陽翔が聞けば、怒らずに答えてもらえるはず!!

「何を言ってるんだ!俺がランク分けのせいで?そんなわけない俺は解h――。」

 と話の途中で金井先生はことばを詰まらせた。

「どうかしたんですか?」

 と俺は先生に尋ねた。

「いや、なんでもないよ。口を滑らせるところだったよ……」

 とボソボソと金井先生は言った。

「さぁ。気を取り直して、授業をh――。」

 そして、授業が始まろうとしたとき!!

「麗華様!大丈夫ですか?あなたが麗華様をいじめる奴ですね!」

 と急に月子が現れ、金井先生に指を指した。

「教師だろうが、麗華様をいじめる奴は許しません!覚悟しなさい!」

 と今でも、金井先生に襲いかかりそうな勢いだ。

「いや、これはただの話で…いじめてるつもりは……」

 と金井先生が言い訳をしようとしたが、それを遮る月子。

「何を言っているの!?麗華様はさっき『失礼ですわ!』などと仰っていたじゃない。その通り、あなたは失礼の塊よ!」

 と月子は金井先生を言葉で殴った。

「すみません、麗華と咲……」

 と金井先生は反省している様子だ。

「ところで、月子、あなたはどうやってここまで来たのですか?」

 と紫央が尋ねた。

「えっ?普通に体育の授業中で校庭にいたんだけど、麗華様の悲鳴が聞こえたから、走って、来ましたよ?」

 と月子が言った。

 それを聞いて、金井先生はトランシーバーを取り出し、誰かと話し始めた。

「ごめん、月子が勝手に。……うんうん。あっ、三葉先生はこっちに向かってるんだ。わかった。」

 俺は金井先生と相手との会話を盗み聞きした。

「三葉先生がここに来るから、それまで待ってろ、月子。」

 と金井先生は月子に言った。

 すると、三葉先生が俺たちの教室に来た。

「お前、勝手に授業中に抜け出すなよ。」

 と連れて行かれた月子にそう金井先生は吐き捨てた。

「それじゃあ、お前ら授業続けるぞ。」

 ……うわ。先生めっちゃガチギレしてる……

 もう、止められるやつはいない。

 そして、俺たちの教室は戦場と化した。

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