英語教師
「おはよー、あゆむ。」
と朝から咲が声を掛けてきた。
家が近いから、毎朝一緒に登校することになっている。
「今日は各駅列車で行ったほうがいいから、次来る特急列車は見逃そうぜ。」
と俺は提案した。
流石にこんな朝から、満員電車は嫌だ。
「各駅列車なら、ゆっくり過ごせて、とてもいいよね!β-21駅って結構大きい駅だから、人が多くて困るよね。」
β-21駅は色々な路線が通っている。
「ってか、今日は初めてのちゃんした授業の英語があるね!」
と咲が明るく言った。咲は英語得意だもんな。
昨日の体育は授業判定じゃないんだ……
「今は四葉先生と三葉先生しか知らないから、ほかの先生とも仲良くなりたいんだよ。」
咲の性格だったら、すぐに仲良くなれるだろう。
そんな話をしていたら、各駅列車がもう来てしまった。
「流石に人がまあまあいるから、話すのをやめよう。」
と俺が咲に小声で言ったら、咲は頷いた。
そうして、7分が経ち、未来学園前駅についた。
「やっと、話せるね!あゆむ!」
と咲が言ってきた。
それに対して、俺は頷いた。
だが、何か話したいことがあるのか?
「英語の先生って、隣のクラスの担任らしいよ。変な先生じゃないといいね。」
それはそうだな。
「でも、変な教師は進学校にいないと思うけどな。公立中学校にいる可能性はあるけど…」
と俺はそう言った。
しかし、咲の表情はまだ曇っている。
「私の口調は変だから、からかわれちゃうかも。」
と弱々しく言った。
「大丈夫だよ!そんな教師は相手にしなければいいんだよ!」
と俺は安心させようとしたが、咲の表情は変わらなかった。
「そんなことができたら、いいんだけどね……」
とそんな話をしていたら、未来学園の校門の前に俺たちはいた。
そして、上履きに履き替えると、俺たちはエレベーターに乗った。
「今日こそ麗華は教室に着くといいね。」
と咲に言われ、昨日の出来事を思い出した。
確か――。
「助けてぇー!誰か!」
「麗華様ぁぁぁ〜!」
あっそうそう。ってか、今も同じこと起きてるじゃん!
「あちゃー。反省してないみたいね。」
と咲が呟いた。
「あと1分でホームルームだよ!」
と真希の声が聞こえた。
ここ、エレベーター乗り場から俺たちの教室まで100メートルもある。
しかも、遅刻カウントは座っていないと逃れられない。
「咲!走るぞ!」
「えっ?ちょっとあゆむぅ!」
と言って俺たちは走り出した。
走ったおかげか、俺たちは無事に座ることができた。
しかし……
「麗華?もう10分遅れていますよ?遅刻ですっ!」
と麗華は四葉先生に言われ、遅刻になってしまった。
それはおいておこう。
そして、少ししたら、英語の授業が始まった。
「Stand up,please. Hello,everyone. My name is
Kanai Taisuke.」
と英語で授業を始めた。
しかし、誰も英語が分からないため、誰も動かなかった。
「せんせぃ〜。それはど〜ゆ〜いみですかぁ〜?」
と咲が尋ねた。
「先生。日本語で言ってくださいまし!」
と麗華も強く言った。
「ごめんごめん。今のは。『立ってください。こんにちは、みなさん。俺の名前は金井 大介です。』という意味だったんだ。そして、えっーと。今の二人が咲と麗華か……」
と言って金井先生は言葉を詰まらした。
「お前ら、その口調、人工?それとも天然?」
と聞いてはいけないことを聞いてしまった。
「人工?天然?!そんなのぉわかんない〜!」
と咲が言った。
「失礼ですわ!わたくしにそんなことを聞くなんて。まず、あなたはなんでそんなことを聞いてくるのかしら!」
と麗華も怒ってしまった。
「どっちにしてもお前らヤバいぞ。」
と金井先生に引かれてしまった。
というか、先生が生徒に『お前』とか言うのはこのランク分け制度ができたからにちがいない。
「ランク分け制度のせいで、そんな口調になったのですか?」
と陽翔が先生に聞いた。
陽翔も俺と同じことを思っていたようだ。
陽翔が聞けば、怒らずに答えてもらえるはず!!
「何を言ってるんだ!俺がランク分けのせいで?そんなわけない俺は解h――。」
と話の途中で金井先生はことばを詰まらせた。
「どうかしたんですか?」
と俺は先生に尋ねた。
「いや、なんでもないよ。口を滑らせるところだったよ……」
とボソボソと金井先生は言った。
「さぁ。気を取り直して、授業をh――。」
そして、授業が始まろうとしたとき!!
「麗華様!大丈夫ですか?あなたが麗華様をいじめる奴ですね!」
と急に月子が現れ、金井先生に指を指した。
「教師だろうが、麗華様をいじめる奴は許しません!覚悟しなさい!」
と今でも、金井先生に襲いかかりそうな勢いだ。
「いや、これはただの話で…いじめてるつもりは……」
と金井先生が言い訳をしようとしたが、それを遮る月子。
「何を言っているの!?麗華様はさっき『失礼ですわ!』などと仰っていたじゃない。その通り、あなたは失礼の塊よ!」
と月子は金井先生を言葉で殴った。
「すみません、麗華と咲……」
と金井先生は反省している様子だ。
「ところで、月子、あなたはどうやってここまで来たのですか?」
と紫央が尋ねた。
「えっ?普通に体育の授業中で校庭にいたんだけど、麗華様の悲鳴が聞こえたから、走って、来ましたよ?」
と月子が言った。
それを聞いて、金井先生はトランシーバーを取り出し、誰かと話し始めた。
「ごめん、月子が勝手に。……うんうん。あっ、三葉先生はこっちに向かってるんだ。わかった。」
俺は金井先生と相手との会話を盗み聞きした。
「三葉先生がここに来るから、それまで待ってろ、月子。」
と金井先生は月子に言った。
すると、三葉先生が俺たちの教室に来た。
「お前、勝手に授業中に抜け出すなよ。」
と連れて行かれた月子にそう金井先生は吐き捨てた。
「それじゃあ、お前ら授業続けるぞ。」
……うわ。先生めっちゃガチギレしてる……
もう、止められるやつはいない。
そして、俺たちの教室は戦場と化した。




