下校
5時間目の授業は体育だ。すると、見覚えのある人物が教室に来た。
「はいはい、こちらに注目!どうも四葉の双子の姉、三葉だ。よろしくな。」
すると、三葉先生の首にかかっているネームプレートの中にカードキーみたいなものがキラリと光った。
「三葉先生、そのカードキーはどのようなものですか?先程からキラキラと光っていて先生の話に集中できないのですが……」
陽翔がそう聞いたが、三葉先生は首を振った。
「おっとすまない。これは大切なものでな。簡単には言えないな。」
とそのカードキーを見えないようにした。
そして、体育の楽しさについて話しだした。
「体育は、苦手な人も多いかもしれないが、私は体力テスト以外、サッカー、野球など試合があるものばかり教えるぞ。例えば、サッ――。」
話が長くてうんざりする。俺の耳には何も入ってこない。
―キーンコーンカーンコーン―
そして、授業が終わった。
「麗華様ぁ!来ました!」
月子がなんかまた来ている。よほど、麗華のことが好きなんだろう。
「あら、どうしたの?月子。」
と優しく声を変える麗華。
「あの、一緒に帰りましょう。ずっと待っていたんです!」
『ずっと待ってた』って……授業中なのに、校庭に来たのはそういうことだったんだ。
先生、注意しろよ!
「皆さんにも悪いし、ここにいる全員で帰りましょう。」
俺たちを巻き込むなよ。
「せっかくだから、みんなで帰ろうぜ!」
と陽翔がみんなに言う。
断ったら、俺の株が下がっちまう。
俺は仕方なく、一緒に帰ることにした。
俺と家の近い咲も麗華についていこうとしてたし……
「わたくしの家はあのタワーマンションの最上階である23階の全室ですわ!合計7部屋!屋上の庭園も自由に使えるのですわ。」
うわっ!お嬢様やん!
「ってか、家近いね!便利そう。」
と真希が感心している。
「みなさんはどこに住んでいますの?」
と麗華が首を傾げる。
すると、月子がその発言を待っていたかのように言う。
「私の家は麗華様の目の前!いつも麗華様に見守られている気がして、とても住心地がいいの!」
「それは麗華からすると全ての家が米粒に見えると思うのですが……」
と紫央が言いづらそうに言った。
「えっ?何か言いました?私は麗華様に見守られているのですよ?麗華様に見守られているという事実は変わりません。」
麗華への信仰が強い月子にそんなことを言うと、ヤバいことにつながりそうだ。
俺はそう思い、月子に軽率な発言をしないことを心に深く誓った。
「では、みなさんまた明日!」
と言って二人は家に帰った。
「みんなはバスで帰る?それとも電車?」
と真希が俺たちに語りかけた。
「わたしとあゆむは電車だよー!」
と咲が大きな声で言った。
「そうなんだ。僕も電車だよ!」
と紫央が言った。
「みんな電車かぁ。俺はバスなんだ。真希はなんだい?」
と陽翔がいつも通りのイケメン声で言った。
「真希もバスなんだよー!方向も一緒だといいな。一人だと、心寂しいし。」
「多分一緒だと思うぞ。小学校のときに見たことあったから。」
と陽翔のその言葉はは真希を安心させた。
「そうなのね。では、もうバス停だから、みんなバイバイ!」
と真希は言って、バス停へ向かった。
「俺と咲は1番線ホームだけど、紫央は?」
と俺は紫央に尋ねた。
「残念ながら、都心の方に向かうから、2番線ホームなんだ。だから、ここでお別れだね。」
と紫央は言い、俺たちは紫央と別れた。
「ここの駅、未来学園前駅から私たちの最寄駅、
β-21駅まで3駅だから、近いよね。しかも、私たちの家は駅から5分弱だしね!」
と咲が明るく言ってきた。
だが、俺たちが乗る予定の今来た電車はとても混雑していた。
乗り込む際に俺たちは電車内でバラバラになってしまった。
今乗った電車は特急列車のため、1駅でβ-21駅に着くが混雑していたのだ。
俺にとってはたったの5分が20分のように感じられた。
反対に、咲と一緒に帰った5分の道のりは1分のように感じられた。
そして、俺のスクールライフ初日はこうして終わった。




