通称Draw教室Ⅴ
昨日はお化け屋敷で今日はピクニック!?
差が激しすぎるぞ……
「食べ物は私たちが用意したので、村長は何もしなくて大丈夫ですよ!」
と四葉先生はたくさんの材料を抱えた村長にそう言った。
そして、村長は頭を抱えて、呟いた。
「このままでは、稼げない。……まあ、滞在するだけで金が入ってくるから、いいか。」
その言葉に対して、村長の妻はおどおどした様子で言った。
「純粋な子どもたちの前でそんなことを言うのは……」
「なぁに、大人になったら、みんな図々しく、がめつくなるんだよ。だから、今こんなこと言ったって、何も変わんないんだよ!クックック。」
と言った村長は恐ろしい笑みを浮かべていた。
「はいはい、村民の皆様はどうかごゆっくりしてください!それか、4日目のために準備してください!では、ピクニック始め!」
という四葉の掛け声により、ピクニックは始まった。
「ピクニックって何ぃ〜?あゆむ。私たちをここに集めただけじゃない?」
と咲が珍しくまともなことを言った。
確かにそうだ。こんな原っぱに俺たちを集め、何をすればいいか伝えないなんて!
「先生方も何か困っているんじゃないか?だから、俺たちは大人しく、この時間を楽しもうじゃないか!」
と陽翔が俺たちが思っていたトゲトゲした思いを優しく包みこんでくれた。
そのおかげで、俺たちの表情から険しかったものがなくなった。
「急ですけど、ワードウルフとかはどうですか………?」
と小橋川がここでもできそうな遊びを提案してくれた。
けれど、ワードウルフは宿舎でする遊びなんだが……
まあ、いいか。
「ワードウルフって何?真希、そんなもの初めて聞いたわ。」
と真希が怪訝そうな表情を浮かべて、言った。
「あれじゃな〜い?妖怪になりきるの!誰かがお題として個別に妖怪の名前を伝えていくの。そして、1人しかいない狼男を当てるっていうゲームよ!多分。朱雀とか、麒麟とかも出してみると、架空の生き物に詳しい人が楽しめそうね!……だからぁ、このゲームをしよーよぉ!」
と咲がオリジナルのワードウルフについて一生懸命説明した。
俺はこの説明を聞いて、こう思った。
……これって、咲がしたい遊びなんじゃ……?
まぁ、おいといてワードウルフをしようk――。
「ワードウルフってそんな遊びなんだ!真希、楽しみー!」
「僕もアナログのゲームをするのは楽しみだなぁ!パソコンを使わないなんて新鮮!」
「俺もみんなと咲がルール説明してくれたワードウルフをするのが楽しみだ。」
「麗華様!これがワードウルフみたい!楽しそうね!麗華様はゲームマスターでもどうでしょう!」
「月子、いい提案ですわね。今のわたくしは気分が冴えませんから……少しでも、皆様のお役に立てられれば、いいですわ。」
おいおいおい!みんな納得している様子だけど、間違ってるからなっ!
「あっ、あのー。みなさん、そのルールは間違っていt――。」
と小橋川が頑張って訂正しようとするが、誰も小橋川の話を聞こうとしない。
「もう、妖怪のふりをしているのか?知識が全くわからない!」
小橋川の話を陽翔は聞いていたようだが、もうゲームが始まったと勘違いしているようだ。
「あっ!それわかったぁ〜!ベン!それは気の弱いのっぺらぼうでしょ!」
と咲が自信満々に言った。
もう、耐えられない!
ここは俺が訂正しなければならないようだ。
「ちょっと、みんな聞いて。さっき、咲が説明したワードウルフは間違っている。本当のワードウルフは参加者にゲームマスターがお題を言っていくんだ。しかし、1人だけ違うお題を言われた人がいるんだ!その人のことをウルフという!そして、自分のお題についてみんなで話し合っていくんだ。最終的にウルフが誰かを当て、もし当たっていたらウルフの負け、当たっていなかったらウルフの勝ち!ゲームマスターの麗華を抜かして、参加する人は咲、俺、紫央、真希、陽翔、小橋川、月子の7人!でも、この場合、ウルフが1人だと少ないから、2人に増やして、邪魔者を1人作ろう!邪魔者のお題は他の人々と共通点がないんだ!ウルフと普通の人のお題は近いものになる予定だよ!」
と俺が力説しても、みんなポカーンと口を開いていた。
そして、みんなが理解できるように俺は例もあげてみた。
「例えば、普通の人である4人のお題がシャンプーならば、ウルフである2人のお題はリンスにするのがいい。そして、邪魔者1人のお題はオニオングラタンスープとする!そして、全員で話し合い、ウルフ2人を探すんだ!これでわかったね?」
と俺は尋ねた。
今度はみんな頷いていた。
「それじゃあ、早速やってみよう!麗華、ゲームマスターお願い!」
と陽翔が、爽やかに言って、ワードウルフは始まった。
「わかりましたわ……」
ようやく、全員にお題が伝えられた。
俺のお題は『みたらし団子』だった。
「では、皆様始めてください。話し合い開始ですわ……」
「これは、おいしいよね〜!」
と咲がそう言った。
「僕も大好きですぅ〜。あの、どろどろした感じが……温かくて。冬に食べるとほっこりしますぅ〜。」
と小橋川がたくさんの情報を言った。
どうやら、俺のお題とは違うようだ。
「浮いている小豆が可愛いよね!」
と真希も小橋川に同意した。
「僕は食べたことないけど、写真はみたことあるな。確か、和食っぽかったな。もちも入ってて……紫色だったかな?」
と紫央も2人と似たことを言った。
この3人は普通の人のようだ。お題は……『お汁粉』かな?
「私は麗華様と一緒に食べたことがあるわ!確かプラスチックの容器に液がたくさんは入ってて、その中に浸けてあったわ!」
多分これは……『みたらし団子』かな?
この前、テレビの特集でやってた気が……
「俺、みんなと全く違うぞ!?俺のは炭酸で酸っぱいイメージがあるぞ!?最近流行りの多様性っていうものなのか!?そういうこともあるのか……」
と陽翔はみんなとお題が違いすぎることによって混乱しているようだ。
邪魔者が自認していないと、意味がないのに……
お題は分からなかったが、絶対に邪魔者である。
そして、みんなの視線が俺に向いている。話していない俺を怪しんでいるのか……
上手く、辻褄を合わせなければ!!
「俺のは甘くて、団子?がアクセントで良い感じだぞ!」
ふぅ~。上手くいったようだ。
「えっえっえっ?俺だけ全く違うじゃないか!俺のお題はジュースだぞ!?全く違うよ!」
とまた陽翔が声をあげた。
「陽翔、そんな混乱しなくても大丈夫〜!普通に会話すればぁ、大丈夫だから〜!」
と咲がフォローした。
「ありがとう、咲。咲のおかげで落ち着いたよ。取り乱してしまってすみませんね。」
と陽翔がみんなに謝った。
「大丈夫よ!咲もありがとう!」
「咲っていい人ね……」
「麗華様みたいに素敵よ!」
と真希、麗華、月子にとって咲の評価があがったようだ。
「では、投票タイムにしたいと思いますわ……」
と麗華がそう言い、投票が始まった。
「真希は陽翔が怪しいと思ったけど、陽翔は邪魔者だと思う。ちょっとベンがウルフな気がしてきた。」
と真希が意見を述べた。
ってか、小橋川に同意してたのに、裏切るなんて……
女子って恐ろしい。
こうやって用済みになった男を捨てていくのか……
「そうかも〜!ベンってなんかどろどろしてる〜とか言ってたもんね!ちょっと、おかしいよ〜!」
と咲がそう言い、みんなの視線がベンに向いた。
「皆様、投票してください……」
と麗華が言った。
「投票?それはどうやってやるの?パソコンとか必要なのかな?」
と紫央がそう言った。
アナログがわからない人は全てパソコンで解決しようとするのか……
「違うよ!指を指して、投票するんだよ〜!アナログすぎて、分からないことがあったら私に聞いてねぇ〜!」
と咲が言った。
「やっぱ、咲っていい子だね!」
「なんて親切なのかしら。」
「咲は本当、かっこいいな!」
と男女問わず、咲の株があがった。
「ま、とりま、投票しよ!」
と真希がそう言って、みんな指を指した。
「えっと、ベンに6人、真希に1人が投票したので……ウルフの勝ちですわ……!」
と麗華が投票結果を言った。
「…でウルフは誰ですぅ?」
と小橋川が首を傾げた。
「それは、歩と月子ですわ……」
やはり、俺と月子がウルフだったか……
「ちなみに邪魔者はわたくしですわ……」
と急に麗華が変なことを言った。
「麗華様は邪魔者なんかじゃない!」
と月子はそう言ったが、麗華はまだ落ち込んでいた。
「麗華はみんなのためにやりたがらないゲームマスターを自らやってくれたのだから、素晴らしいわ。みんな感謝しているわ。」
と咲が普通の口調で麗華に言った。
「感謝いたしますわ、咲。少し、気が楽になりましたわ。」
麗華の表情が少し明るくなった。
「咲って心遣いできるのね!」
「麗華様への言葉素晴らしかった!」
「麗華も嬉しそうだぞ!」
とまた、咲の株があがった。
「で、本当の邪魔者は陽翔ですわ…。お題はウルフが『みたらし団子』。普通の人は『お汁粉』。邪魔者は『レモンスカッシュ』ですわ…!」
と答えを麗華が言った。
「2回戦を始めよ!」
と真希が言った瞬間、小橋川が遮った。
「残念ですけど、そろそろ昼食の時間のようですぅ〜。」
「えっ!?1回ワードウルフをしただけで、昼ごはんなの?」
と真希が声をあげた。
「そのようです〜。もう、この原っぱに来てから3時間ちょっと経ったようですぅ。村長の件で1時間使ったのが、原因のようですぅ。」
と小橋川が補足説明をした。
確か、四葉先生と金井先生がずっと村長と争っていたからな。
すると、四葉先生達が登場した。
「はい!みんなー!お昼ご飯の時間ですよー!未来学園教員特製サンドウィッチとお茶を配ります!」
と四葉先生が言った。
そうして、俺たちにお茶とサンドウィッチが配られた。
そして、俺たちはサンドウィッチを口に入れた。
すると、衝撃な事実が判明した。
「具材がレタスしか入ってない!?」
と紫央が声をあげた。
紫央の言った通り、具材がレタスだけで質素なのだ。
「なんて、不思議な味なの…!?こんな具材がないもの食べたことがないから、新鮮ですわ…」
と麗華が言った。
とても美味しいものばかり食べているお嬢様である麗華にとっては衝撃だったのであろう。
「新鮮!?よく気がついたわね!」
と四葉先生がそう言いながら、俺たちの方へ来た。
「これはNEON村でさっき採れたばかりだから、新鮮なのよ!」
と言っと四葉先生は冷や汗を垂らしていた。
「おやおや、四葉先生。貴方方が考えたサンドウィッチは好評ではないようですな。だから、我々に食事は任せたほうがよかったのに……あっ!費用が足りなかったんですね……」
と村長が急に現れ、そう言った。
「ちょっとぉ!そんなこと言うのはおかしくない?四葉先生たちは、私たちの健康を思ってくれたのよ!」
と咲が珍しく反論した!
「子どもたちにそんなこと言われたら、下手なことは言えない……」
おっ!村長がこんなことを言うと思わなかった!
意外と村長にはいいところがあるようだ。
しかし、次の村長のひと言がその印象を台無しにした。
「未来のお客さんが減ってしまう……NEON村に時間や金を費やしてくれないと困る……」
やっぱそういう人だったたか……
サンドウィッチは小さかったため、すぐに食べ終わった。
すると、金井先生が素晴らしいアイデアを提案した。
「せっかくのピクニックだから、みんなでビー玉コースターを作ろう!」
「ま!いいアイデアね!ものづくりは絆を強めるのよね!」
と四葉先生も同意した。
「やっと、準備し終えたぞ!四葉、これでいいか?」
と2日間見かけなかった三葉先生が登場した。
「竹や紐とか使えそうなものを持ってきたぞ!あと、ジェットコースターで上昇するために使うチェーンとかも持ってきたから、工夫次第では見たことのないビー玉コースターができそうだな!」
三葉先生のこの言葉を聞いて、男女問わずみんな目を輝かせた。
「こういうのでいいんですよ、あなた。子どもたちの創造の力を育てるには……」
と村長の妻が村長に囁いているのが聞こえた。
「ああ、そうだな。NEON村の村長になった頃のことを忘れていたようだ。初心を思い出させてくれてありがとう。」
と村長が村長の妻にそう感謝していた。
「歩さん、咲さんがどんどん人々を改心させていきますね……そのうえ、咲さんの株の上昇率が高すぎますぅ〜!とても恐ろしい人ですぅ〜。」
と小橋川が俺にそう言った。
よく考えたら、ちょっとしたことで咲すごいムードができてしまっていた。
普段は絶対に起きないことなのに……
そして、俺は陽翔の方を向いた。
「それじゃあ、2クラス別々でコースを作って、途中で合体させるということでいいか?」
と陽翔がみんなの前に立って、そう言っていた。
俺が村長夫婦の話に夢中になっていて間に話が進んでいたようだ。
そして、陽翔は拳を掲げて、言った。
「それじゃあ、みんなで立派なビー玉コースターを完成されるぞー!」
「おーーーー!!!」
みんな声を揃えてそう言った。
そうして俺たちのビー玉コースター作りが始まった!




