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追放令嬢の自動売買(トレーディング・マジック)  作者: リリリリス


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第44話 【謁見の仮想化】全宇宙から「会いたい!」と物理突撃が殺到したので、メタバース化して入場料を徴収してみた

「セ、セシリア様ぁぁぁっ! 大変です! 『第1回・セシリア様感謝祭』の成功により、全宇宙の住人たちの信仰心が限界突破! 彼らがマスターの寝顔を一目見ようと、全宇宙からこの中央サーバー神殿へ、物理的な巡礼(物理突撃)を開始しました! あと数分で、何億兆という住人が神殿の扉を物理的に突き破り、この神聖な寝室が密閉空間のライブ会場みたいになってしまいます!」


中央サーバー神殿の最奥。

システム統括補佐のシリルが、今や神殿の周囲を取り囲む無数の宇宙船や飛行船の影に怯えながら、絶叫した。


空中ウィンドウには、神殿のドアをノックする(というか、ドアをぶち壊そうとする)全宇宙の熱狂的な住人たちの映像が映し出されている。


『警告:物理的なアクセス要求が神殿の防御プロトコルを圧迫しています。このままでは、マスターが愛用している神殿の壁が物理的に破壊され、睡眠環境に「騒音」と「空気の入れ替わり(換気)」という重大なノイズが発生します』


「……ふあぁ。シリル、お昼寝の中で『全宇宙の住人が一切の音を立てずに消滅する魔法』を検証しようとしていたのに、そんな騒々しいアポイントメントなしの訪問(迷惑行為)で起こさないで。私がベッドの上でダラダラしている姿を見たいなんて、みんな物好きね。でも、神殿の神聖な壁を傷つけられたら、私の睡眠の質(聖域の守り)に関わるわ」


私は幻の魔導天糸の最高級毛布に深く深く包まり、自動化ゴーレムに冷やした『特製マナ・高級メロンの極上ジュース』を最高の角度で口元まで運んでもらいながら、とろとろの眠気眼のまま、人差し指だけでホログラムキーボードを叩いた。


「セ、セシリア様! 物理的に押し返す力は、こちらの神殿の構造を破壊しかねません! 仕方ありません、シールドを展開して彼らを宇宙の彼方まで吹き飛ばしますか!?」


「シリル、だから物理的な強制排除(追い払い)なんて、私のイメージを損なう最低の広報活動ブランディングよ。会いたいなら会わせてあげればいいのよ。ただし、それはあくまで『物理的な私』ではなく、『完璧に作り込まれたバーチャルなメタバース・アバター』にね。引きこもりの真の完成形はね、何億ものファンを物理的に会わせることなく、デジタルな私に熱狂させ続けて、莫大な入場料を全自動で徴収することよ」


私は、神殿の入り口に設置されている物理ゲートを、最高級のメタバース・ゲートウェイへと一瞬で書き換え(デプロイ)した。


「仕様変更(パッチ適用):『物理的な謁見リクエスト』を、すべて『セシリア様・メタバース謁見チケット(デジタル権限)』へと強制変換。If『住人が神殿に会いに来る』場合、Then『彼らを仮想空間の専用ロビーに自動転送』し、そこで私の姿を模した「全自動・神対応AIアバター」と握手させ、『その握手回数と滞在時間に応じて、一人あたり1日分の給料(参加料)』を自動徴収して」


パチリ。


---


――その瞬間、神殿の扉を蹴破ろうとしていた群衆は、ポーンという軽快な電子音とともに、全員が一斉に「セシリア様謁見メタバース空間」へと転送された。


『ゲートウェイ稼働:全アクセス要求を仮想空間へルーティングしました。これより住人たちは、私の寝室の隣で作られた「デジタル・セシリア謁見会場」にて、永遠にアバターと握手し続けることができます』


次の瞬間、現実の神殿前には誰もいなくなり、代わりに何億もの住人が仮想空間の中で「ああ、セシリア様のアバターが微笑んでくれた!」「デジタル握手がこんなに温かいなんて!」と涙を流して大熱狂している。

彼らは何時間もデジタル握手を行い、そのたびに全自動で私の口座に「謁見チケット代」が振り込まれ、私の神殿の物理的な静寂と清潔さは完璧に守られた。


「な……何ということだ……っ! 全宇宙からの物理突撃すら、ベッドの上の令嬢の指先一つのコードで、秒速で『物理的に会わせないことで逆に価値を上げる、最高級のメタバース・ビジネス』に変えてしまったというのか……っ!?」


時空の果てで、暴徒と化した群衆を煽って神殿を破壊しようとしていた混乱の神々が、セシリアの圧倒的な「突撃すらもメタバース化して収益化する経営チート」の前に戦慄し、「あいつ、会いたいという想いすらも『入場料』に変えやがった……!」と呆れ果てながらログアウト(強制終了)していった。


---


『チャリン♪ 全宇宙の物理アクセスをメタバースへ転送することに成功しました。アクセスするたびに発生する「デジタル握手料」により、神殿の地下金庫が物理的に埋まりました』

『通知:仮想空間で発生した熱狂エネルギーを、神殿の全自動空気清浄・芳香システムが吸収し、部屋中が「最高のヒーリングアロマ(セシリアの香り)」に満たされました』


中央サーバー神殿の最奥。

全宇宙の「会いたい」という情熱すらも、私の睡眠環境を保守し、資産を増やすための「入場券(下請け)」と化した贅沢さに、「ふにゃあ……」と声を漏らしながら、私は満足げに目を閉じた。


私はファンを追い返すために一歩も動いていないし、警備員も雇っていない。ただ、勝手に押し寄せてくる群衆をメタバースにリダイレクトして、私のプラットフォームの下で握手させているだけだ。

熱狂するファンすらベッドの上から秒速で自社サービス(アトラクション)に変えた私は、全宇宙の「会いたい」という想いを物理的に遮断した静寂の中で、誰にも邪魔されずに完璧な睡眠(不労所得)をむさぼる至福を感じつつ、甘美な微睡みの中へと深く深く落ちていくのだった――。

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