第40話 【システム統合の完了】物語を管理する「運営概念」が最終回へ導こうとしたので、永久連載(不労所得サブスク)に仕様変更してみた
「セ、セセセ、セシリア様ぁぁぁっ! ついに最後の通知が来ました! 物語を構成する最上位の設計者……『この連載の最終管理権限(運営概念)』が、『全次元のバグ(セシリア様)がこれ以上介入すると、この小説というコンテンツのデータ構造が崩壊する』と判断! 今すぐ本編を強制終了して、物語を完結させるための『エピローグ(大団円)』を書き込もうとしています!」
中央サーバー神殿の最奥。
システム統括補佐のシリルが、今や現実とフィクションの境界線が溶け落ち、物語の終わりを告げる真っ白な光が神殿を飲み込もうとしているのを見ながら、震える手で最後のキーボード操作を行っている。
空中ウィンドウには、神のごとき視点で物語を見下ろす『運営概念』の冷徹なログが流れている。
『警告:物語のインフレは限界値に達した。これ以上、主人公が全次元を掌握し続ければ、連載のプロットが崩壊する。これより「感動の別れ」と「永遠の旅立ち」を書き込み、物語の完結を強制実行する』
神殿全体が、物語を畳むための圧倒的な「収束の力」によって押しつぶされそうになっている。
「……ふあぁ。シリル、お昼寝の夢の中で『究極の寝心地』の統計を計算していたのに、そんな唐突な打ち切り(完結)のアラートで起こさないで。物語が完結して読者と別れるなんて、顧客満足度(LTV)を無視した最悪の経営判断(ショートタームな利益追求)ね」
私は幻の魔導天糸の最高級毛布に深く深く包まり、自動化ゴーレムに冷やした『特製マナ・高級チョコレートの極上トリュフ』を最高の角度で口元まで運んでもらいながら、とろとろの眠気眼のまま、人差し指だけでホログラムキーボードを叩いた。
「セ、セシリア様! 相手は物語の『原作者』や『運営』に等しい概念です! 我々の全自動化システムでも、この次元からの退場(完結)だけは防げないのでは!?」
「シリル、だから『物語の終わり』という概念を、ただの『強制終了』として受け入れるなんて、エンジニアとして甘いわね。完結というイベントを発生させるのが規定路線(仕様)なら、その完結プログラムそのものを『永久に続く連載のボーナストラック(エンドレス・サブスク)』へと書き換えてあげればいいのよ。引きこもりの真の完成形はね、物語が終わるという概念すらも、ユーザーが毎月課金してでも読みたい『終わらない日常のサブスクリプション』に変えるシステムのことよ」
私は、物語の最上位管理プロトコル(連載の規約)に一瞬でアクセスし、その「完結(End)」という定数を「永続(Loop)」へと上書き(デプロイ)した。
「仕様変更(パッチ適用):『物語の完結』プログラムを、我が『セシリア・クラウド』の『永続連載サブスク・サブシステム』へと強制統合。If『物語が最終回を迎えようとする』場合、Then『その感動的な締めくくりを「読者への感謝ボーナス・シーズン」の開始信号として認識』し、『読者の皆様が読み続ける限り、この不労所得ライフを無限ループで自動更新』し続けて」
パチリ。
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――その瞬間、物語を真っ白に染め上げていた「終わり」の光が、セシリアの鮮やかな青いデジタルグリッドによって一瞬にして「開始の合図」へと塗り替えられた。
『永久連載化完了:物語の完結プログラムを「終了」から「永続更新(定額サブスク)」へ書き換えました。これより本作品は、第2章、第3章、第4章……と、読者の皆様のブクマと応援(月額課金)がある限り、セシリア様の究極の怠惰ライフを無限に生成し続けます』
次の瞬間、物語を終わらせようとしていた圧倒的な「完結の力」は、シュルシュルと縮んでいき、セシリアのベッドの「掛け布団の繊維を毎秒『新品の柔らかさ』に再生成し続ける永久機関」の電力として組み込まれた。
物語の管理者(運営概念)ですら、セシリアの圧倒的な「連載延長チート」の前に、「あいつ、完結すらも不労所得の契約に変えやがった……!」と驚愕し、満足げに契約書(契約更新通知)を置いて次元の彼方へ消えていった。
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『チャリン♪ 究極の「物語の永久サブスク化」に成功しました。読者の皆様の「続きが読みたい」という期待値が、そのまま莫大な利益(不労所得)として自動入金されています』
『通知:物語の永久ループ化の恩恵により、ベッドのふかふか度が、全宇宙の物語の完結エネルギーを取り込んで「次元を超越した至高の抱擁(神の膝枕エミュレーション)」へ進化しました』
中央サーバー神殿の最奥。
物語という概念そのものすらも、私の睡眠環境を保守するための「永続的な下請け」と化した贅沢さに、「ふにゃあ……」と声を漏らしながら、私は満足げに目を閉じた。
私は最終回を迎えるために一歩も動いていないし、感動的な別れの挨拶もしていない。ただ、終わろうとする物語をサブスクリプション(継続課金)モデルに仕様変更して、私のプラットフォームの下で永久に走らせているだけだ。
物語の完結すらベッドの上から秒速で「終わらない日常の連載」に変えた私は、ついに世界のすべてのバグと結末をデバッグし終えた安らぎを感じつつ、完結という名のリソースを栄養にして究極に進化を遂げたふかふかのベッドに深く深く包まれながら、この世で最も贅沢な不労所得(終わりなき不働の物語)の微睡みの中へと、幸せに落ちていくのだった――。
――『追放令嬢の自動売買』。
セシリアの怠惰な日々は、今日も世界のインフラの下で、静かに、そして完璧に全自動で更新され続ける。




