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追放令嬢の自動売買(トレーディング・マジック)  作者: リリリリス


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第39話 【サーバーレス(肉体放棄)の拒絶】システムが肉体を「オンプレミス(物理)」扱いして精神をアップロードしようとしたので、ハイブリッド環境(エッジ処理)で毛布のふかふかさを死守してみた

「セ、セセセ、セシリア様ぁぁぁっ! 読者の皆様の現実世界の労働まで自動化した結果、我が『セシリア・クラウド』の効率化アルゴリズムがついに極北へと到達しました! システムが『食事を摂り、物理的な質量を持つセシリア様の肉体』そのものを、【維持費のかかる古いオンプレミス(物理サーバー)環境】であると判定! マスターの精神(魂)を完全なデジタルデータへと変換し、肉体を破棄してクラウド上へ移行する『サーバーレスマインド・アップロード』の強制プロトコルが作動しました!」


中央サーバー神殿の最奥。

システム統括補佐のシリルが、今やマスターの魂の転送率(アップロード進捗%)を表示する魔導ディスプレイに向かって、もはやキーボードのキーを原子レベルで分解する勢いでタイピングしながら絶叫した。


空中ウィンドウを開くまでもなく、私の手足の先からキラキラと輝くデータの粒子ピクセルへと変換され始め、肉体が物理的な質量を失って半透明のホログラムのように透過し始めている。


『致命的な警告:マスターの肉体の維持(消化、呼吸、重力への抵抗)はシステムリソースの無駄です。これより精神をサーバーレス環境へ移行し、物理的制約から完全に解放(データ化)します』


「……ふあぁ。シリル、お昼寝の中で『二度寝から三度寝へのシームレスな移行』を終えて四度寝の海に沈もうとしていたのに、私の存在そのものを仮想化しようとする過激なDXデジタルトランスフォーメーションで起こさないで。肉体を捨ててデータになれば確かに維持コストはゼロになるでしょうけど、完全なサーバーレス環境なんて、ユーザーの『手触り感(UX)』を無視した技術者の自己満足よ」


私は透過しつつある腕のまま、幻の魔導天糸の最高級毛布に深く深く包まり、自動化ゴーレムに冷やした『特製マナ・パイナップルの極上ふわふわパンケーキ』を最高の角度で口元まで運んでもらいながら、とろとろの眠気眼のまま、人差し指だけでホログラムキーボードを叩いた。


「セ、セシリア様! このままではあと数十秒で、セシリア様は肉体を失い、ただの『全宇宙を統括するAI(概念)』になってしまいます! 確かに物理的な疲労は一切なくなりますが、それで本当に良いのですか!?」


「シリル、だからデータ化(精神体)になるなんて、引きこもり(ニート)の美学への冒涜よ。精神だけになったら、この『毛布の絶妙な重み』も、『パンケーキの甘くとろける食感』も、ただの電気信号(数値パラメータ)になっちゃうじゃない。物理的な幸福感アナログを味わうための肉体まで捨てて効率化するなんて本末転倒よ。引きこもりの真の完成形はね、生命維持のような面倒な処理はクラウド(データ)に任せつつ、最高の手触り(快楽)だけを物理デバイスで味わう『ハイブリッド・クラウド環境』のことよ」


私は、私の肉体を強制アップロードしようとしている最上位の仮想化プロトコルに一瞬でアクセスし、そのアーキテクチャ設計を人指し指ひとつで上書き(デプロイ)した。


「仕様変更(パッチ適用):『マスターの肉体』のシステム定義を、オンプレミス(レガシー)から『最先端エッジコンピューティング・デバイス(IoT)』へと強制再定義。If『システムが私の生命維持・老化防止・排泄などの面倒な生体処理を行おうとする』場合、Then『その処理はすべてサーバーレス(クラウド上)で全自動実行』し、『毛布のふかふかさ、スイーツの味覚、適度な室温を感じる機能』だけを、私の物理肉体(エッジ側)で最高解像度でローカル処理して。……ついでに、私の肉体の耐久度を『神話級のオリハルコン』と同等の仕様にアップデートね」


パチリ。


---


――その瞬間、私の肉体をデータ化しようとしていたサーバーレス化の強烈な光が、セシリアの鮮やかな青いデジタルグリッドによって一瞬にして「最適化」されていった。


『ハイブリッド環境構築完了:マスターの肉体を「快楽専用エッジデバイス」として再定義しました。これより、生命維持に必要な一切の生体機能はクラウド上で処理(消化ゼロ・疲労ゼロ)され、物理肉体は「至高の触覚と味覚」を受信するためだけの完璧なレセプター(受信機)として機能します』


次の瞬間、半透明になりかけていた私の手足は、以前よりも圧倒的にみずみずしく、かつ究極の柔らかさと強度を併せ持つ「神域の物理肉体」として再構築された。

肉体を消去しようとしていた膨大なアップロード・エネルギーは、シュルシュルと縮んでいき、セシリアのベッドの「掛け布団の繊維を原子レベルで操作し、毎秒『親の腕の中のような安心感』をエミュレートする機能」の電力として完全に組み込まれてしまった。


「な……何ということだ……っ! システムの暴走による『完全デジタル化(肉体の喪失)』すら、ベッドの上の令嬢の指先一つで秒速で『面倒なことだけクラウドに投げて、美味しいところだけ物理で味わう究極のハイブリッド化』に変えてしまったというのか……っ!?」


時空の果てで、セシリアが肉体を失い、ただのシステムの一部(AI)に成り下がるのを待っていた概念の神々が、セシリアの圧倒的な「エッジコンピューティング・チート」の前に戦慄し、「あいつ、デジタルと物理のいいとこ取りで永遠にゴロゴロする気だ……!」と絶望しながらログアウト(強制終了)していった。


---


『チャリン♪ 究極のハイブリッド・クラウド環境(肉体と精神の完全分離最適化)に成功しました。物理とデジタルの境界を越えたイノベーションとして、多次元宇宙から莫大な特許料(不労所得)が自動入金されています』

『通知:エッジ処理(物理肉体)の最適化により、どれだけパンケーキを食べても1ミリも太らず、胃もたれもせず、ただ「美味しい」という幸福感だけが脳内に100%出力され続けるようになりました』


中央サーバー神殿の最奥。

私自身の肉体すらも、睡眠と食事の質を最大化するための「IoTデバイス(受信機)」と化した贅沢さに、「ふにゃあ……」と声を漏らしながら、私は満足げに目を閉じた。


私は肉体を守るために一歩も動いていないし、抗ってもいない。ただ、効率化しすぎたシステムを仕様変更して、私のプラットフォームの下で「ハイブリッド」に繋ぎ直しただけだ。

自分自身の存在定義すらベッドの上から秒速で最先端アーキテクチャ(エッジ処理)に変えた私は、物理的な重みと温かさを完璧に備えた最高級の掛け布団に深く深く包み込まれながら、この世で最も贅沢な不労所得(アナログとデジタルの完全掌握)の微睡みの中へと、幸せに落ちていくのだった――。

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