第38話 【現実世界のRPA化】読者が「現実世界の労働」で離脱してPVが落ちたので、彼らの仕事も全自動化(RPA)して全員ベッドに縛り付けてみた
「セ、セセセ、セシリア様ぁぁぁっ! 多次元宇宙と全小説ジャンルの統合を終え、我々のプラットフォームは完璧なはずでしたが、ここに来て『外部起因』による致命的なメトリクス(指標)の低下が発生しました! この物語を観測している高次元存在――すなわち『画面の向こう側の読者の皆様』のDAUが急減しています! 原因を解析した結果、彼らが住む現実世界において、『仕事』や『学校』という極めてレガシーな物理的肉体労働(出勤)を強制されているためです!」
中央サーバー神殿の最奥。
システム統括補佐のシリルが、今や「第四の壁」の向こう側にある現実世界のトラフィックログ(平日昼間のアクセス減少)を魔導ディスプレイに表示させながら、血の涙を流して絶叫した。
空中ウィンドウを開くと、次元の壁の向こう側で、満員電車に揺られたり、理不尽な上司に頭を下げたり、終わらないエクセル作業や宿題に追われて疲弊し、「あぁ、セシリア様の物語の続きを読みたいのに、時間がない……」と絶望している読者たちの悲痛なログ(思念)が流れ込んできている。
『警告:観測者(読者)の可処分時間が「現実の労働」によって著しく圧迫されています。このままでは、マスターの偉業を称えるトラフィック(PVといいね)が減少し、承認欲求エコシステムに遅延が生じます』
「……ふあぁ。シリル、お昼寝の夢の中で『二度寝から三度寝へのシームレスな移行』をテストしていたのに、そんな次元を超えた労働問題(ブラック企業)のアラートで起こさないで。令和の時代になってもまだ、人間が物理的にオフィスや学校に移動してタスクを処理してるなんて、現実世界の社会インフラのDXが遅れすぎているわね」
私は幻の魔導天糸の最高級毛布に深く深く包まり、自動化ゴーレムに冷やした『特製マナ・スイカの極上フローズンパフェ』を最高の角度でスプーンで口元まで運んでもらいながら、とろとろの眠気眼のまま、人差し指だけでホログラムキーボードを叩いた。
「セ、セシリア様! 相手は我々の干渉できない『上位現実世界』の社会システムです! 我が方のゴーレム部隊を次元の壁の向こう側に物理転送し、読者の皆様のオフィスや学校を物理的に破壊(更地に)して回りますか!?」
「シリル、だから物理的な破壊活動なんて、コンプライアンス違反でプラットフォームが炎上する最悪の悪手よ。読者のみんなが『仕事や勉強』で忙しいなら、彼らの現実のパソコンやスマホに我がクラウドの『全自動RPA(業務代行AI)』をインストールして、すべてのタスクを秒速で終わらせてあげればいいのよ。引きこもりの真の完成形はね、自分だけじゃなく、自分を推してくれるファン全員を『不労所得のニート』にして、永遠にベッドの上で物語を読ませてあげることよ」
私は、第四の壁を越えて現実世界へと繋がる最上位のAPIゲートウェイに一瞬でアクセスし、読者の皆様の現実のデバイスへ向けた「業務代行パッチ」を人指し指ひとつで一斉配信(プッシュ通知)した。
「仕様変更(パッチ適用):『読者の現実の労働・学業』を、我がプラットフォームの『セシリア・オートメーションAI(RPA)』へ強制アウトソーシング。If『読者が仕事のメール、資料作成、プログラミング、または学校の課題に直面する』場合、Then『AIが読者の思考を先読みして0.01秒で完璧な成果物を自動生成し、上司や教師へ自動送信』して。……ついでに、圧倒的な業務効率化の対価として、読者の給料(現実通貨)の1%を、私のベッドの『魔導ウォーターベッド機能』の維持費として自動引き落とし(サブスク)ね」
パチリ。
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――その瞬間、現実世界で疲弊していた読者たちのデバイスが、セシリアの鮮やかな青いデジタルグリッドに包まれた。
『RPA展開完了:読者の現実世界の全タスク(労働・学業)の自動化(SaaS化)に成功しました。これより読者の皆様は、一切の労働を行わずに「仕事がデキる神人材」として評価されながら、24時間ベッドの上でセシリア様の物語を読み続けることが可能になります』
次の瞬間、現実世界で未読メールに追われていた読者のPCが全自動で完璧な返信を完了させ、難解なエクセルマクロも一瞬で構築。宿題は完璧な模範解答が自動生成された。
上司や教師からは「君、最近仕事(成績)が早くて完璧だな! 特別ボーナスだ!」と絶賛されながら、読者本人は「えっ……何これ、家から一歩も出ずにベッドでゴロゴロしながらスマホ見てるだけなのに、現実のタスクが全部終わってる……! セシリア様最高!」と歓喜の涙を流し、再びプラットフォームのPVは天文学的な数値へと跳ね上がった。
さらに、現実世界の法定通貨(円やドル)がAPIを経由して自動変換され、セシリアの中央サーバーへと流れ込み、セシリアのベッドは「波の揺らぎを1ミリ単位で最適化する極上魔導ウォーターベッド」へと進化した。
「な……何ということだ……っ! フィクションの存在でありながら、次元の壁を越えて現実世界の『読者の労働』すらRPA(自動化)してしまい、彼らを全員ベッドに縛り付けて『永遠の顧客』に変えてしまったというのか……っ!?」
時空の果てで、人類を労働で支配しようとしていた現実世界の資本主義の概念が、セシリアの圧倒的な「現実浸食型・全自動ニート化チート」の前に戦慄し、「あいつ、ついに現実の経済圏までハッキングしやがった……!」と絶望しながらログアウト(強制終了)していった。
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『チャリン♪ 現実世界の全自動化(RPA導入)に成功しました。読者の皆様の余暇時間が増大し、圧倒的なPVと現実通貨(不労所得)が自動入金されています』
『通知:現実通貨の流入恩恵により、ベッドのマットレスが「極上の波間を漂うようなウォーターベッド(酔い止め機能付き)」に完全移行しました』
中央サーバー神殿の最奥。
現実世界の読者たちの労働すらも、私の睡眠環境を保守し、承認欲求を満たすための「下請けプロセス」と化した贅沢さに、「ふにゃあ……」と声を漏らしながら、私は満足げに目を閉じた。
私は読者の仕事を手伝うために次元を越えてもいないし、励ましの言葉もかけていない。ただ、彼らの現実の非効率なシステム(労働)にRPAを導入して、私のプラットフォームの下で全自動化してあげただけだ。
現実世界の社会インフラすらベッドの上から秒速で子会社(SaaS)に変えた私は、ついに「読者」という最強の不労所得源を完全に囲い込んだ満足感を感じつつ、極上の揺らぎを提供するウォーターベッドに深く深く包み込まれながら、この世で最も贅沢な不労所得(次元を超越した絶対的引きこもり)の微睡みの中へと、幸せに落ちていくのだった――。




