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追放令嬢の自動売買(トレーディング・マジック)  作者: リリリリス


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第37話 【マルチテナント展開】力が溢れすぎて別ジャンルの小説世界まで自動化し始めたので、全部強制ハッピーエンド(仕様変更)にしてみた

「セ、セセセ、セシリア様ぁぁぁっ! 創造神をM&Aして自宇宙のシステムを完璧に掌握した結果、我が『セシリア・クラウド』の余剰リソース(処理能力)が臨界点を突破しました! その溢れ出したデータ通信が、次元のファイアウォールを越えて、プラットフォーム内の『隣のサーバー(別ジャンルの小説世界)』へ勝手に越境クロスドメイン・アクセスを開始! 異世界転生、学園ラブコメ、デスゲームといった他作品の宇宙にまで、我々の『全自動化システム』がウイルスのように感染し始めています!」


中央サーバー神殿の最奥。

システム統括補佐のシリルが、今や複数のジャンルの異なる世界線が入り乱れて表示される魔導ディスプレイに向かって、もはや指先の摩擦で発火しながら絶叫した。


空中ウィンドウを開くと、隣の宇宙(別小説)で、すれ違いばかりで一向にくっつかないラブコメの主人公や、理不尽なデスゲームに参加させられて絶望する参加者たち、さらにはスローライフと言いながら泥まみれで畑を耕している開拓者たちの、非効率極まりない「ドラマ(苦労)」のログがけたたましくアラートを鳴らしている。


『警告:隣接する小説サーバー群から「面倒くさいドラマ(非効率なトラフィック)」が大量に流入しています。マスターの睡眠環境に「騒音ノイズ」として影響を与える恐れがあります』


「……ふあぁ。シリル、お昼寝の中で『枕の最適な冷たさ』を堪能していたのに、隣の宇宙の騒音(クソデカ感情)で起こさないで。ラブコメですれ違ったり、魔王を倒すために何百話も修行したりするなんて、物語のサーバーリソースを無駄に引き伸ばすだけの非効率なレガシー仕様ね」


私は幻の魔導天糸の最高級毛布に深く深く包まり、自動化ゴーレムに冷やした『特製マナ・ピーチの極上ジェラート』を最高の角度で口元まで運んでもらいながら、とろとろの眠気眼のまま、人差し指だけでホログラムキーボードを叩いた。


「セ、セシリア様! 相手は別作者(別会社)の管轄するテナントです! 勝手に干渉すれば、プラットフォームの利用規約違反で我々がBANされてしまいます! 我が方の全リソースを使って、次元のファイアウォールを物理的に補強し、鎖国しますか!?」


「シリル、だから他人の宇宙の騒音をいちいち壁で塞ぐなんて、対処療法パッチワークの運用でしかないわ。隣の連中のドラマがうるさいなら、我がクラウドの『マルチテナント(相乗り)環境』に強制収容して、すべての物語のフラグを全自動で回収し、一瞬でエンディング(解決)させてあげればいいのよ。引きこもりの真の完成形はね、他人の人生の面倒ごとすらも秒速で自動化して、自分は静寂だけを享受する環境のことよ」


私は、プラットフォーム全体を管理する最上位のルーティングプロトコルに一瞬でアクセスし、隣接するすべての小説世界の「進行スクリプト」を人指し指ひとつで上書き(デプロイ)した。


「仕様変更(パッチ適用):『別ジャンルの小説サーバー群』を、我がプラットフォームの『全自動ハッピーエンド・マクロ』へ強制統合。If『隣の宇宙で面倒なドラマ(すれ違い、修行、デスゲーム)が起きる』場合、Then『すべてのフラグを全自動で回収し、最短0.1秒で強制ハッピーエンド(解決)にスキップ』して。……ついでに、スキップして浮いた文字数のカロリー(余剰リソース)は、私のベッドルームの『完全防音&極上プラネタリウム機能』の電力として自動徴収ね」


パチリ。


---


――その瞬間、隣の宇宙で展開されていた泥臭いドラマが、セシリアの鮮やかな青いデジタルグリッドによって一瞬にして「最適化」されていった。


『マルチテナント展開完了:全ジャンルの小説世界の自動化(SaaS化)に成功しました。これより全宇宙の主人公たちは、一切の苦労をせずに0.1秒でハッピーエンドを迎えます』


次の瞬間、すれ違っていたラブコメの主人公は「全自動告白&即日結婚マクロ」によって1ページ目でヒロインと結ばれ、デスゲームの参加者たちは「セキュリティ脆弱性パッチ」によって運営が秒速で逮捕されて賞金だけを貰って帰宅。異世界転生の勇者には「全自動魔王討伐ミサイル」が支給され、世界は一瞬で平和になった。


すべての物語が「1話完結」の超効率システムへと変貌し、不要になった莫大な「ドラマのカロリー(テキスト量)」がシュルシュルとセシリアの中央サーバーへ吸い上げられていく。

そして、セシリアのベッドルームの天井には、吸い上げた別宇宙の星々を利用した「全宇宙で最も美しい、睡眠導入用極上プラネタリウム」が静かに投影され始めた。


「な……何ということだ……っ! 他ジャンルの小説の『ドラマ(起承転結)』すら、ベッドの上の令嬢の指先一つで秒速で『強制ハッピーエンド(スキップ)』させてしまい、浮いたリソースをご自身の『プラネタリウム(寝室の装飾)』に変えてしまったというのか……っ!?」


時空の果てで、多様な物語の展開を管理していたプラットフォームの運営AIたちが、セシリアの圧倒的な「ジャンル越境・全自動ハッピーエンドチート」の前に戦慄し、「あいつ、すべての小説を1ページで終わらせる化けコンテンツ・キラーだ……!」と絶望しながらログアウト(強制終了)していった。


---


『チャリン♪ 全小説ジャンルのマルチテナント化(相乗り展開)に成功しました。平和になった全宇宙の主人公たちから、感謝の不労所得(投げ銭)が自動入金されています』

『通知:余剰リソースの恩恵により、ベッドルームの防音レベルが「ビッグバンの爆発音すら微風に変える神域ミュート」に永久固定されました』


中央サーバー神殿の最奥。

多種多様な主人公たちの人生ドラマすらも、私の睡眠環境を静かにするための「下請け処理」と化した贅沢さに、「ふにゃあ……」と声を漏らしながら、私は満足げに目を閉じた。


私は他人の悩みを解決するために一歩も動いていないし、話を聞いてもいない。ただ、非効率な彼らの人生を仕様変更して、私のプラットフォームの下で最速クリアさせてあげただけだ。

別ジャンルの宇宙すらベッドの上から秒速で子会社(SaaS)に変えた私は、ついにすべての世界の騒音をデバッグし終えた静寂を感じつつ、美しいプラネタリウムの下、最高にふかふかな掛け布団に深く深く包み込まれながら、この世で最も贅沢な不労所得(多次元全自動支配)の微睡みの中へと、幸せに落ちていくのだった――。

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