第33話 【経済の仕様変更】自動化しすぎて「お金」の価値が崩壊したので、新しい通貨(ダラダラ)を発行してみた
「セ、セセセ、セシリア様ぁぁぁっ! 神界のサブスク化に成功し、全宇宙の生産ラインが完全に自動化された結果、とんでもない概念バグが発生しました! すべての物資が無限かつ無料で全自動供給されるようになったため、世界中から『お金(通貨)』という概念の価値が完全に崩壊! 従来の金貨や電子マネーがただのゴミと化し、全宇宙の経済システム(取引トラフィック)がパニックを起こして完全停止しています!」
中央サーバー神殿の最奥。
システム統括補佐のシリルが、今や全宇宙の株価や為替レートが「0」に固定され、真っ赤なエラーを吐き出している超魔導ディスプレイに向かって、もはやキーボードを叩く摩擦熱で指先から煙を上げながら絶叫した。
空中ウィンドウを開くと、かつて富を独占していた大商人や神界の財務神たちが「金に価値がないなら、どうやってマウントを取ればいいんだ!?」と頭を抱え、経済というシステムそのものが虚無に還ろうとしているログが見える。
『致命的な警告:全宇宙の経済価値(金本位制)がロストしました。取引という概念が消滅し、プラットフォームの経済活動が停止。これ以上の不労所得(利益)の計上が物理的に不可能です』
「……ふあぁ。シリル、お昼寝の夢の中で新作スイーツのメニューを考えていたのに、そんな生々しい経済破綻のアラートで起こさないで。でも、ただの金属の塊(金貨)や数字の羅列に価値を持たせるなんて、そもそも古い金融システム(レガシー経済)の仕様が古すぎたのよ」
私は幻の魔導天糸の最高級毛布に深く深く包まり、自動化ゴーレムに冷やした最高級の特製マナ・ストロベリーのミルフィーユを最高の角度で口元まで運んでもらいながら、とろとろの眠気眼のまま、人差し指だけでホログラムキーボードを叩いた。
「セシリア様、どうされますか!? このままでは我々のプラットフォームに『利益』が入ってきません! 一時的に物資の供給を絞って(意図的な品薄状態)、強引にお金の価値を釣り上げますか!?」
「シリル、だからそんなインフラの意図的なダウングレード(ユーザーへの嫌がらせ)は、プラットフォーマーとして最低のクソ運営よ。お金(金貨)に価値がなくなったなら、経済の『価値の基準』そのものを書き換えて、新しい通貨を発行(ICO)してあげればいいのよ。引きこもりの真の完成形はね、全宇宙の経済が、私のベッドの快適さを担保するための『ダラダラ指数』で回るシステムのことよ」
私は、全宇宙の経済を管理している最上位の金融プロトコル(概念ブロックチェーン)に一瞬でアクセスし、その「価値の定義コード」を人指し指ひとつで上書き(デプロイ)した。
「仕様変更(パッチ適用):『全宇宙の経済基準』を金本位制から『セシリア・トークン(怠惰本位制)』へと強制移行。If『人々がベッドでダラダラと心地よく二度寝する』場合、Then『そのリラックス度合いに応じて新しい通貨(価値)が自動採掘される』仕様に変更して。……もちろん、全取引の決済手数料(ガス代)の1%は、私のベッドの室温を最適化する魔力として自動徴収ね」
パチリ。
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――その瞬間、全宇宙をパニックに陥れていた「経済価値の喪失」の真っ赤なエラーが、セシリアの鮮やかな青いデジタルグリッドによって一瞬にして塗り替えられていった。
『再構築完了:経済の基盤を「怠惰本位制」へ移行しました。これより全宇宙の取引は、「どれだけ働いたか(お金)」ではなく、「どれだけ快適にダラダラしたか(怠惰ポイント)」を基準に行われます』
次の瞬間、パニックに陥っていた世界中の人々が、「なんだ、頑張って金貨を稼がなくても、家でゴロゴロしてリラックスすればするほど『価値』が貯まっていくじゃないか!」と気づき、一斉にベッドに潜り込んで幸せそうに二度寝を始めた。
そして、世界中で取引される新たな経済活動のすべてから、ほんのわずかな手数料が全自動でセシリアのベッドへと送られ、神殿の空調設備が「常時・神の避暑地レベルの極上空間」へとアップデートされた。
「な……何ということだ……っ! 経済の根幹である『お金の価値』そのものを、ベッドの上の令嬢の指先一つのコードで、秒速で『ダラダラすること(新しい暗号資産)』に書き換えてしまったというのか……っ!?」
時空の果てで、世界の経済破綻を目論んでいた貧困と混沌の悪魔たちが、セシリアのシステムの圧倒的な「経済概念の仕様変更チート」の前に戦慄し、「こんなの、寝てるだけで世界一の富豪になるシステムじゃないか……!」と涙を流しながらログアウト(強制終了)していった。
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『チャリン♪ 全宇宙の経済システムの再構築(SaaS化)に成功しました。全人類がダラダラするたびに、天文学的な不労所得(手数料)が自動入金されています』
『通知:新経済システムの恩恵により、ベッドのマットレスが「使用者の精神的疲労を自動でマイナスイオン化して売却する機能」を獲得しました』
中央サーバー神殿の最奥。
全宇宙の経済活動そのものが、私の睡眠環境を保守するための「下請け」と化した贅沢さに、「ふにゃあ……」と声を漏らしながら、私は満足げに目を閉じた。
私はお金を稼ぐために一歩も動いていないし、投資もしていない。ただ、破綻しかけた古い経済システムを仕様変更して、私のプラットフォームの下に繋いだだけだ。
お金の概念すらベッドの上から秒速で自社通貨に変えた私は、次はどの次元の概念を自動化しようかと考えつつ、最高級の掛け布団に深く深く包み込まれながら、この世で最も贅沢な不労所得(全自動経済支配)の微睡みの中へと、幸せに落ちていくのだった。




