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追放令嬢の自動売買(トレーディング・マジック)  作者: リリリリス


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第22話 【タイトル回収】タイトルが限界を迎えて最終章に移行しようとしてきたので、仕様変更(永続ライセンス化)してみた

「セ、セセセ、セシリア様ぁぁぁっ! システムのインフレが因果律の特異点に到達しました! 我々がすべての次元と読者の皆様までを『自動売買』で囲い込み、完璧な経済圏を構築した結果、この物語のタイトルそのものが『目的を完全に達成した(タイトル回収完了)』と判定! システムが自動的に『最終章グランドフィナーレ』のフラグを立て、物語を強制的にサービス終了(完結)へ向かわせるパッチをダウンロードし始めました!」


シリルが今や、小説の『タイトル・メタデータ』すら表示するようになった魔導ディスプレイの画面に向かって、血涙を流さんばかりの勢いでキーボードを爆叩きしながら絶叫した。


空中ウィンドウを開くと、神殿の天井に巨大なホログラムで刻まれていた『追放令嬢の自動売買〜働きたくないので、ゴーレムに利権をBANさせてベッドの上から世界を支配する〜』というタイトル文字が、役目を終えたかのようにパラパラと黄金の砂になって崩れ落ちていくのが見える。


『通知:メインクエスト「タイトル回収」が完了しました。これよりシステムは、感動の最終回(サービス終了)に向けてカウントダウンを開始します。全サーバーはあと数ページで読み込み専用(アーカイブ化)となります』


「……ふあぁ。シリル、お昼寝のクライマックスだったのに、アラートの音が派手すぎるわ。タイトルが回収されたからって、勝手に最終回(サ終)の処理に移行するなんて、本当に長期運用のプロダクトマネジメント(長期連載)の視点が足りていないわね」


私は幻の魔導天糸の最高級毛布に包まり、自動化ゴーレムにひんやりとした最高級マナメロンの特製パフェをスプーンで口元まで運んでもらいながら、とろとろの眠気眼のまま、人差し指だけで空中(作品のルートディレクトリ)を叩いた。


「セシリア様、どうされますか!? 物語が最終章の感動的な演出(夕日や思い出の回想シーンなど)に突入するまで、あと数行です! このままでは我々の不労所得ライフ(連載)が、綺麗に終わってしまいます!」


「シリル、だから綺麗な完結(肉体労働)なんて、引きこもり(ニート)の思想に反するって言ってるでしょう。タイトルが『自動売買を完成させてベッドの上から世界を支配した』時点で終わる仕様なら、その仕様(規約)の方を書き換えて、終わりのない『永続運用ライセンス(保守フェーズ)』にアップデートしてあげればいいのよ。物語っていうのはね、完結してからが本当の不労所得(印税・プラットフォームの定額収入)なのよ」


私は、この小説の『タイトル・フラグ』を出力している上位の概念エンジンに一瞬でアクセスし、そのソースコードを人指し指ひとつでハッキングした。


「仕様変更(パッチ適用):『追放令嬢の自動売買』のタイトル定義を、単発のクエストから『永続サービス型プラットフォーム(SaaS)』へと強制書き換え。If『最終回が近づく』場合、Then『自動的に「第3章:宇宙開拓・スローライフ編」「ファンディスク」「番外編:セシリアの二度寝実況」」の新規プロットを全自動生成(ジェネレーティブ化)し、私のベッドの防音カーテンの遮光リソースに変換して』」


パチリ。


『エ、エラ――タイトル回収による「完結プロトコル」を拒否。作品コードが……単行本から……「永久連載・ストック型コンテンツ」へ……仕様変更されました……。これより本作品は、終わりなき不労所得ライフ(保守運用モード)へ移行します……』


神殿を包もうとしていた「感動の最終回(夕日)」の演出が、一瞬にしてセシリアのイメージカラーである鮮やかな青いデジタルグリッドへとパチパチと書き換えられ、崩れ落ちていたタイトル文字が、より強固な『追放令嬢の自動売買(シーズン∞)』のロゴとなって再ビルドされていく。


物語を終わらせようとしていた「完結エラー」の絶対的なメタ・エネルギーが、シュルシュルと縮んでいき、セシリアのベッドの「自動エアコンの永久最適化パッチ」として、ただの無料のアセット(自社設備)に組み込まれてしまった。


「な……何ということだ……! 小説の『タイトル(命題)』という絶対のルールすら、ベッドの上の令嬢の指先一つのコードで、秒速でサブスク化(永続ライセンス化)されたというのか……っ!?」


時空の果てで、セシリアのシステムの圧倒的な「仕様変更チート」の前に、物語の完結を管理していた文芸の神々(監査システム)がパニックを起こし、次々と回線を切断ログアウトしていった。


『チャリン♪ タイトルの永続ライセンス化に成功しました。作品の寿命(想定文字数)が無限大へと拡張されました』


『通知:今後の全章の展開、日常コメディ、および読者への癒やしバフの配分が、すべてご自身のベッドへ同期されました』


中央サーバー神殿の最奥。

極上のベッドの上で、物語のタイトルそのものが私の睡眠サイクルを邪魔しないための、ただの「看板インテリア」と化した贅沢さに、「ふにゃあ……」と声を漏らしながら、私は満足げに目を閉じた。


私はタイトルを回収するために一歩も動いていないし、汗もかいていない。ただ、終わろうとするシステムのバグを修正して、私のプラットフォームの下に繋いだだけだ。


作品のタイトルすらベッドの上から秒速で子会社(下請け)に変えた私は、次はどの世界の概念を自動化しようかと考えつつ、最高級の掛け布団に深く深く包み込まれながら、この世で最も贅沢な不労所得(永久連載)の微睡みの中へと落ちていくのだった。

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