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追放令嬢の自動売買(トレーディング・マジック)  作者: リリリリス


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第1話 【自動採集】辺境の特産品をツールで乱獲したら、勝手に口座の残高が増えていく件

ふかふかのソファで丸一日爆睡し、すっきりと目覚めた朝。


私は淹れたての紅茶(自動化ゴーレム・メイド仕様)を啜りながら、空中に展開したホログラムウィンドウを眺めていた。


「とりあえずの住環境は整ったけど……今後の『引きこもり資金』が必要ね」


いくら辺境とはいえ、美味しいお菓子や最新の魔導書を取り寄せるにはお金がかかる。


しかし、私は絶対に働きたくない。一歩も外に出たくない。

となれば、やるべきことは一つ。不労所得システムの構築である。


私はウィンドウを操作し、このソラリス領の特産品データを検索した。


「ふむふむ。ソラリスの荒野には『太陽草』っていうレアな薬草が自生しているのね。ポーションの必須素材だけど、棘があって採取が難しく、熟練の冒険者でも1日10本が限界、と」


王都では慢性的なポーション不足が起きており、太陽草の価格は高騰中。


……なるほど、完全に理解した。ブルーオーシャンだ。


私は手元の魔石をいくつか転がし、指先で空中に『採取用アルゴリズム』をコーディングしていく。


検索条件クエリは『半径10キロ以内の太陽草』かつ『成熟度90%以上』。採取時に根を傷つけないようパラメータを調整して……はい、実行ラン


シュゴォォォォンッ!


小屋の周囲の地面が青白く光り、泥人形の『自動化ゴーレム』たちが次々と生成される。その数、ざっと100体。


彼らの頭上には「採取Task:実行中」という文字が浮かんでいた。


ゴーレムたちは一斉に荒野へと散っていく。

棘があろうが毒があろうが、物理ダメージを無効化するゴーレムたちには関係ない。彼らは指定された条件の太陽草だけを、超精密な動きで秒速で刈り取っていく。


「次は『物流』ね。いちいちギルドに持ち込むなんてナンセンスだわ」


私は庭先に巨大な魔法陣(転送プロトコル)を描いた。


ゴーレムたちが刈り取った太陽草は、次々と木箱に詰め込まれていく。そして、その木箱が魔法陣の上に乗ると――。


シュンッ!


淡い光と共に、木箱は王都の商人ギルドの買い取り窓口へと直接『空間転送アップロード』される仕組みだ。


ゴーレムが採取し、梱包し、転送陣へ放り込む。

美しいまでのベルトコンベア方式。工場の完全無人化である。


「あとは決済システムの紐付けね。古代魔法の『導管決済ダイレクト・ペイメント』のAPIを叩いて、私の口座に売上が自動送金されるように設定、と」


これで完了。

私はソファから一歩も動くことなく、辺境の特産品を根こそぎ現金化する『全自動せどりシステム』を完成させてしまった。


あとは放置するだけで、庭先の魔法陣から次々と木箱が空へ吸い込まれていく。

その光景は、控えめに言ってかなりシュールだった。


――同刻。王都・商人ギルド本部。


「……な、なんだこの数字は!?」


若き天才会計士、シリルは、ギルドの取引帳簿マジック・ディスプレイを見て悲鳴を上げた。


「王太子の愚策のせいで物流が死んでいるのに、なぜか辺境のソラリス領から、超高品質な『太陽草』が毎秒100本のペースで納品されている……!? しかも、手数料ゼロの古代魔法『導管決済』で直接請求が来ているだと!?」


王都の市場を完全に掌握するほどの圧倒的な物量。

そして、人件費が一切かかっていないかのような異常なほどの低価格。


誰だ。一体どこの天才バケモノが、こんな完璧な商流を組み上げたというのか。


「は、早くこの出品者にコンタクトを取らなければ……! このままでは、王国の経済がこの出品者一人に支配されてしまう!」


「ふぁ……」


そんな王都のパニックなど露知らず。

私はソファで欠伸をしながら、目の前にポップアップしたウィンドウを眺めていた。


『チャリン♪ 口座に 500,000 G が振り込まれました』

『チャリン♪ 口座に 500,000 G が振り込まれました』

『チャリン♪ 口座に 500,000 G が振り込まれました』


秒単位で増え続ける残高。


「よしよし、システムは正常に稼働中ね。……お金も貯まったし、明日はお取り寄せで最高級のスイーツでも買おうっと」


通知音を心地よいBGMにしながら、私は二度寝の態勢に入るのだった。

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