表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三度目勇者の異世界紀行  作者: 陽山純樹
第三話

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

211/215

魔王を超える戦い

 平原へと進んでくる悪魔の軍勢……俺はその動きを見てまるで鎧を着た兵士や騎士達が行軍しているように感じた。

 これまでの悪魔は上空を飛んできていたが、今回それはまったくない。数が多いため地上を進んだのか……いや、そうであったとしても地上と空、この二つを組み合わせて三次元的な攻撃ができるはず。それをしないのは――


「ファルビアの策が早速機能しているな」


 ふいにオリヴァーが声を発した。そこで俺は、


「何かしたのか?」

「ああ、貴殿は伝えていなかった。端的に言うと――」

「上空からの攻撃を封じただけの話だ」


 オリヴァーの言葉に割って入る形でファルビアが発言した。


「最初にやらなければならなかったのは、悪魔による上空からの攻撃対策だ。翼を広げ突撃する悪魔……それだけで我々にとっては脅威だった」

「一方的に攻撃される危険性があるからな……でも、魔族達なら反撃できるはず」

「魔法で、だな。しかし悪魔を迎撃できるほどの魔法を撃てるのはそう多くない。こちらの戦力、その大半は魔物であるため、同様に飛行する魔物を生み出す案もあったが……」


 ファルビアは悪魔を見据える。


「陛下の力の一端を所持する個体だ。飛行能力を与えるだけで魔物に相当なリソースを使用する……悪魔に対抗できるだけの力を持つ魔物を生み出せるにしても、数が作れないと判断した」

「……空中戦になれば、こちらが負けると」


 俺はファルビアの言葉にそう応じる。


「ジーガの対抗策を応用してどうにかできなかったのか?」

「ジーガの強化は、施す魔物自体もある程度強くなければならない……地上戦で悪魔に対抗できる戦力を整えるだけで限界だった……ただ、これはジーガの協力があってもわかりきっていたことだった。よって、方針を変えた」


 ファルビアは俺へ視線を向け、続ける。


「単純な話だ。空中戦に持ち込んでも有利にはできないという事実を相手に示せばいい」


 俺はそこで、魔族ジーガの領地での戦いを思い出す。


「それが、使い魔を用いた対空攻撃か?」

「そうだ」


 こちらの指摘にファルビアは頷いた。


「手法については最初から候補に挙がっていた。実戦で試したのは勇者トキヤも帯同したジーガの領地における戦いだったが」

「ずいぶんと無茶をするなあ……通用しなかったらどうするつもりだったんだ?」

「他の案も考えていたよ。とはいえ第一の案でこちらの目論見は達成し、陛下の側近達は悪魔を空中に飛ばすことを回避した……使い魔による攻撃によって、無駄に数を減らすだけだと判断したのだろう。ひとまず、空中戦を封じた……ここまでの賭けは私の勝ちだ」


 ニヤリとするファルビア。とりあえず、彼女の思惑通りに話が進んでいるのは間違いなさそうだが――


「だが、これは押し潰される可能性を排除しただけにすぎない。後はジーガの協力によって強化された魔物と同胞達がどこまで奮戦するか、だな」


 悪魔達が布陣していく。平原に横並びとなっていく黒一色の悪魔は、この距離から見ても圧迫感を覚える。

 味方側の魔物が進み始める。頭数だけを言えば互角かもしれないが……ぶつかった時、果たしてどうなるか。


「……トキヤ」


 そこで、近くにいたメルが声を上げた。


「神族や竜族、エルフの存在を感知しました」

「……彼らに魔族の力は混ざっているか?」

「強化は受けているようですね。魔王の力を与えられたかについては、より近づかなければわかりませんね」


 そう答えた後、メルはオリヴァー達にも聞こえるように告げた。


「彼らは前線に配置されているようです。悪魔達の指揮をするためでしょうか」

「……まず、正面から激突する場合は裏切り者達と戦う必要があるわけだな。メル、魔族はいるのか?」

「後方にいます。ただ、現時点で魔王の側近がいるのかどうかは――」

「いないな」


 ファルビアが断言した。気配を探ったのかとこちらが視線を向けると、


「悪魔の魔力によって気配を探っても上手く居所はつかめないが……最前線の戦場に側近が現れることはない」

「ずっと城に引きこもっているというわけか?」

「側近達はさらなる策を用意しているはず……それこそ、この戦いに敗北したとしても、ひっくり返すための手段が。最悪の結果に備え、自らが敗れるわけにはいかないと考えるだろうし、何より」


 と、ファルビアは皮肉を込めて笑う。


「陛下という存在を愚弄してきたわけだが、それでもなお陛下の力に疑いを持っていない……陛下の力が存在する城にいれば、負けることはないと考えているのだろう」

「なら、その鼻っ柱をしかと折らないと」


 俺の発言にファルビアは「そうだな」と応じた後、


「奴らの盲点があるとすれば、それは我々の力だ。勇者トキヤがいたとしても、陛下の力が絶対であると疑っていないこと……いや、奴らにとって疑ってはならないものなのだろう」


 そう言った彼女は、俺とオリヴァーを見据えた後、


「それを覆す……これは陛下を超える戦いだ。必ず――勝利で終わらせるぞ――」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ