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三度目勇者の異世界紀行  作者: 陽山純樹
第三話

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208/215

決戦へ向けて

 魔族ジーガが復活したことで悪魔の対策準備が始まることとなり、その一方で俺達は敵の奇襲を警戒することに。

 ジーガの作業には彼からのリクエストでメルやフィリスも加わることとなり、結果として外での見回りは俺とヘレナの担当になった。そこについては適材適所で何一つ不満はないのだが……、


「かなり気合いを入れて仕事をしているみたいだけど、あれ大丈夫なの?」


 屋敷の外を見回り中、隣を歩くヘレナからそんな疑問がもたらされた……彼女がそう言うのも無理はない。というのも、ジーガはそれこそ寝ずに働く勢いなのだ。

 メルなんかがストッパー役となってそれを止めている構図なのだが……とりあえず彼の動きはかなり素早く、強化が成功するかわからないにしろ、その結論が出るのはあっという間だろう……ただまあ、ヘレナが不安になるのも理解できる。


「魔族ジーガの様子は、封じられていた分頑張るぞ、みたいな気合いと頭で練りに練った考えをすぐにでも出したいという知的好奇心の二つが原因だからなあ……止めるの難しいんじゃないか?」

「あの様子だと、戦いが始まる前の時点で倒れそうだけど」

「彼自身に特段戦闘能力があるわけじゃないみたいだし、そこについてはまあ問題ないんじゃないかな。オリヴァー達も織り込み済みだろ」


 そう言うと俺はオリヴァーやファルビアのことについて思い巡らせた。オリヴァーが中立を表明した魔族達に勧誘を継続している。ファルビアやジーガの領地が悪魔に襲われた事例を引き合いに出し、例え中立であったとしても、魔王の側近達は牙を向けるため、陣営に加われと……戦線に加わらなくとも側近達の味方にならなければ御の字ということもあるし、とにかく敵を増やさない方針で動いている。


 さらにファルビアが今後の戦いについて絵図を描いている……勢力を二分する大きな戦いであり、戦争というか魔族同士の内乱という形だ。それに勝利することは当然だが、その後のことを考えれば、犠牲だって減らしたい……ジーガによる悪魔の対策が機能することを考慮に入れつつ、どう立ち回れば、少しでも有利に戦えるか……鍵を握るのは、やはりファルビアだろうか。


「……私は」


 ふいにヘレナが声を上げる。


「戦争、というものを直接的に目の当たりにしたことがないけれど……以前あった討伐作戦とは、違うんだよね」

「そうだな。戦争を知らない人からすれば、規模が大きくなっただけなんじゃないかと思ってしまうかもしれないが、真実は違う」

「それはどういう要因で?」

「まず、単純に戦争準備に必要な時間と資材が増える。規模が二倍になれば準備時間なども二倍……というわけにはいかない。時間も資材もより必要になる。俺達が共に戦った魔物討伐でも、周辺の町などから騎士を向かい、連携して戦っていたけど、あれだって相当な時間を掛けて準備をしていたはずだ」

「けれど今回は、魔族の領域全土を巻き込む規模……」

「そうだ。準備だけでどれだけの時間が掛かるか……ただここはオリヴァーが尽力しているし、準備に集中しているから態勢は整えられると思う。けれど資材についてはどうかわからないし、何より魔族ジーガの対策が間に合うのかどうか……」

「問題は資材面ってことか」

「後は、連携だな。十年前の戦争……押し寄せる魔王軍に対して大陸側は連携しようとしたが、上手くいかなかった。物資面についても街道が制圧されたことで滞ってしまったし、さらに互いの利害関係なんかもあって、上手いこと連携ができなかった。そこから崩され、被害が拡大した」

「……連携面は同じ魔族同士だし、大丈夫じゃないの?」

「そうもいかないと俺は思う。オリヴァーに味方をした、屋敷に集った魔族達は大丈夫だろうけど、後で仲間に加わった魔族など、それぞれに考えだってあるだろう……裏切り一つあるだけで、致命的になりかねない状況だ。オリヴァーとしてはおそらく、その辺りに細心の注意を払っているはずだ」


 そこまで言うと、俺は肩をすくめる。


「ほら、単純にオリヴァーが盟主を務めることを良くないと考える魔族だっているかもしれないだろ? まだ直接魔王の側近と戦っていないし、最初の激突くらいまでは戦いがどうなるかわからないから、手を組むとは思うけど、情勢が有利になれば後のことを考えて戦果を得るため抜け駆けしたりとか、功績をこれ以上得られないよう邪魔だってしてくる可能性もある」

「味方が足を引っ張ると……そこまで考えるの、今は無理じゃない?」

「けれど、それすらも考慮に入れないとまずいのも事実だ……俺は、それこそ魔王の側近を倒すその時まで、油断はできないと思っている。魔王との戦いだって、最後の最後までわからなかったし、十年前の戦争の際、俺が負けていたら大陸は終わっていた可能性だってある……それを踏まえると、少しでも不和が起きる可能性があるなら、排除しておきたい。場合によってはそういう内輪もめが、敗北を決定させる可能性があるから」


 俺の言葉にヘレナは納得したように頷くと……別の質問をぶつけてきた。


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