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三度目勇者の異世界紀行  作者: 陽山純樹
第三話

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207/216

安堵と困惑

 戦いは終始俺たちの優勢に進み、やがて悪魔を討伐することに成功した。視界に悪魔がいなくなった段階で騎士達からは歓声が上がり、俺も安堵して警戒を解いた。


「被害もなさそうだね」


 ヘレナが言う。俺は頷きつつ、彼女へ言及する。


「悪魔の能力が低かったのも要因の一つだな……どういう理由でそうだったのかは一考の余地はあるが、ひとまず被害もなく対処できたことを喜ぼう」


 そう言いつつ、俺は近くにいる騎士へ呼びかけた。


「このまま戻るのか?」

「対策は行う。といっても私達は引き上げる以上、もし同等の悪魔が来ても時間稼ぎしかできないが……被害を拡大させないためには必要だろう」


 そう言った後、騎士は配下に指示を出し始める。そうした光景を見つつ、俺はヘレナへさらに告げる。


「対策を終えるまでは待たないといけないな」

「わかった……ここまでの戦いは順調に勝てているけど、まだ様子見の段階であり、どうなるかはわからない……という見解でいい?」

「ああ、俺も同じ意見だ……それに、現状を踏まえると味方を増やすことで問題も生じる」

「問題?」

「防衛範囲の拡大だよ」


 俺はそう言うと、周囲を見回した。


「中立を表明した魔族を引き入れることはいいと思うが、その分勢力圏が広がる以上、守らなければいけない場所も増える」

「……範囲が増えると、戦力を増強しても守らなければいけない範囲が増えるから、逆に大変になるかもしれないと」

「そういうことだ……ま、オリヴァーやファルビアはそれを理解しているだろうから、何かしら対策を講じるとは思うけどな」


 俺はそう言った後、作業をする騎士達を眺める。


「……俺達は悪魔が潜んでいないか確認するか」


 その言葉にヘレナは頷き、俺達もまた動き出した。






 その後、戦闘などはなく俺達は無事にオリヴァーの屋敷へと帰ってきた。すると、


「……なんだか、変じゃない?」


 屋敷を見据えヘレナが呟く。俺も同意だった。というのも、屋敷の雰囲気が明らかに違う。なんというか、外から見ても忙しくなく動き回っている。

 ただそれがどういう意味を持つのかは、すぐにわかった。屋敷に入ると、魔族達がエントランスに多数いた。


 俺は周囲を見回す。メルの姿を発見したので、近寄り声を掛ける。


「メル、作業は終わったのか?」

「あ、トキヤ。そちらは問題なく?」

「ああ、悪魔は問題なく迎撃できた。そっちは?」

「無事に魔族ジーガから魔法を消すことに成功しましたよ」

「それは良かった。で、これはどういう状況だ?」

「彼はすぐさま行動を開始しました。端的に言うと、彼の研究室を作るために色々と準備を」

「研究室?」


 聞き返すとメルは頷き、


「はい、強化を行う上で必要な準備をすると」

「なるほど……とりあえず解放されて頑張ろうって感じか。なら、俺達はおとなしく休むとするか――」

「勇者トキヤ!」


 と、ジーガの声が。見れば、上機嫌な態度を見せる彼の姿が。


「あなたに感謝する! 完全に解放され、今は満ち足りている!」


 グイグイ押し寄せる雰囲気と豹変具合に、俺はちょっと引き気味になる。


「お、おう。そうか」

「これからは粉骨砕身、戦いが終わるまでオリヴァー達に尽くすつもりだ! 勇者トキヤ、何かあれば遠慮なく相談してくれ! それでは!」


 そう告げると彼は屋敷の奥へと消えていく……うん、なんというかテンションの上がり具合にこっちが呆然となる。


「……あれが素なのか?」

「いや、さすがに違うぞ」


 オリヴァーの声だった。振り向くと、困惑した表情の彼がいた。


「そっちも戸惑っているのかよ……」

「まさか、あそこまで豹変するとは思わなかったんだが……まあ、やる気があるのはいいことだ。あのまま作業をさせようと思う」

「そちらがいいのなら俺も言及はしないけど……」


 そこまで言ったところで、俺は気を取り直す。


「ひとまず悪魔は討伐できた。悪魔が持っていた魔王の力が少し弱かったんだが……」

「それだけの情報ではどうとでも解釈できるな。陛下の側近達は狡猾だ。悪魔の能力検証のためにジーガの領地を狙った、なんて可能性もある」

「そうだな……魔族ジーガの問題は解決した。これならどれだけ強力な悪魔を生み出そうとも、対抗できるようになった……で、いいのか?」

「後はジーガの働き次第だな。ただあの様子からして心配はしていない……残された時間は決して多くないが、彼ならばやりきるだろう」


 そう答えた後、オリヴァーは俺へ指示を出した。


「準備は整った。陛下の側近達がジーガのことについて察しているのか不明ではあるが……懸念としてはこちらの対策が機能する前に攻撃を仕掛けられること」

「本格的な戦いが始まる前に、奇襲を警戒した方がよさそうだな。その役目は俺が担おう」

「わかった。私は味方となった同胞達と連絡を取り合い、連携を強める。ジーガが味方になった以上、さらに状況は良くなるはずだ」


 そう述べたオリヴァーの表情は、事が上手く進み安堵している様子だった。


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